「フィデリティUSリートB (H無)の運用実績は?」
「掲示板での口コミや評判を知りたい!」
フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)は、米国REITに分散投資し、安定した分配金の支払いを重視する毎月決算型の投資信託です。
しかし、配当頻度の高い投資信託は、税負担の増加や、資産の成長が制限されるなど、全ての投資家に最適という訳ではありません。
本記事では、Yahoo!掲示板などでの口コミ評判も参考にしながら、以下の内容を解説し、フィデリティUSリートB (H無)への投資の是非を考えます。
- フィデリティUSリートB (H無)の特徴と運用状況
- 掲示板やSNSでの口コミ評判
- 米国REITやフィデリティUSリートの今後の見通し
フィデリティUSリートとは?
まずは簡単に、フィデリティUSリートの運用の仕組みや特色をご紹介します。
フィデリティUSリートの基本情報を割愛したい方は、「フィデリティUSリートB (H無) のパフォーマンス分析」または「フィデリティUSリートB (H無) の掲示板の口コミ・評判紹介」から読み進めて頂いても結構です。
フィデリティUSリートの基本情報
フィデリティUSリートは、米国の取引所に上場している「不動産投資信託(REIT)」に投資する投資信託で、フィデリティ投信株式会社が運用しています。
様々な商業用・産業用不動産に投資し、賃料収入や資産価値の上昇による収益を投資家に分配する金融商品。
フィデリティUSリートの運用形態
フィデリティUSリートは、「フィデリティ・USリート・マザーファンド」というマザーファンドを通じて、米国の複数のREITに分散投資を行います。
※画像は「フィデリティ・USリート・ファンド A(為替ヘッジあり)/B(為替ヘッジなし)」の例ですが、Cコース・Dコース・隔月決算型も全て「フィデリティ・USリート・マザーファンド」を通じて投資する 「ファミリーファンド方式」です。
不動産投資信託(REIT)自体が、複数の不動産に分散投資を行っていますが、フィデリティUSリートはさらに複数のREITに投資することで、より広範囲に分散された投資ポートフォリオを提供します。
これにより、投資家は米国の不動産市場全体に対するリスクを分散し、安定したリターンを追求することができます。
フィデリティUSリートの運用目標
フィデリティUSリートは、ファンドの配当利回りが、ベンチマークとする「FTSE NAREIT Equity REITs インデックス」以上になることを目指して運用を行います。
FTSE International Limited(FTSE)によって算出されている、米国の不動産投資信託(REIT)のパフォーマンスを反映する株式指数。
米REITの株式価格や配当収入を反映し、税引前の配当金を含むパフォーマンスを示す。
フィデリティUSリートは、このベンチマークを超えるべく、約133銘柄の米国REIT銘柄の中から、長期的に高い成長ポテンシャルの見込める約37銘柄を厳選し、セクターや地域の分散を考慮して運用しています。
銘柄選定にあたっては、リート専任の調査・運用スタッフによる投資価値の分析に加え、米国および世界の主要拠点の株式アナリストからの企業調査情報も活用しています。
フィデリティUSリートの種類
フィデリティ投信株式会社の運用する米国REIT投信には、以下の5コースが設定されています。
いずれもアクティブ型で、前述のベンチマーク「FTSE NAREIT Equity REITs インデックス」の配当利回りを超える運用を目指します。
純資産総額 | 決算回数 | 実質信託報酬 | |
---|---|---|---|
フィデリティUSリート ファンドA(為替Hあり) | 285億円 | 毎月 | 1.54% |
フィデリティUSリート ファンドB(為替Hなし) | 7762億円 | 毎月 | 1.54% |
フィデリティUSリート ファンド(資産成長型)C (為替Hあり) NISA成長投資枠 | 127億円 | 年1回 | 1.463% |
フィデリティUSリート ファンド(資産成長型)D (為替Hなし) NISA成長投資枠 | 934億円 | 年1回 | 1.463% |
フィデリティUSリート ファンド(隔月決算型) (為替Hなし) NISA成長投資枠 | 9.81億円 | 年6回 | 1.452% |
各コースの主な違いは、決算回数の違いと為替ヘッジを行うかどうかです。
A/Bコースは毎月決算型、C/Dコースは年1回決算型、最後の一つが隔月決算型で、為替ヘッジの有無はファンド名の通りです。
毎月決算型 ‥毎月決算を行い、分配金の有無を判断
隔月決算型‥隔月で決算を行い、分配金の支払いを判断
年1回決算型‥年に1回(通常は決算月)に決算を行い、分配金を判断
為替ヘッジあり‥為替変動の影響を抑える為、円とドルの為替リスクを回避するヘッジを行う
為替ヘッジなし‥為替リスクを取る代わりに、円安時にはリターンが増加、円高時にはリターンが減少
表中の純資産総額から分かるように、圧倒的人気は「フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)」で、フィデリティUSリートの代表的なファンドとなっています。
このことから、多くの投資家が定期的に分配金の受け取れるファンドを希望していることが分かります。
また為替ヘッジありのAコースよりも為替ヘッジなしのBコースの方が人気が高いのは、長期的に米ドルの価値が上昇すると考え、円安による恩恵を受けたいと考える日本の投資家が多いからでしょう。
【一番人気】フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)の概要
前述の通り、フィデリティUSリートの圧倒的人気は「フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)」で、多くの方がBコースの情報を求めていると考えられることから、本記事の今後の解説もBコースを中心に進めていきます。
では、「フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)」の基本情報を見てみましょう。
投資信託 ファンド名称 | フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし) |
---|---|
運用会社 | フィデリティ投信株式会社 |
設定日 | 2003年12月 |
純資産総額 | 7,762億円 ※2025年2月10日時点 |
投資対象 | 「フィデリティ・USリート・マザーファンド」を通して、米国の不動産投資信託証券(REIT)に投資 |
ベンチマーク | FTSE NAREIT Equity REITs インデックス(税引前配当金込/円ベース指数) |
運用形態 | アクティブ型 |
為替ヘッジ | なし (為替リスクあり) |
決算 | 毎月 (毎月15日) |
信託報酬 | 年1.54% |
最新チャート | 日本経済新聞提供チャート |
公式サイト | フィデリティ投信商品紹介ページ |
「フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)」は、2003年に設定され、現在の純資産総額は7,762億円。
国内のUS-REIT投資信託の中では、「ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし)」と並んで最大規模のファンドです。
以下は、マザーファンドである「フィデリティ・USリート・マザーファンド」の組入上位銘柄です。
上位10銘柄で全体の6割を占めており、特にデータセンター、物流、ヘルスケアなどの大型株への投資比率が高いのが特徴です。
ただしポートフォリオ全体では、以下のように、住宅や小売が高い比率を占めています。
住宅は景気変動の影響を比較的受けにくく、安定した賃貸収入が期待できるため、ポートフォリオ全体のリスクを抑える役割を果たしていると考えられます。
ポートフォリオ全体では安定した収益を確保しつつ、上位銘柄には成長性の高い分野を選定し、リターンの最大化を図る戦略が見て取れます。
また、上位銘柄のほとんどが時価総額100億ドルを超える大型株で構成されており、流動性を確保しながら分散投資でバランスを取り、市場の成長トレンドに対応する柔軟なポートフォリオ設計になっていると言えるでしょう。
同じくフィデリティ投信株式会社の人気投資信託「フィデリティ米国株式ファンドDコース」についての解説は以下の記事を参考にどうぞ。

フィデリティUSリートB (毎月決算型/H無) のパフォーマンス分析
では、続いてフィデリティUSリートBコースの運用成績を見ていきましょう。
基準価額とチャート推移
以下は、フィデリティUSリートBコースの基準価額と分配金込基準価額の推移チャートです。
基準価額は、分配金支払い後の価額で、分配金を再投資しない場合の資産価値を示します(分配金を受け取ると下落します)。
分配金込基準価額は、過去の分配金をすべて再投資した場合の基準価額を表し、長期的なパフォーマンス評価に適しています。

出典:Yahoo!JAPANファイナンス|フィデリティ・USリートB(H無)
本ファンドの過去20年間の分配金込基準価額の傾向を振り返ると、2008年のリーマン・ショック、2020年のコロナショックでは急落しましたが、その後は回復傾向を示しています。
特に、2010年代は米国の低金利環境が不動産市場への追い風となり、価額が上昇しました。
コロナパンデミック発生後は、2022年以降の米国FRB(連邦準備制度)の急激な利上げにより不動産市場が下落しました。
しかし、2023年後半から2024年にかけて、利上げ終了の観測が強まり、リート市場が反発。特に、物流・データセンターなどの成長セクターへの資金流入が基準価額の回復を支えました。
直近のチャートでは、2024年秋の米国大統領選挙でトランプ氏が当選した結果、政策の不透明感やインフレ再燃への懸念が拡大。
これにより、長期金利が再び上昇し、リート市場は一進一退の展開となっています。
分配金の推移と傾向
「フィデリティUSリートBコース」は、毎月決算型だからといって、必ず毎月分配金が支払われるわけではありませんが、安定的な分配の継続を方針としています。
フィデリティUSリートの中で、毎月分配型・為替ヘッジなしのBコースが圧倒的人気を得ていることからも分かるとおり、リートに投資する多くの投資家が分配金を主要な投資目的としていることが伺えます。
そんな投資判断の重要なポイントである分配金の履歴を、類似の人気ファンド「ダイワ・US-REIT(毎月決算)B為替H無」とともに並べてみました。

両ファンドとも、米リート市場の市況や米国の金利変動に合わせて、分配金の減配を行ってきた様子が見て取れます。
ただ2016年からの米国政策金利の上昇を受け、フィデリティUSリートBコースの方が、一足早めに大幅な減配に踏み切っていることが分かります。
分配金を抑えることでファンドの持続性を高めつつ、基準価額の減少を防ぐ意図があったのでしょう。
中長期的に見ると、フィデリティUSリートBコースの方が分配金が高めですが、基準価額も同様に高いため、両ファンドの分配利回りは年ごとに優劣が交錯しています。
しかし、分配金の健全度の面では、フィデリティUSリートBコースに軍配が上がります。
フィデリティUSリートB 毎月決算/H無し | ダイワUSリートB 毎月決算/H無し | |
---|---|---|
分配 余力月数 | 223.09か月 | 83.65か月 |
過去1年 | 86.67% (分配金利回り13.15% 2025年1月15日基準) | 91.67% (分配金利回り9.70% 2025年1月17日基準) |
過去3年 | 64.37% | 54.72% |
過去5年 | 65.00% | 58.90% |
過去10年 | 30.59% | 22.72% |
参考:日本経済新聞投資信託情報、PayPay銀行|分配金実力マップ
分配金の健全度とは、分配金のうち、運用利益から支払われる「普通分配金」の割合を示したものです。
分配金は基本的に運用益から支払われますが、状況によっては元本を取り崩す「タコ足配当」が行われる場合があり、その場合、基準価額は減少します。
既出のチャートでも、分配金込基準価額が上昇しているにも関わらず、基準価額は緩やかに減少している様子が見て取れましたね。
過去5年間では、フィデリティUSリートBコースの分配金健全度は65%となっている為、分配金の65%は運用利益から、残りの35%は元本払戻金であったことを示しています。
基準価額を維持しながら、投資家の求める分配金水準を提供するには、この分配金健全度を適切に保つことが大切なのですが、両ファンドを比較すると、中長期的にはフィデリティUSリートBコースの方が、分配金の健全度が高くなっています。
分配金余力月数(現在の分配金水準を維持できる期間の目安)も、フィデリティUSリートBコースでは223.09か月(約18.5年)と、比較的健全な水準を維持していることが分かります。
運用実績と類似投資信託との比較
フィデリティUSリートB 毎月決算/H無し | ダイワUSリートB 毎月決算/H無し | |
---|---|---|
信託報酬 | 1.54% | 1.672% |
過去1年リターン | +17.46% | +18.95% |
過去3年リターン | +10.80% | +10.89% |
過去5年リターン | +10.88% | +12.18% |
過去10年リターン | +7.35% | +7.70% |
両ファンドの分配金再投資ベースのリターンを比較すると、表中に示した全期間で「ダイワ・US-REIT(毎月決算)B為替H無」が優位となっています。
つまり、運用力自体は「ダイワ・US-REIT(毎月決算)B為替H無」の方が優れている可能性があります。
信託報酬は、フィデリティUSリートBコースの方が割安ですが、それを加味してもダイワUSリートBに軍配が上がります。
これまでの内容から、両ファンドのパフォーマンスは、年ごとに、そして評価する項目ごとに、優劣が交錯していることが分かりました。
これでは読者の皆様も投資判断が難しいと思いますので、日経新聞の「QUICKファンドスコア」をお借りして、ファンドの良し悪しを視覚的に分かりやすくまとめてみます。(評価は10段階で10に近いほど優秀と言えます)
フィデリティUSリートB 毎月決算/H無し | ダイワUSリートB 毎月決算/H無し | |
---|---|---|
総合 | 10 | 9 |
リスク | 9.20 | 8.10 |
リターン | 9.70 | 9.70 |
下値抵抗力 | 9.00 | 9.00 |
コスト | 7.40 | 8.30 |
分配金健全度 | 4.30 | 3.60 |
表では、コスト面を除く全ての項目で、フィデリティUSリートBコースに優位性が見られます。
コスト面でダイワUSリートBに劣後しているのは、購入手数料が割高なためと考えられますが、楽天証券やSBI証券では購入手数料無料で投資することも可能です。
したがって、長期的なパフォーマンスや分配金の持続性を重視する投資家にとっては、フィデリティUSリートBコースの方がより魅力的な選択肢であると考えられます。
※ただし、いずれのファンドも年ごとに運用がマイナスとなる年があるため、投資リスクを軽減するには長期的な視点での投資が重要です。

出典:フィデリティ・USリート交付目論見書
フィデリティUSリートBコースの掲示板の口コミ・評判紹介
そんな「フィデリティUSリートBコース」ですが、日本の投資家からはどのように評価されているのでしょうか?
掲示板やSNSでの投資家のクチコミ
投資信託ファンドについて投資家が意見を交換し合う場としては、Yahoo!掲示板やTwitterなどが活発に利用されています。
ここでは、投資関連の掲示板やSNS等に寄せられた口コミ・評判を一部紹介します。
(長い口コミは筆者が要点をまとめ)
- フィデリティのUSリートが約3,100円なので89万円で月1万円の分配金がもらえます!価格が横ばいなら勝ち😆分配金が減ったら負けです😱(2024年5月27日)
- 毎月分配、高信託報酬と敬遠されがちな要素のある投信だけど、2017年に分配金を月35円に下げてから7年、基準価額は2割ほど下げたものの毎月1%程度の分配金を出し続けているのは大したものだと思う🤔(2024年10月10日)
- 配当金に裏切られた事無いのはここだけ(2024年12月9日)
- フィデリティUSリートよりダイワUS-REITの方が純資産が多い。手数料は若干、フィデリティの方が良いんだけどなぁ。人気ないのかな?それとも運用がダメなの?(2024年5月26日)
- リートは債券ではないのでリセッションになったら株式なみに下落します。リーマンショックを目の当たりにしたのでよく覚えてます。上昇相場が続いてますけどそろそろかな。(2024年12月25日)
- 買い時は3千円以下。分配金は増えることはないと思います。時間を掛けてゆっくり分配金が減り、 いつかは償還になると思います…(2024年12月15日)
- 円高にはなりにくいですね!せいぜい数パーセントです。国力が落ちています。
GAFAへの支払いが爆上げです。世界の食糧価格も高騰気味です。
但し、為替レート変動幅は大きいままだと考えます。(2025年2月14日) - 今年の前半は為替は日銀の利上げ観測と米国の利下げにより150円割れの局面が出てくると思われますので、3000円を割る場面があるかもしれません。しかし、後半は米国の利下げ停止と金利高止まりで、徐々に円安方向になると思われますので、3000円台は割れにくいと考えています。不動産指数は金利高止まりで今年は大幅な上昇は見込め無いかもしれません。(2025年1月16日)
- 皆さん!盛り上がってますねぇ〜!株式投資じゃ無いのだから!(2024年12月6日)
- 再投資するならインデックスの方が良いです 受け取るたびに税金かかるだけですし(2025年1月22日)
掲示板やSNSの口コミ・評判まとめ
「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」の掲示板やSNSの口コミ評判では、総じて、安定的なインカムゲインを重視する投資家には好意的に受け入れられているものの、基準価額の下落リスクやリート市場の将来動向を慎重に見極めようとする姿勢が見て取れます。
クチコミの中には、分配金を再投資しているというコメントも多くみられましたが、毎月決算型の投資信託ファンドに投資しつつ結局分配金を再投資するのであれば、そもそも分配金を出さない、もしくは分配金の支払い頻度が低いファンドに投資する方が、費用面で効率的と考えられます。
参考までに、日本経済新聞提供の海外REITリターン上位ランキング(分配金再投資ベース)をご覧ください。

赤色:年1回決算型・為替ヘッジなしのアクティブファンド
黄色:毎月決算型・為替ヘッジなしのアクティブファンド
青色:年1回決算型・為替ヘッジなしのインデックスファンド
ご覧の通り、毎月決算型の分配金再投資ベースのリターン(黄色)よりも、年1回決算型で分配金のないファンド(赤色)の方が、信託報酬も安い上、リターンもより高くなっています。
以上の情報から判断すると、「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」は、例えば定期収入のほしい年金受給者など、「安定した分配金の受取りを最優先する人」にメリットの大きいファンドです。
一方で、まだ引退には程遠く、毎月の給与収入のある若い世代の長期的な資産形成には、不向きである可能性が高いです。
長期の資産形成には、分配金を再投資することで複利効果を最大限に活用できる、分配金を出さない、もしくは分配頻度の低いファンドの方が効率的です。
掲示板やSNS等に挙がる投資家の意見は必ずしも正しいとは限りませんので、情報の取捨選択や信頼性の確認を徹底した上で、市場の最新情報の共有や投資判断の参考として活用されると良いでしょう。
米REIT市場とフィデリティUSリートの今後の展望
以上の解説を踏まえて、それでも「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」に投資したいと思った方のために、米国リート市場と本ファンドの見通しについて解説しましょう。
米国リートの特徴と市場環境
米国リート市場は、世界の上場リート市場の約7割を占める世界最大の不動産市場であり、多様な不動産セクターが存在します。
特に、近年はeコマースの拡大に伴う物流施設や、デジタル化に伴うデータセンターの需要が高まっています。
米国リート市場は、一般的に、金利・景気動向・不動産市場の需給バランスといった要因に強く影響を受けます。
具体的には以下の通りです。
金利の影響 | ・リートは不動産運営のために多くの借入を行うため、金利が上昇すると借入コストが増加し利益が圧迫。 ・金利上昇時には債券などの固定利回り商品が魅力を増し、リート市場から資金が流出しやすくなる。 ・金利低下時には高い配当利回りを求める投資家の資金流入により、リートの株価が上昇しやすくなる。 |
---|---|
景気の影響 | ・好景気時には企業業績が良くなり、オフィスや商業施設への需要が増加するため、リートの収益が拡大。 ・不況時には企業業績が悪化し、オフィスや商業施設の空室率が上昇するため、リートの賃料収入が減少。 |
不動産市場の 需給バランスの影響 | ・不動産価格が上昇すると、リートが保有する資産価値も上がるため、株式価格も上昇。 ・賃料が上昇すると、リートの収益が増え、投資家への分配金も増加傾向に。 ・供給過多になった場合や不動産市場が冷え込むと、賃料収入が減少し、リートの成長が鈍化。 |
近年のアメリカのリート市場も、金利動向と経済状況の影響を強く受けています。
フィデリティUSリートB (H無) の見通し
フィデリティUSリートBコースの標準価額の推移チャートを見ながら解説した通り、2022年以降の急速な金利上昇により、リート市場の下落が見られましたが、2024年には底入れの兆しが現れ、反発しました。
米国リートの主要変動要因である「金利・景気動向・不動産市場の需給バランス」と、為替ヘッジ無しのBコースに影響を与える「為替」は、今後以下のように見通されています。
金利の見通し | ・米国連邦準備制度理事会(FRB)は、2025年の利下げ幅を予想より縮小と発表 →短期的には金利の高止まりが予想され、リート市場には資金調達コストの上昇リスク要因に →中期的には金利低下に伴うリート市場の回復が期待される |
---|---|
景気の見通し | (プラス要因) ・これまでのところ、米国経済は堅調な成長を続けており、リート市場には追い風 →特に住宅やヘルスケアセクターは、人口動態の変化から恩恵を受けると予想 ・2024年の米国の経済成長率は2.8%、またIMFは2025年の成長率を2.5%へ上方修正(2025年1月17日時点) (マイナス要因) ・2024年9月景気後退のシグナルとされる「逆イールド解消」が発生 ・2025年には米国企業の利益成長が鈍化すると予想 |
不動産市場の需給バランス | ・商業用不動産市場は、リモートワーク等によりオフィス需要が減少し、空室率が上昇 ・2025年産業用不動産市場は、新規供給の減少と需要回復により、需給環境の改善が期待される |
為替の見通し | ・2025年末にかけて、日米金利差の縮小に伴い「円高・ドル安」が進行する可能性 ・一方、トランプ政権の政策次第では「ドル高・円安」が進行する可能性もあり |
参考:
ニッセイアセットマネジメント株式会社|REITレポート(2025年1月号)
大和アセットマネジメント|2025年の為替相場⾒通し 年末の米ドル円は141円程度に下落へ
三井住友DSアセットマネジメント|【市川レポート】2025年のドル円相場見通し
株式会社三井住友トラスト基礎研究所|米国REIT市場の最新動向-オフィスが復調示す米国REIT
JETRO|安定的な成長も、国ごとの格差目立つ、IMF世界経済見通し
BUSINESS INSIDER|Higher interest rates, oversupply, and rising costs have battered commercial real estate. Will 2025 be different?
このように、2025年以降のUSリート市場には、プラス要因とマイナス要因の両方が存在しています。
短期的には、金利の高止まりがリートの株価上昇や物件取得の足枷となる可能性がありますが、中長期的には、金利低下に伴う取引市場の本格的な回復が期待されており、米国リート市場は安定した成長が予想されています。
ただし、短期金利が長期金利を上回る「逆イールド」の発生・解消や、企業利益の鈍化予想など、米国の景気後退を懸念する声もあるため、随時、金利動向・失業率・企業利益・景気指数・消費者信頼感指数などの指標を定期的にチェックし、景気後退の兆候をいち早く察知できるようにしておきましょう。
為替は、日米長期金利差の縮小による「円高・ドル安」傾向が予想されているため、積立投資による「ドルコスト平均法」の活用で、価格変動リスクを抑えながら投資するのがおすすめです。
高い利回りを目指すならヘッジファンドもおすすめ
これまで「フィデリティUSリートBコース」について詳しく解説してきましたが、リート以外にも、高い利回りを目指す投資先としてヘッジファンドが注目されています。
ヘッジファンドでは、投資家から運用資金を預かり、高度な運用スキルを持つプロフェッショナルが運用を代行します。

具体的には、株式や債券、不動産、コモディティ、オプションなど、多様な資産に分散投資しながら、一般的な投資信託では利用制限の掛かるような高度な投資戦略を用いて、上昇局面でも下落局面でも利益を狙える運用を行います。
個人投資家が直接アクセスしにくい特殊な市場や投資機会にもアクセスするため、二桁を超える高いリターンが期待できるのがヘッジファンド最大の魅力です。
またヘッジファンドは、高い投資技術と柔軟性を用いたリスクヘッジや、下落相場での耐性の強さでも知られています。
株や債券、不動産などの他にヘッジファンドを併用することで、投資ポートフォリオ全体のリスクを抑えながらより高いリターンを追求できます。
上記以外のヘッジファンドは、以下のランキング記事でご紹介しています。

本記事の解説まとめ
本記事では、「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」の基本情報、運用状況、掲示板やSNSでの口コミ評判、今後の見通しなどを詳細に解説しました。
本ファンドは、米国不動産市場の成長性を活かしつつ、安定した分配金の提供を重視する投資信託ですが、毎月分配型であるがゆえに、長期的な資産成長の観点では課題もあると言えます。
特に、分配金の一部が元本払戻金(タコ足配当)として支払われることで、基準価額の成長が抑制される傾向があります。
長期的な資産形成を目指す投資家には、分配金の頻度が少ない投資信託や、分配金を出さないファンドを選択し、運用益の再投資による複利効果を活用する方が合理的でしょう。
また、より高いリターンを求める投資家は、ヘッジファンドなどの選択肢を検討するのも一つの手です。
一方で、安定した分配金を重視する投資家にとっては、本ファンドは有力な選択肢となります。
投資を検討する際には、分配金の健全度や市場環境を定期的に確認し、安定した収益を得られるか慎重に判断することが重要です。