「HDVをおすすめしないと言われるのはなぜ?」
「HDVで配当生活は送れる?」
「SPYDやVYMとの違いがわからない…」
HDVは、アメリカの高配当株75銘柄に投資する高配当ETFです。
年に4回、比較的高い配当金を受け取れることから長期投資家から人気があります。
しかし、競合のSPYDやVYMと比べてパフォーマンスが劣る部分もあるので、デメリットも知っておかないと損をするかもしれません。
本記事では、HDVをおすすめしない理由やメリット、注意点などについて解説しています。
HDVへの投資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
HDVとは?人気高配当ETFの4つの特徴を解説
正式名称 | iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF |
---|---|
ティッカー | HDV |
運用会社 | ブラックロック |
設定日 | 2011年3月29日 |
最新純資産総額(※) | USD 11,072,248,526 |
取引所 | NYSE |
基準通貨 | USD |
ETF経費率 | 0.08% |
決算 | 年4回 |
保有銘柄数 | 75 |
HDVは「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF」という、アメリカの高配当株75銘柄に投資するETF(上場投資信託)です。
エネルギーやヘルスケアなど主にディフェンシブな企業を中心に構成されており、年4回の配当を得られます。
ただし、成長性が低い企業が多いため、株価の大幅な上昇は期待しない方がいいでしょう。
HDVは、キャピタルゲイン(売却益)よりも定期的なインカムゲイン(配当金)を求める長期投資家に向いている銘柄です。
HDVの4つの特徴について解説します。
HDVの配当額・配当利回り
HDVの直近12ヶ月の配当利回りは3.23%です。
一般的に、配当利回りが3%以上であれば、高配当株といわれています。
また、HDVの直近1年間の配当金額は下記の通りです。
権利落ち日 | 配当金単価 |
---|---|
2024年6月11日 | USD 0.928354 |
2024年3月21日 | USD 0.835487 |
2023年12月20日 | USD 0.976796 |
2023年9月26日 | USD 1.078057 |
HDVの場合、年4回決算があります。
3ヶ月ごとに配当金をもらえるため、安定収入になる点が大きなメリットです。
最新のセクター比率
セクター | 保有比率 |
---|---|
エネルギー | 24.39% |
生活必需品 | 22.63% |
ヘルスケア | 16.66% |
公益事業 | 11.14% |
通信 | 9.31% |
金融 | 4.80% |
情報技術 | 3.33% |
資本財・サービス | 2.87% |
素材 | 2.30% |
一般消費財・サービス | 2.29% |
キャッシュ、デリバティブ等 | 0.28% |
HDVはエネルギーや生活必需品、ヘルスケアなど景気に左右されにくいセクターを中心に構成されている点が特徴です。
景気が悪化しても大きく落ち込むリスクが少ないため、安定した配当収入を求める投資家にとって魅力的な銘柄といえます。
組み入れ上位20銘柄
2024年10月時点のHDV組み入れ上位20銘柄は、下記の通りです。
銘柄名 | ティッカー | セクター | 保有比率 |
---|---|---|---|
エクソンモービル | XOM | エネルギー | 9.54% |
ジョンソン・エンド・ジョンソン | JNJ | ヘルスケア | 7.44% |
アッヴィ | ABBV | ヘルスケア | 7.04% |
ベライゾン・コミュニケーションズ | VZ | 通信 | 6.54% |
シェブロン | CVX | エネルギー | 5.95% |
フィリップ・モリス・インターナショナル | PM | 生活必需品 | 5.45% |
コカ・コーラ | KO | 生活必需品 | 4.71% |
アルトリア・グループ | MO | 生活必需品 | 4.32% |
ペプシコ | PEP | 生活必需品 | 4.12% |
コムキャスト | CMCSA | 通信 | 2.77% |
テキサス・インスツルメンツ | TXN | 情報技術 | 2.60% |
メドトロニック | MDT | ヘルスケア | 2.17% |
デューク・エナジー | DUK | 公益事業 | 1.99% |
サザン | SO | 公益事業 | 1.95% |
コノコフィリップス | COP | エネルギー | 1.87% |
ロッキード・マーティン | LMT | 資本財・サービス | 1.83% |
スターバックス | SBUX | 一般消費財・サービス | 1.64% |
PNCフィナンシャル | PNC | 金融 | 1.60% |
ブラックストーン | BX | 金融 | 1.46% |
ウィリアムズ・カンパニーズ | WMB | エネルギー | 1.35% |
HDVの構成銘柄は、安定した配当を提供する企業が中心で、特にディフェンシブセクターに多く分散投資されている点が特徴です。
たとえば、エクソンモービルは石油価格の変動に影響されるものの、大規模な企業ネットワークと長期的な収益性により高配当を維持しています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは医療機器と医薬品の分野で安定した収益を上げ、安定した配当を実施しています。
以上のことから、HDVは安定した収益と高配当を出し続ける銘柄に投資したい人におすすめの銘柄です。
安定性を求めつつ、成長性にも期待したい場合は、成長性が期待できる個別株やETFとの分散投資を検討するといいでしょう。
最新の株価とチャート推移
HDVの2024年9月11日現在の株価は、117.210USDです。
全期間チャートを見ると、2011年の設定以来、長期的に右肩上がりに株価が上昇しています。
HDVは、キャピタルゲインを期待しにくいディフェンシブな銘柄として有名です。
しかし、2011年から2024年に至るまで13年間保有していれば、株価が3.5倍以上に上がっていることがわかります。
このことから、HDVに長期投資すれば、定期的な配当金を得ながらキャピタルゲインも期待できるといえます。
HDVはなぜおすすめしないのか?デメリットを解説
HDVは高配当ETFとして人気の銘柄ですが、おすすめできないポイントもあります。
ここでは、HDVの7つのデメリットについて解説します。
①配当利回りがSPYDより低い
銘柄 | 直近の配当利回り |
---|---|
HDV | 3.23% |
SPYD | 4.34% |
HDVは高配当ETFとして人気ですが、上記比較表の通り、SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)と比較すると配当利回りが低くなっています。
ディフェンシブセクターを中心に構成されているHDVは、成長性が低いため配当利回りはSPYDよりも控えめです。
一方、より幅広いセクターに分散投資しているSPYDは、HDVよりも成長性が見込まれるため、結果として配当利回りが高くなります。
配当利回りの高さを重視するのであれば、HDVよりもSPYDへの投資がより合理的といえるでしょう。
②分散性とトータルリターンでVYMに劣る
銘柄 | 保有銘柄数 | トータルリターン(5年) |
---|---|---|
HDV | 75 | 8.55% |
VYM | 400以上 | 10.53% |
HDVは投資先が特定のセクターに偏っており、保有銘柄数も75と分散効果が低い点がデメリットです。
また、HDVの場合、エネルギーや生活必需品といったディフェンシブセクターの比重が高いため、成長性が低くトータルリターンも控えめになっています。
一方で、VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)は400以上の銘柄に分散投資されており、トータルリターンでもHDVを上回っている点が特徴です。
過去5年間のトータルリターンを比較するとHDVが8.55%に対し、VYMは10.53%のパフォーマンスを出しています。
安定した配当収入を得たいだけでなく、成長性も期待したい場合はHDVよりもVYMへの投資を検討しましょう。
③経費率が他の米国高配当ETFと比較して高い
銘柄 | 経費率 |
---|---|
HDV | 0.08% |
SPYD | 0.07% |
VYM | 0.06% |
HDVの経費率は0.08%ですが、SPYDやVYMはさらに低水準の経費率に抑えられています。
投資信託やETFにおいて、経費率は運用にかかるコストを示します。低コストであることは、長期投資においてリターンを最大化する上で重要なポイントです。
長期投資を前提とするなら、わずかでも経費率が低い方が有利です。経費率の観点から考えると、VYMやSPYDの方がより効率的な選択肢といえるでしょう。
④ディフェンシブセクターの比率が高い
HDVは、景気に左右されにくいディフェンシブセクター(エネルギー、生活必需品、ヘルスケア)に強く依存しています。
安定したキャッシュフローを生み出しやすいディフェンシブセクターは、景気後退局面において耐性の強さを発揮します。
その反面、成熟産業のため、経済が好調な時期には他のセクターほどの成長が見込めない点がデメリットです。
成長性を重視するなら、ディフェンシブセクター以外にも分散投資されているETFを選びましょう。
VYMやSPYDは、HDVに比べて成長セクターへの配分が高いため、経済全体の成長を享受しやすい構成です。
⑤成熟企業が多くキャピタルゲインは狙いづらい
HDVに組み入れられている企業は、エネルギー、生活必需品、ヘルスケアなどの分野で長い歴史を持ち、安定して収益を上げている成熟企業が多いのが特徴です。
成熟企業は安定して高配当を出し続けられる点がメリットですが、すでに大企業であるため、伸び代は少なく、大きな値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うのは難しいでしょう。
たとえば、HDVに含まれる「ジョンソン・エンド・ジョンソン」や「コカ・コーラ」は、60年以上連続増配している「配当貴族」銘柄ですが、急激な成長が期待できる新興企業とは異なり、株価が大きく上がる可能性は少ないです。
配当金によるインカムゲインよりも、株価の成長による利益(キャピタルゲイン)を期待するのであれば、グロース株(成長株)やグロース株を含むETFへの投資を検討しましょう。
⑥為替リスクがある
HDVは米ドル建てETFのため、為替の影響により円高になると、価値が下がるリスクがあります。
たとえば、下記のような為替レートになった場合、米ドル換算では増配しているものの、日本円にするとむしろ価値が減少してしまいます。
配当金 | 円換算配当金 | 為替レート | |
---|---|---|---|
1回目 | 1ドル | 150円 | 1ドル 150円 |
2回目 | 1.1ドル | 143円 | 1ドル 130円 |
為替リスクを軽減するためには、為替相場の動きに注意しつつ、長期的な視点で投資を続けることが重要です。
⑦確定申告しないと二重課税になる
HDVの配当金は、米国で税金が引かれた後、日本でも課税される「二重課税」の仕組みになっています。
二重課税を避けるためには、確定申告を行い、外国税額控除を利用する必要があります。
確定申告するのは手間がかかりますが、二重課税による損失を防ぐためには不可欠です。
多額の配当収入がある場合は、とくに毎年漏れなく確定申告するようにしましょう。
HDVのメリットとは?
HDVにはデメリットだけでなく、4つのメリットもあります。
高い配当を受け取ることができる
HDVの構成銘柄は、エネルギー、ヘルスケア、生活必需品など、業績が安定している企業が多いため、配当金も安定して高い水準を保っています。
HDVは配当利回りが3%以上あるので、定期的に安定したインカムゲインを手に入れたい人におすすめです。
とくに、高配当ETF投資によるFIRE(経済的自立と早期リタイア)を達成したい人は、HDVへの投資を検討しましょう。
1株から購入することができる
HDVは国内の証券会社で1株(2万円弱)から購入できるため、初心者でも安心して投資を始められます。
国内の個別株を購入する場合、単元株(100株)単位での購入が基本です。一般的に10万円前後の資金が必要になるため、リスクが伴います。
HDVの場合は少額投資が可能なので、投資初心者でも抵抗なく始めやすい点がメリットです。投資を始めたいけれど、多額の資金がない方にも適しています。
ある程度資金がある場合も、まずは少額から投資を始めて、慣れてから追加投資する方法もおすすめです。
HDVを買うだけで分散投資ができる
HDVは約75社の米国企業に投資しており、エネルギー、生活必需品、ヘルスケアなど、異なるセクターの企業で構成されています。
個別株投資の場合、複数の株を買い集めないと分散効果がありません。HDVであれば、1銘柄買うだけで分散投資になる点がメリットです。
HDVの場合、複数のセクターに投資しているので、特定の業種が不調になっても全体のリスクは軽減されます。
HDVは、リスクを抑えつつ配当金により手堅くインカムゲインを手に入れたい人におすすめの銘柄です。
組み入れ銘柄は下落耐性がある
生活に不可欠なディフェンシブセクター中心に構成されているHDVは、不況下においても安定した業績を維持することが多く、下落局面に強い特徴があります。
たとえば、生活必需品やヘルスケア関連の商品は、不景気になったからといって買わないわけにはいきません。そのため、ディフェンシブセクターは、株式市場が下落局面に陥っても影響を受けにくいのです。
経済不況時にも安定して資産を守りたい投資家には、HDVのようなディフェンシブ銘柄を中心にしたETFが向いています。
HDVで配当金生活をするにはいくら必要か検証
HDVの配当金で生活するために、どれくらいの投資が必要か考えてみましょう。生活費を全て配当金でまかなおうとする場合、税金も考慮に入れる必要があります。
HDVの配当利回りは約3%と仮定しますが、配当金には約20%の税金がかかります。つまり、手取りの配当金は税引後で約2.4%です。
税金を差し引いた実質的な配当利回りで、シミュレーションしておきましょう。
たとえば、年間の生活費が300万円だと仮定し、税引後の配当利回りが2.4%の場合、必要な投資額の計算方法は次の通りです。
300万円 ÷ 2.4% = 1億2,500万円
以上の通り、HDVの配当金で税引後300万円の手取り収入を得るためには、1億2,500万円の資金が必要です。
配当金のみで生活するのは高額な投資が必要ですが、まずは生活費の一部を配当金で補う戦略が現実的といえるでしょう。
少額からでも投資を開始し、時間をかけて目標に近づけることが大切です。
高配当投資ならヘッジファンドもおすすめ
高配当投資なら、HDVに投資するよりもヘッジファンドに投資した方が効率的です。
HDVの配当利回りは3%程度ですが、ヘッジファンドであれば安定して10%以上の利回りが期待できます。
たとえば、BMキャピタルは2013年の運用開始以来、平均年利10%以上を継続している実績が豊富なヘッジファンドです。
現在の資産を年利10%で運用できた場合、7年で約2倍、11年で約3倍に増える計算になります。
HDVよりも少ない資金かつ短期間で、一生困らない資産を築きたい場合は、ヘッジファンドへの投資を検討しましょう。
失敗しない!HDVを買う際の注意点
HDVへの投資を検討している場合は、事前に以下の注意点を抑えておきましょう。
HDVだけだとディフェンシブに偏ってしまう
HDVは、エネルギーやヘルスケア、生活必需品などディフェンシブ銘柄に偏った構成になっています。
ディフェンシブセクターに偏ると、不況に強い反面、好況時において相場の波に乗れない点がデメリットです。
高配当をもらいつつキャピタルゲインも狙いたい場合は、HDV以外にも個別株や成長セクターが含まれるETFを組み合わせることで、バランスをとりましょう。
買い時に気を付ける
HDVのような高配当ETFは長期的な資産形成に向いていますが、買い時には注意が必要です。
とくに株価が高騰しているときに購入すると、配当利回りが下がることがあります。
一方で、市場の変動によって一時的に株価が下がる局面で購入すれば、より有利な利回りで運用を始めることができます。
市場の動きをよく観察し、割安なタイミングを狙うことが重要です。
買い時の判断が難しい場合は、毎月定額購入する「ドルコスト平均法」を活用しましょう。
他の高配当株と比較する
HDVは高配当株を中心に投資するETFですが、他にもSPYDやVYMといった高配当ETFが存在します。
それぞれ配当利回りや銘柄の構成が異なるため、自分の投資スタイルに合ったETFを選ぶことが大切です。
たとえば、SPYDは配当利回りが高めであり、VYMは銘柄の分散性が高いという特徴があります。
これらのETFと比較して、どのETFが自分の投資目的に合っているかを検討し、最適な選択をしましょう。
HDVをおすすめしない理由に関するよくある質問
最後に、HDVをおすすめしない理由に関するよくある質問について回答します。
HDVの評価は総じて良い?悪い?
HDVの評価は、投資スタイルによって意見が分かれます。
配当収入を重視する人には、安定した高配当とディフェンシブな構成が好評です。
一方で、成長性を重視する投資家からは、銘柄がディフェンシブセクターに偏っているため、キャピタルゲイン(株価上昇による利益)を期待しにくいとの意見もあります。
とくに、経済が回復する局面では成長株に劣るパフォーマンスとなりがちです。
そのため、HDVは長期的に安定した配当を狙う投資家には向いていますが、積極的な成長を目指す投資家には不向きな面もあります。
例えば1億円などの元手で利息生活をするにはHDVは優秀な投資対象になります。
国内証券会社で買える?楽天証券は?
HDVは、楽天証券やSBI証券などの国内証券会社でも購入できます。
楽天証券の場合、海外ETF取扱本数が450銘柄以上あるので、その他のETFと組み合わせる際も使い勝手がいいです。
楽天ポイントを使ったポイント投資もできます。
HDVは投資信託?
HDVはETF(上場投資信託)であり、投資信託とは異なります。
ETFは投資信託と異なり、リアルタイムで価格が動くため、市場の動きに合わせたタイミングで売買できる点が特徴です。
まとめ
HDVは、ディフェンシブセクターを中心とした75銘柄に投資するアメリカの高配当ETFです。
安定して3%前後の配当利回りが期待できる一方で、値上がり益は出にくい構造になっています。
そのため、株価の成長性を求める投資家にはおすすめしません。
平均10%以上の高利回りを狙いつつ、安定した資産運用を行いたい場合はヘッジファンドへの投資を検討しましょう。
BMキャピタルのような、10年以上安定して10%以上の利回りを達成している実績のあるファンドがおすすめです。