「商船三井の株が危険」と聞いて投資を悩んでいますか?
経済や国際貿易の成長に重要な役割を示す海運業界。そんな海運業界の株が2020年のコロナショック以降急騰しています。
株価は2025年1月に17年ぶりに高値を更新。また高配当株としても人気を集めています。
本記事ではそんな注目の商船三井について、
・会社や事業内容の特徴
・直近の株価上昇と急落の理由
・商船三井の配当利回りはなぜ高いのか?
・今後の株式予想
などを解説。過去から今日の株価急落の理由や業界動向などから、今後の投資の是非について考えていきます。
株式会社商船三井(MOL)はどんな会社?
株式会社商船三井(MOL)は、1884年設立の約140年の歴史を持つ三井系の大手海運会社です。
同社の株価の動きを正しく理解するためにも、まずは商船三井の基本情報について見ていきましょう。
会社概要
まずは会社概要です。
会社名 | 株式会社商船三井 Mitsui O.S.K. Lines, Ltd. |
---|---|
本社 | 東京都港区虎ノ門2丁目1番1号 |
設立 | 1884年5月1日 |
資本金 | 66,001,697,121円 |
事業内容 | ドライバルク事業(ドライバルク船事業) エネルギー事業(タンカー事業/液化ガス船事業/海洋事業/洋上風力発電関連事業) 製品輸送事業(コンテナ船事業/自動車船事業/ターミナル事業/ロジスティックス事業) ウェルビーイングライフ事業(不動産事業/フェリー・内航RORO船事業/クルーズ事業/外国人人材事業) 関連・その他事業(タグボート事業/海事コンサルティング事業) |
発行済株式数 | 362,386,058株 |
発行可能株式総数 | 946,200,000株 |
株主数 | 303,578名 |
株式上場 | 東証プライム(証券コード:9104) |
決算 | 3月 |
従業員 (MOL単体) | 1,243名 |
グループ会社数 | 545社(連結子会社及び持分法適用会社) |
グループ会社従業員数 | 9,795名(当社及び連結子会社) |
グループ運航船舶規模 | 873隻 |
公式サイト | https://www.mol.co.jp/ |
商船三井は1884年の設立以降、ドライバルク船や、タンカー船、自動車専用船、コンテナ船などによる海上輸送事業を広く展開。
時代の流れに合わせて、組織合併や変革、事業分野の拡大にも取り組んできました。
特に過去10年の動きとしては、2017年に日本の海運大手2社(日本郵船と川崎汽船)と手を結び、コンテナ船事業統合会社Ocean Network Express(ONE)を設立。世界中に拠点を持つ3社のネットワークを統合し、世界でも競争力のあるコンテナ輸送サービスを提供しています。
また世界の景気に影響を受けやすいという弱点を克服し、企業と社会の持続的な成長を目指すことを目標として、ウェルビーイングライフ事業の推進など非海運事業の強化に動き始めています。
商船三井は、このように海運分野の豊富な経験とグローバルなネットワークを駆使して、顧客の多様なニーズに応え、国際貿易や関連分野の円滑な運営をサポートする事業を行っています。
海運大手3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)の1社
日本の海運業は、日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社が牽引しており、世界でも有数の海運会社として高い評価を得ています。
国 | 売上高 | |
---|---|---|
1. A.P. Møller Mærsk | デンマーク | 822.2億ドル |
2. COSCO SHIPPING Holdings | 中国 | 639.4億ドル |
3. Hapag-Lloyd | ドイツ | 366.6億ドル |
4. 日本郵船株式会社 | 日本 | 209.1億ドル |
5. Orient Overseas International | 中国 | 168.3億ドル |
6. ZIM Integrated Shipping | イスラエル | 138.4億ドル |
7. 株式会社商船三井 | 日本 | 119.7億ドル |
8. 川崎汽船株式会社 | 日本 | 70.8億ドル |
※2022年12月時点の過去12か月間の会社業績
※米国証券取引所やカナダ証券取引所に直接またはADRを通じて上場している企業からランキング化
日本郵船についての詳細はこちら▼

川崎汽船についての詳細はこちら▼

1. 日本郵船 | 2. 商船三井 | 3. 川崎汽船 | |
---|---|---|---|
2023年度売上高 | 2兆3872億円 | 1兆6279億円 | 9623億円 |
売上高の セクター別割合 | 不定期船:約51.6% 物流:約29.3% 定期船:約7.8% 航空輸送:約6.5% その他:約4.7% | 製品輸送:約38% ドライバルク:約24% エネルギー:約27% 関連事業/その他/ウェルビーイング:合計約11% | 製品物流:約57% ドライバルク:約30% エネルギー資源:約11% その他:約1% |
日本の海運業大手3社で最も売上げ高や時価総額が大きいのは「日本郵船」で、売上高は商船三井の約1.4倍です。
「日本郵船」は、海上・陸上での輸送に加え、航空輸送事業にも取り組み、陸海空のルートから総合的な物流サービスを提供しているのが特徴。また部品調達から製品の配送までを総合的に管理するなど、サプライチェーンの最適化も手掛けている点は他社にはない強みです。
「商船三井」は海運業界大手3社中2位で、ドライバルク事業のほか、タンカー船やLNG船などのエネルギー事業、天然資源の洋上生産・輸送などを行う海洋事業、洋上風力発電関連事業にも力を入れています。
コンテナ船事業では収益率の低下などの課題もありますが、タンカー事業とコンテナ船事業の安定性、エネルギー事業や非海運分野などを通じた事業多角化など、将来的にも成長が期待できる企業と言えます。
「川崎汽船」は、国内海運業大手3位で、1970年に日本初の自動車船を輸送サービスに導入するなど、自動車船の輸送サービスに強みを持つ会社です。
全売上における海運事業の割合が多いのは、川崎汽船>商船三井>日本郵船となっており、特に川崎汽船は海運業への依存度が高いと言えます。
海運事業は大きく定期船と不定期船に分けられます。
不定期船事業は各社特色が異なりますが、定期船については、既出の通り、2017年に3社が出資しコンテナ船事業統合会社Ocean Network Express(ONE)を設立して、共同でコンテナ輸送サービスを提供しています。
定期船 | 決められたスケジュールで運行される (コンテナ船・自動車専用船) |
---|---|
不定期船 | 荷主の要望に合わせて航路や寄港地、運航スケジュールを決定する船舶 (ドライバルク船・エネルギー事業・海洋開発など) |

業績推移
では次に、商船三井の業績がどう推移してきたか、既出の競合他社と比較しながら見てみましょう。
商船三井 | 日本郵船 | 川崎汽船 | |||||||
売上高 | 経常利益 | 経常利益率 | 売上高売上高 | 経常利益 | 経常利益率 | 売上高売上高 | 経常利益 | 経常利益率 | 売上高|
2021 3月期 | 991,426 | 133,604 | 13.48% | 22,807 | 10,031 | 43.98% | 6,254 | 894 | 14.29% |
2022 3月期 | 1,269,310 | 721,779 | 56.86% | 26,160 | 11,097 | 42.42% | 7,569 | 6,575 | 86.87% |
2023 3月期 | 1,611,984 | 811,589 | 50.35% | 23,872 | 2,613 | 10.95% | 9,426 | 6,908 | 73.29% |
2024 3月期 | 1,627.912 | 258,986 | 15.91% | 25,800 | 4,800 | 18.60% | 9,623 | 1,357 | 14.10% |
海運業界は2008年のリーマンショックで大幅に売上げを落した後、2010年後頃からは中国経済の成長の鈍化により、国内海運大手3社の売上高も減少傾向が続きました。
その後2020年のコロナショックの反動で荷動きは増加し、2021年~2022年度にかけて海上運賃が高騰。国内海運業大手3社の売上高も急激に伸びました。
2023年に入ると、コロナ渦で急増した荷動きや高騰していた海上運賃が落ち着いたことで、2024年3月期の決算では海運大手3社とも経常利益が減少し、売上高における経常利益の割合を示す「売上高経常利益率」も10%台に縮小しています。
コロナ特需時よりは大幅な減収となるものの、2024年度(2025年3月期決算)は底堅い輸送需要や円安効果などによって、商船三井や川崎汽船では経常利益の増収(対2024年3月期比)が予想されています。
商船三井の株価動向と過去の株価急落の理由
では本記事の本題、商船三井の株価動向と急落の理由を見ていきましょう。
商船三井の株価は、2008年のリーマンショック時の急落から2020年のコロナ特需に入るまでの約12年程、ずっとボックス圏を推移していました。
しかし、コロナショック後は前述の輸送需要の増加や海上運賃の高騰により売上が増加し、株価もリーマンショック前の水準に迫る勢いで上昇。
2025年1月には2007年11月以来およそ17年2カ月ぶりの高値を更新しました。

長らくの株価低迷から抜け出した商船三井の株ですが、2021年からの株価急騰の間にも、同社の株は何度も急騰と急落を繰り返しています。
ここでは、今後の投資の是非を見極める材料として、株価が上昇基調に乗り始めた2021年以降に起きた、商船三井の株価急落の理由について解説します。
2021年の株価急落理由
2021年にはコロナ特需によりボックス圏を抜け出し、株価が急騰したものの、その後9月から11月にかけて約36%も株価が急落しました。

底値日 | 下落率 | 下落期間 | 底値 | 考えられる急落の主な理由 |
---|---|---|---|---|
2021/11/18 | -36.6% | 55日 | 2086 | ・バルチック海運指数(BDI)の急落 ・コンテナ運賃指数の下落 ・権利落ちによる株価下落前の利益確定売り |
2021年はコロナ特需により荷動きが活発化し、海上運賃の変動を示す「バルチック海運指数」や「上海輸出コンテナ運賃指数」・「中国輸出コンテナ運賃指数」が急騰。
基本的に海運業会の会社業績は、海上運賃が上昇すれば向上する傾向にあるため、商船三井の株価もリーマンショック以降約12年ぶりの高値を付けました。
実際、商船三井の経常利益は2021年3月期に1336億円(対昨年比+142%)に増益となり、株価に強く反映されました。
海運業の12年ぶりの好況により9月27日に1万60円の高値を付けたあと、権利落ちによる株価下落の前の利益確定売りや、海上運賃指数の下落により株価が急落しました。
配当は、権利確定日と呼ばれる日までに株主名簿に登録されている株主のみ受け取れます。
権利落ちとは、株式の配当を受ける権利を失う日で、この日の売買分から、その期の配当は受け取れないことになります。
権利落ち日には、配当分だけ株価が下がるとされているため、権利落ち日前に利益確定売りが出やすくなります。
2022年の株価急落理由
2022年には以下4度のタイミングで株価が急落、1年を通して上昇と急落を繰り返す動きとなりました。

底値日 | 下落率 | 下落期間 | 底値 | 考えられる急落の主な理由 |
---|---|---|---|---|
2022/1/27 | -18% | 9日 | 2600 | ・バルチック海運指数やコンテナ運賃指数の減速 ・利益確定売り |
2022/4/12 | -27% | 29日 | 2816 | ・バルチック海運指数やコンテナ運賃指数の減速 ・米国の利上げ予想から、景気の減速を懸念して売りが増加 ・権利落ちによる株価下落前の利益確定売り |
2022/6/23 | -20.9% | 27日 | 2911 | ・バルチック海運指数やコンテナ運賃指数の減速 ・利益確定売り |
2022/9/30 | -32% | 49日 | 2602 | ・バルチック海運指数やコンテナ運賃指数のの下落 ・権利落ちによる株価下落前の利益確定売り |
2021年にリーマンショック以来の高値となっていた海上運賃指数は、2022年に入ると一変して下落基調となり、商船三井の株価も下落しました。
また海運株のような景気敏感株は、短期間での株価変動が大きく、株が高値になると利益確定売りをする投資家が増加します。
3月末や9月末の下落については、中間配当の権利落ちによって株価が下落する前に、利益確定売りが増えたものと考えられます。配当の権利落ちによる株価下落は、高配当株ほど起こりやすくなります。
2023年の株価急落理由
商船三井の株価は、2023年6月頃から再び上昇基調に入りましたが、9月末から11月にかけては株価が19.4%下落しました。

底値日 | 下落率 | 下落期間 | 底値 | 考えられる急落の主な理由 |
---|---|---|---|---|
2023/11/8 | -19.4% | 48日 | 3710 | ・インフレによる荷動きの低迷や中国経済の減速が嫌気された ・2024年度3月期の減益の見通しが発表されたことによる利益確定売り ・権利落ちによる株価下落前の利益確定売り |
2023年の商船三井の株価は、米利上げの一服感や、2024年3月期の利益予想を上昇修正したことなどから6月以降上昇。
しかし、その後米国や中国の経済が減速するとの懸念が出てきたことや、商船三井の業績失速、さらに配当落ち前の利益確定売りなどが重なり、9月末から11月にかけて株価が急落しました。
2024年の株価急落理由
今年2024年には、2月5週目ごろから6週間で約17%下落。
また6月3週目ごろから2週間で約8.5%株価が急落し、その後回復したものの、7月3週目に再び急落します。

底値日 | 下落率 | 下落期間 | 底値 | 考えられる急落の主な理由 |
---|---|---|---|---|
2024/4/2 | -17.6% | 40日 | 4429 | ・コンテナ運賃指数の下落 ・権利落ちによる株価下落前の利益確定売り |
2024/6/20 | -10.9% | 14日 | 4680 | ・ガザ地区の停戦案が浮上、今後の輸送運賃が下落が嫌気された |
2024/7/18 | -10% | 継続中 | 4775 | ・コンテナ船運賃の高止まり観測による株価急騰後の利益確定売り ・コンテナ船指数の下落 ・アメリカの失業率上昇 ・法人税の優遇措置適用に誤りがあり21億円の申告漏れが発覚 ・円高・ドル安 |
2023年末から現在まで、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海を航行する船舶への攻撃が続いています。
それにより商船三井やその他海運大手は、元々の紅海ルートから喜望峰経由に海運ルートを変更。輸送日数が延び船が不足したことで運賃が再上昇しました。

しかし、6月にはガザ地区での戦闘に関してイスラエルから停戦案が持ち上がり、海上輸送の混乱が沈静し今後の輸送運賃が下落するのでは警戒感から海運株が軒並み下落しました。
結局ハマスが停戦案を受け入れなかったことなどから株価が再び浮上し、利益確定売りが出たと考えられます。
直近の株価急落は現在進行形であり、コンテナ船指数の下落、アメリカの失業率上昇、円高ドル安、商船三井の法人税の申告漏れ(関連ニュース)発覚など、様々な下落要因が重なり複合的に下落が続いているものと考えられます。
過去の株価急落の主な理由まとめ
1. 商船三井の業績減速
2. バルチック海運指数やコンテナ運賃指数の低迷
3. 配当金の権利落ち前や、株価急騰後の利益確定売り
4. 大国の景気状況や貿易量
既出のように、景気敏感株である海運業の株式は、景気や市況によって株価が変動しやすいため、短期トレードの対象になりやすく、短期間の間に上昇や下落を繰り返す場合があります。
また海上運賃の変動は海運会社の業績に直結するため、海上運賃が下落した場合には、海運業の株価にも下落圧力が掛かります。
さらに商船三井のように高配当の銘柄は、配当落ち日に株価が下落しやすいため、その前後で利益確定売りや失望売りが入りやすくなるのも株価急落の理由として留意してきましょう。

上記は7月中旬までの内容になりますので、2024年7月末~2025年3月までに商船三井の株価が上下した主な要因について追加で見ていきます。
- 7月:
・米国:利下げ決定
・日本:利上げ決定
→円高リスクが懸念されたか - 8月:
・「令和のブラックマンデー」の影響を受けて暴落
・テレビ東京系の「モーニングサテライト」にて配当性向引き上げが報じられたことによる思惑買い
・↑これにより株価が上昇したことによる利益確定売り - 9月:
・権利落ちによる株価下落前の利益確定売り - 10月:
・自社株買いを行うことを発表
→投資家からの関心・期待を集めたか - 11月:
・次期大統領にトランプ氏が当選。関税引き上げ案が現実味を増し海上運賃高騰が観測される
→株価上昇が期待されたか
・2027年3月期から始まる次期中期経営計画で、配当性向の目標を40%程度に高めることを発表
→投資家からの関心・期待を集めたか - 25年1月:
LNG船の増強が報じられ、続伸で高値更新(17年ぶりの高値更新) - 2月:
3月期末配当の権利取りに向けた個人投資家の買いが活発になり始め、高配当利回りで好業績の海運株が物色された。27日の東京株式市場で大手海運株が軒並み高に。 - 3月:
15日に米国トランプ大統領が米軍へフーシ派が支配する地域への軍事攻撃命令を出したと15日に明かす。海運指数に関してはバルチック海運指数(BDI)は高止まり、中国コンテナ船運賃指数(CCFI)と上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)ともに下落。また株価にはそこまで影響はない模様。(27日時点)
商船三井の配当はなぜ高い?配当状況を解説
過去のネット上の掲示板やSNSを見ると「商船三井の配当はなぜ高いのか」という質問が多く見受けられます。
商船三井の配当状況を見てみると、2021年度(2022年3月期)と2022年度(2023年3月期)には配当利回りが10%を超え、実際に高配当状態であったことが分かります。
特に2022年度通期の配当金は560円と高く、100株購入していた場合、56,000円(税引前)の配当金を受け取れた計算になります。
商船三井 | ||||
配当金 | 配当利回り | 配当性向 | EPS | |
2020年3月期 | 22円 | 3.73% | 23.8% | 90.93円 |
2021年3月期 | 50円 | 3.87% | 19.9% | 250.99円 |
2022年3月期 | 400円 | 11.70% | 20.30% | 1970.15円 |
2023年3月期 | 560円 | 16.92% | 25.40% | 2204.03円 |
2024年3月期 | 220円 | 4.77% | 30.4% | 722.85円 |
2025年3月期予想 | 340円 | 5.81% | 30.3% | 1128.72円 |
※商船三井は2022年4月に1株につき3株の割合で株式分割を実施したため、分割後の株式数に基づく調整後の配当金額を表示。
2021年度~2022年度の配当がなぜこれほど高いのかは、既に「業績推移」で解説したように、コロナ特需により同期間の利益が大幅に増益となったためです。
2022年度の経常利益はコロナ前の2019年の14倍以上となり、それに伴い配当原資となるEPS(1株当たりの純利益)も増加。配当金の増配という形で株主還元されました。
しかし、2023年からはコロナ特需の陰りなどから経常利益が約68%減となり、1株配当も220円へ減配。2024年度の配当金は通期で340円(配当利回り5.81%)予想と、前年度よりは増配となったものの、コロナ特需時と比べると減配になりました。
ただし東証プライム全銘柄の25年2月付の予想平均配当利回りである 2.12%(加重平均利回り)と比べるとまだ高い水準ではあります。
また商船三井は、今後の配当について以下のようにも述べています。
2023年度~2025年度については、当社の企業価値及び財務体質が向上したことに伴い、連結配当性向を2022年度の25%から30%に引き上げ、業績に連動した配当を行います。加えて、下限配当を導入し、海運市況サイクルの低位時に配当額が過少となることを防ぎます。
商船三井|株主還元方針
今年2024年度の下限配当は最低150円、配当性向は30%で、業績が下振れした場合もこれを維持することを発表しています。
配当の下限が決められているのは投資家には嬉しいですが、この先このままの水準を維持できるのか、また株価変動で逆に損をするリスクはないか、同社の業績動向とともに注視していく必要があるでしょう。
商船三井 | ||||
配当金 | 配当利回り | 配当性向 | EPS | |
2020年3月期 | 22円 | 3.73% | 23.8% | 90.93円 |
2021年3月期 | 50円 | 3.87% | 19.9% | 250.99円 |
2022年3月期 | 400円 | 11.70% | 20.30% | 1970.15円 |
2023年3月期 | 560円 | 16.92% | 25.40% | 2204.03円 |
2024年3月期 | 220円 | 4.77% | 30.4% | 722.85円 |
2025年3月期予想 | 340円 | 5.81% | 30.3% | 1128.72円 |
日本郵船 | ||||
配当金 | 配当利回り | 配当性向 | EPS | |
2020年3月期 | 40円 | 3.11% | 21.7% | 61.46円 |
2021年3月期 | 200円 | 5.3% | 24.3% | 274.85円 |
2022年3月期 | 1450円 | 13.48% | 24.3% | 1991.25円 |
2023年3月期 | 520円 | 16.83% | 26.1% | 1993.71円 |
2024年3月期 | 140円 | 3.44% | 29.9% | 468.13円 |
2025年3月期予想 | 310円 | 6.11% | 30.8% | 976.14円 |
川崎汽船 | ||||
配当金 | 配当利回り | 配当性向 | EPS | |
2020年3月期 | 0円 | 0 | ー | 6.28円 |
2021年3月期 | 0円 | 0 | ー | 129.48円 |
2022年3月期 | 600円 | 7.48% | 8.7 | 765.28円 |
2023年3月期 | 600円 | 19.83% | 15.6 | 857円 |
2024年3月期 | 250円 | 4.12% | 57.4 | 145.24円 |
2025年3月期予想 | 100円 | 4.66% | ー | 460.59円 |
商船三井は2027年3月期から始まる次期中期経営計画で、配当性向の目標を40%程度(現在の目標は30%)に高めることを方針として掲げました。
日本経済新聞の取材に対し、株主には「配当を受け取りながら長期で株を持ってもらい、お互いハッピーな形を作りたい」と強調したそう。

商船三井の株はどうなる?今後の予想は?
これまでの内容をまとめると、商船三井のような海運株の株価を動かす主な要因は以下の通りです。
商船三井の株価上昇に繋がる要因 | 商船三井の株価下落・急落に繋がる要因 | |
---|---|---|
海上運賃指数 | 指数が上昇 | 指数が下落 |
世界景気 | 好況になる | 不況になる |
物流需要(荷動き) | 増える | 減る |
会社業績 | 増収見込み | 減収見込み |
配当 | 増配 | 減配 |
為替 | 一定範囲の円安 | 一定範囲の円高 |
株取引き | 株価下落後の押し目買い | 株価上昇後や配当落ち前の利益確定売り |
商船三井の株価は、コロナ特需による事業業績の急伸や配当金の大幅増配などにより、2021年~2022年にかけて急騰しました。
しかし、2023年以降は海運市況の落ち着きとともに同社の業績もピークアウト。
今後の海運株は上昇率が減速するものの、底堅いコンテナや自動車などの輸送需要や、中東情勢不安やトランプ氏の大統領就任などに起因する運賃指数の上昇、減配したものの依然として高めな配当水準などが下支えになる可能性があるとの見方が多くなっています。
実際、2024年度(2025年3月期)の経常利益については、会社予想で前期比+41%の3,650億円を予想しています。
商船三井 | |||
---|---|---|---|
売上高 | 経常利益 | 売上高経常利益率 | |
2022年3月期 | 12,693 | 7,217 | 56.86% |
2023年3月期 | 16,119 | 8,115 | 50.35% |
2024年3月期 | 16,279 | 2,589 | 15.90% |
2025年3月期 会社予想 | 17,900 (前期比+9.96%) | 3,650 (前期比+41.0%) | 20.39% (前期比 +28.24%) |
2025年3月期 アナリスト予想 | 17,740 (前期比+8.97%) | ー | ー |
TradingView社が提供している株価のアナリスト予想(2025年3月時点)では
- 今後1年内に予想される株価最高値は8,000円(+45.35%)
- 今後1年内に予想される株価低値は3,600円(-34.59%)
- 平均目標株価は5,999円(+9%)
となっていて、今後株価が下落するとしたアナリストがやや優勢ですが、予想は概ね半々と見て良いでしょう。

より長期的な観点では、商船三井は非海運事業にも力を入れて海運への依存率を下げるという方向性を示しているため、今後新たな事業が順調に拡大すれば、その成長が株価に反映されることも考えられます。
また「商船三井の経常利益は1円円安に振れると24億円膨らむ」とされており、今後も円安が進んだ場合は株価上昇材料にもなり得るでしょう。
物流量・海上運賃・為替などの動向を詳しく見たい方は、商船三井の「マーケット・データ」が参考になります。
また、商船三井の株価や取引について、一般の投資家の口コミや評価を参考にしたい方は「商船三井【9104】の掲示板」でご確認いただけます。
安定運用なら下落に強いヘッジファンドがおすすめ
商船三井をはじめとる海運株は、世界各国の景気に強く影響を受けるほか、利食い目的の短期売買により株価が短期的に変動しやすく、株価が上昇するのか・下落をするのかの予測がしづらいというのが現状です。
より安定的に高利回りを目指したいのであれば、個人株や投資信託などの他にも、下落から投資家の資産を守ることを目的に登場した「ヘッジファンド」をポートフォリオに含めておくのがおすすめです。

「ヘッジファンド」とは、投資家から資金を集めて金融資産へ投資し、得た利益を投資家に還元する資産運用ファンドです。
- 運用を投資のプロであるファンドマネージャーに任せるため、投資の手間が掛からない
- 投資初心者でもプロの手腕で高い利回りを狙うことができる
- 株式・債券・不動産・デリバティブ・オプションなど多様な資産に投資し、幅広く投資チャンスを狙う
- 「空売り(下落相場などで売りから入る取引手法)」や「レバレッジ」を使用した高度な戦略で、下落相場でも効果的に利益が狙える
このような特徴から、ヘッジファンドは下落相場での耐性が強く、利益獲得の機会が多いため、資産を長期的に安定して増やしていく必要のある厚生年金基金や大学基金、さらには個人の運用先としても選ばれています。
ヘッジファンドの本場はアメリカですが、日本でも優秀なヘッジファンドがいくつか存在します。
500万円~1000万円の投資資金がある場合は、ヘッジファンドの併用も検討してみましょう。
特におすすめのヘッジファンドは、次のとおりです。
年利 | 安定性・信頼性 | 最低投資額 | 資料請求 | 投資手法・対象 | |
---|---|---|---|---|---|
ハイクアInt’l | 12%(固定) | 運営歴10年以上 値動きの影響なし 安定した事業基盤 透明性の高さ | 500万 | 可能 | 新興国企業融資 |
アクション | 2023年設立 | 500万 | 不可 | ・バリュー株 ・事業投資 ・ファクタリング ・Web3事業 |
※アクションは運営年数が少ないため、記載なし。現時点での年利は、25.07%(運用期間2024年4月〜2025年3月)。
おすすめファンド1:ハイクアインターナショナル

運用会社 | ハイクアインターナショナル合同会社 |
---|---|
代表社員 | 梁秀徹 |
本社所在地 | 〒581-0016 大阪府八尾市八尾木北1-44 |
運用歴 | 1年 |
利回り | 年間12%(固定) |
最低投資額 | 500万円 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
運用手法 | SAKUKO VIETNAMへの事業融資 |
公式サイト | ハイクアインターナショナル |
ハイクアインターナショナル(以下「ハイクア社」)は、梁秀徹氏が会長を務めるベトナムの日系企業SAKUKO VIETNAM(以下「SAKUKO社」)に事業融資を行い、その利息収入から投資家へ高利回りの配当を実現するファンドです。
SAKUKO社は年商25億円を売り上げ、2025年にベトナムのUPCOM市場に上場を予定していますが、更なる成長を目指し事業投資を加速させています。また、ベトナムは金利が高い状況があるため、金融機関の貸付金利も日本よりかなり高額です。
そんなSAKUKO社のビジネス基盤と成長性、そしてベトナムの経済状況があるからこそ、年利12%という高い配当利回りを実現しているのです。
年利12%という利回りは、約6年で投資した資産が2倍になる計算となります。他のファンドと違いSAKUKO社の事業収益から直接利息が支払われるため、株価変動や売却タイミングを考慮する必要がなく、リターンの確実性が高いのも魅力です。
透明性の面でも、SAKUKO社の会長であり、ハイクアインターナショナル代表の梁秀徹氏の活動はYouTubeやメディアを通じて公開されており、事業の実態を確認しやすい環境が整っています。さらに、投資家向けには年1回の事業報告会が開催され、無料面談や資料請求を通じて詳細な情報を得ることも可能。
資産を安定的に増やしたいのであれば、まずはハイクア社に無料資料請求か無料の投資面談を申し込んでみてはいかがでしょうか。
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おすすめファンド2:アクション

運用会社 | アクション合同会社 |
---|---|
代表者 | 古橋弘光 |
本社所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門5丁目13−1 虎ノ門40MTビル 7階 |
運用歴 | 1年 |
利回り | 25.07% ※2024年4月〜2025年3月 |
最低投資額 | 500万円 |
運用手法・対象 | ・事業への直接投資 ・バリュー株投資 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
公式サイト | アクション |
アクション合同会社は、2023設立の新興ヘッジファンドです。
トレイダーズインベストメント株式会社の元代表取締役である古橋 弘光氏が代表を務めます。
2024年度は年利25.07%(運用期間2024年4月〜2025年3月)で、投資家からの期待度も高いヘッジファンドです。
- 2024年度は年利25.07%(運用期間2024年4月〜2025年3月)
- 株式や債券に留まらないポートフォリオ戦略
- 最低投資額は500万円~
2024年度は年利25.07%(運用期間2024年4月〜2025年3月)という驚異的な実績を残しています。
年月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2024 | - | - | - | 0.81% | 1.42% | 1.73% | 1.80% | 2.31% | 3.04% | 2.98% | 2.41% | 1.71% |
2025 | 1.95% | 2.54% | 2.38% | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
アクションは株式や債券のほか、Web3事業や事業投資、ファクタリングやESGファンドへの投資などさまざまな対象に分散投資しています。

アクション社への出資に向いている人は以下の特徴にあてはまる人です。
- 信頼性の高いヘッジファンドに投資したい人
- 分散投資によるリスクヘッジをしたい人
- 金融商品の運用をプロに任せたい人
詳しい投資事例や今後の方針については無料の面談で聞くことができますので、まずは公式サイトから問い合わせてみてください。

おすすめ3:GFマネジメント

運用会社 | GF Management合同会社 |
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代表者 | 田尻 光太朗 |
本社所在地 | 東京都千代田区麹町4丁目5-20 |
運用歴 | 1年 |
平均利回り | 年平均29% ※ファンドマネージャーの運用成績 |
最低投資額 | 1,000万円 ※500万円から相談可能 |
運用手法 | 大型日本株でポートフォリオを形成 |
主な投資先 | 大型日本株 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
公式サイト | GFマネジメント |
GFマネジメントは、2023年に設立された新進気鋭のヘッジファンド。社名のGFは「Greed(貪欲)」と「Fear(恐怖)」の頭文字で、ウォーレン・バフェットの投資哲学に基づいています。
運用を担当するファンドマネージャーは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで修士号を取得後、UBS証券やモルガン・スタンレー証券の投資銀行部門で経験を積んだ実力者です。モルガン・スタンレー時代にはテクノロジーやヘルスケア領域のM&A案件等を担当し、その経験を活かした独自の投資戦略を展開しています。
同社が採用するJ-Prime戦略は、日本の大型株や指数ETFを20~30銘柄組み込んだポートフォリオ運用です。銘柄選定では、市場成長性、持続的な収益力、競争優位性という3つの基準を重視。この戦略により、運用開始から277%(資産約3.8倍)という驚異的なリターンを実現しています。
リスク管理面では、1銘柄あたりの投資配分を10%以下に制限するなど、慎重な運用姿勢も特徴です。ただし、運用期間中に一時的なマイナスを記録することもあるため、3〜5年の中長期での投資が推奨されます。投資開始額は500万円からで、月次での運用レポート提供など、情報開示にも積極的です。
GFマネジメントは日本株の優良企業ポートフォリオで中長期で大きなリターンを狙いたい方におすすめです。
以下の記事では、上記を含めた日本のおすすめヘッジファンドをランキング形式で紹介しているので、ぜひご参考ください。

まとめ
本記事では、商船三井の事業内容や業績推移、直近4年の株価急落の理由、高配当の理由、今後の株予想などを中心に解説しました。
商船三井の株式は2025年1月に2007年以降17年ぶりの高値を記録しましたが、そもそも海運業は外的要因の影響を強く受ける分野ですので、株価の動きも、高水準の配当金も結局は今後の海運市況次第。
商船三井などの海運業株は、安定的に利益を求める人には最適な投資先とは言えないでしょう。
資産を効率的に増やしていくには出来る限り「減らさない」運用が大切です。
本記事で紹介したヘッジファンドなどもポートフォリオに組み込み、安定的な運用を目指しましょう。