世界を股にかけ、巨額の資金を動かすヘッジファンド界の王者「シタデル (CITADEL)」。
高度なクオンツ分析と独自のアルゴリズムを武器に、年率数十%のリターンを叩き出す、今最も勢いのあるヘッジファンドです。
最近は日本の電力市場に参入し、日本オフィスの開設を準備するなど、日本の金融市場への再進出が投資家やメディアの注目を集めています。
世界最大かつ最も成功しているヘッジファンドの一つとも言われるシタデルとはどのようなヘッジファンドなのか。
本記事では、シタデルの会社概要や投資戦略の特徴、シタデルの強さの秘密、日本市場進出を含む同社の動向などを解説します。
また記事内では、日本の個人投資家でも投資できる国内優良ヘッジファンドもご紹介しますので、ヘッジファンドや高利回りな投資先に興味のある方はぜひお読みください!
シタデル(CITADEL)はどんなヘッジファンド?
シタデルについてよく知らない方のために、まずは会社概要や創業者、事業内容について紹介します。
シタデルは世界的に有名なアセットマネジメント会社
シタデル (CITADEL)は、米国を拠点とする世界的にも有名なヘッジファンド及びオルタナティブ投資会社です。
多岐にわたる金融サービスを提供しており、その規模と影響力は非常に大きいため、金融業界で知らない人はいないと言っても過言ではありません。
会社名 | シタデルLLC(旧称:シタデル・インベストメント・グループLLC) 英語名称:Citadel LLC |
---|---|
設立日 | 1990年 |
創業者兼CEO | ケネス・C・グリフィン |
本社 | 米フロリダ州マイアミ |
運用資産残高 | 630億ドル(2024年8月時点) |
設立~23年末の純利益 | 740億ドル |
関連会社 | ・Citadel Advisors LLC ・Citadel Securities(別会社)等多数 |
公式サイト | https://www.citadel.com/ |
シタデルは多くの関連会社で巨大な組織を形成していますが、詳細な情報は公表されておらず、全てを完全に理解するのは困難です。簡単に言うと「シタデルLLC」の下に様々な関連会社が紐づいているとイメージいただくと良いかと思います。
上記シタデルグループの中で、アセットマネジメントの役割を担っているのは「Citadel Advisors LLC」です。同社の下にさらに各ヘッジファンドが紐づき大きなヘッジファンドを組織しています。
シタデルグループの設立は1990年、ケン・グリフィン(Ken Griffin)によって設立されました。
2024年8月時点の運用資産残高は630億ドル(同日時点の為替レートで約9.39兆円)、2023年の純利益は81億ドル。
設立以来の純利益ランキング(LCHインベストメンツ調べ)では、2022年から2年連続で首位を獲得し、グリフィンは「最も収益性の高いヘッジファンドマネージャー」の称号を得ています。
2022 ランキング | 2023 ランキング | ヘッジファンド名 | 国 | 設立以来の 純利益 | 2023年 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | Citadel(シタデル) | 米国 | 740億ドル | 81億ドル |
3 | 2 | D. E. Shaw(DEショー) | 米国 | 561億ドル | 42億ドル |
4 | 2 | Millennium(ミレニアムマネジメント) | 米国 | 561億ドル | 57億ドル |
2 | 4 | Bridgewater(ブリッジウォーター) | 米国 | 558億ドル | -26億ドル |
6 | 5 | Elliott(エリオット) | 米国 | 476億ドル | 55億ドル |
5 | 6 | Soros(ソロス) | 米国 | 439億ドル | – |
14 | 7 | TCI | 米国 | 413億ドル | 120.9億ドル |
7 | 8 | Viking(バイキング) | 米国 | 409億ドル | 60億ドル |
8 | 9 | Baupost(バウポスト) | 米国 | 370億ドル | 38億ドル |
9 | 10 | Farallon(ファラロン) | 米国 | 357億ドル | 26億ドル |
11 | 11 | Lone Pine(ローン・パイン) | 米国 | 356億ドル | 42億ドル |
10 | 12 | Appaloosa(アパルーサ) | 米国 | 350億ドル | 27億ドル |
※ランキング参考:
Reuters|Top global hedge funds tripled gains for clients in 2023, LCH finds
日本経済新聞|大型ヘッジファンド好成績 2023年、マネー流入加速
2022年~2023年の金融市場は、コロナウイルスの拡散からの経済回復、急激なインフレ、そして金融政策の引き締めへと大きく転換し、非常に市場変動の激しい時期でした。
株式や債券が同時に下落するなど、従来のポートフォリオでは対応が困難な状況も見られたため、ヘッジファンドシタデルのような、金融テクノロジーを駆使した高頻度取引やアルゴリズム取引等を通じたオルタナティブ投資(多様な資産クラスに分散投資する)が相対的に良い成績を収めました。
創業者はケン・グリフィン (Ken Griffin)
シタデルの創業者で現在CEOを務めるケン・グリフィン(ケネス・C・グリフィン)は、毎年数十億ドルの年収を稼ぐ大富豪で、アメリカの経済誌フォーブスが発表する「2023年度のアメリカで最も裕福な400人ランキング(個人)」では、22位にランクインしています。
1968年10月15日生まれのグリフィンはまだ50代で、学生時代から会社経営や投資に親しみ、米ハーバード大学に入学後は自身初の投資ファンドを組成しています。
1990年のシタデル設立時には460万ドル程であった運用資金は、2024年8月時点で約630億ドルとなり、世界有数の優良ファンドへと成長しました。
グリフィンはまた、シタデルLLCとは資本関係にはないものの、米国最大級の※マーケットメイキング会社である「シタデルセキュリティーズ (Citadel Securities)」の設立者でもあります。(シタデルセキュリティーズは、日本拠点である「シタデル・セキュリティーズ証券株式会社」を設立して2022年9月には日本証券業協会に加盟、日本でも事業を開始しています。)
マーケットメイキングとは、金融市場で常に買いと売りの両方の価格を提示し、市場の流動性を高めたり価格の安定化を図る事を意味する言葉です。
さらにグリフィンは、熱心な慈善活動でも有名で、教育や医療関連などの様々な事業に約22億ドルの多額の寄付を行っています。
ヘッジファンド・シタデルの事業部門
シタデルでは5つの部門に分かれて投資戦略を展開しています。
1.コモディティ部門(2022年設立)
コモディティは、原油・天然ガス・電力・天候デリバティブなどの商品や原材料を指します。
コモディティの価格は、需給バランスや地政学リスク、気候変動などの様々な要因により変動するため、コモディティ部門では、膨大なデータを収集・分析して市場の動きをモデル化し、ファンド運用に活用しています。
コモディティ取引では、2022年には70億~80億ドル、2023年には40億ドルの利益を上げ、シタデルグループの利益増加に貢献しています。
2.株式部門
株式部門は、シタデルで最も運用期間が長く、かつ最大規模の投資部門です。企業の財務状況や経営状況などのデータを分析し株価を予測する「ファンダメンタル分析」に基づき、利益が見込める有望な企業を選出します。
またアプローチ方法は、ロング(買い)とショート(売り)を併用するマーケット・ニュートラルや、M&Aや業務提携などのベント時に生じる株価変動で利益を出すイベント・ドリブンが主な戦略です。
3.債券・マクロ部門(1999年設立)
ヘッジファンドシタデルの債券・マクロ部門は、債券や為替といった固定所得商品と、マクロ経済を対象とした取引を行う部門です。
株式部門とは異なり、マクロ経済をより長期的に分析し、債券・通貨・株式・コモディティなどの広範囲な資産クラスに分散投資を行います。
4.クレジット・コンバーチブル部門(1990年設立)
クレジット・コンバーチブル部門は、社債、転換社債、ハイイールド債、クレジット・デフォルト・スワップ、銀行ローン、ローン担保保証兼(CLO)などを中心に投資を行う部門です。
一つ一つの用語解説は省きますが、要は、企業の信用力や経営状況を分析して、市場で過小評価されている割安な債券銘柄を選定し、適正価値に戻ったタイミングで収益を確定するという戦略を取る部門です。
5.グローバル・クオンツ・ストラテジーズ部門(2012年設立)
ヘッジファンドシタデルのGQS部門は、定量的な分析と高度なアルゴリズムを駆使して、株式・先物・債券・通貨などの様々な金融商品を高速かつ高頻度で取引する部門です。
グリフィンが大学時代に最初に始めたのは転換社債(コンバーチブル)取引で、ヘッジファンドシタデルも設立当初は転換社債アービトラージを中心とした運用でした。
そこから時代の流れや市場の動きに合わせて、マルチストラテジー戦略へとヘッジファンドの運用方法を進化させてきました。
現在のシタデルは、金融テクノロジーとそれを操れる優秀な人材を高年収を条件に集め、多種多様な商品と戦略を組み合わせることで、市場環境に左右されない安定的な収益を目指しています。
このような優秀なファンドがあるのならば是非投資してみたいという人もいるかと思いますが、残念ながらシタデルへ一般の個人投資家が直接投資することは困難です。
シタデルの主要顧客は、主に機関投資家や大口の個人投資家で、億を優に超える投資資金が必要だからです。
日本国内で、比較的少額(とはいえ500万円以上ですが)からヘッジファンド投資をしてみたいという方は、ヘッジファンド運用を行う国内の運用会社を利用するのがおすすめです。
ヘッジファンド・シタデルの主力ファンド
ヘッジファンドシタデルがどのような企業かお分かりいただけたところで、次はシタデルの主要ファンドについてご紹介します。
シタデルは複数のヘッジファンドを運用していますが、最も有名な旗艦ファンドとして挙げられるのは、ウェリントンファンドとケンジントン・グロバール・ストラテジーズの2つのヘッジファンドです。
- Citadel Global Fixed Income Master Fund Ltd.
- Citadel Multi-Strategy Equities Master Fund Ltd.
- Citadel Kensington Global Strategies Fund Ltd.
- Citadel Equity Fund Ltd.
- Citadel Treasury International Ltd.
- Citadel Quantitative Strategies Master Fund Ltd.
- Citadel Wellington LLC
- Citadel Kensington Global Strategies Fund II Ltd
- Citadel Tactical Investors II LLC
ウェリントンファンド(Wellington)
ウェリントンファンドは、シタデルの多様な投資戦略を結集した※マルチストラテジー戦略をとる、米国国内の投資家向けのヘッジファンドです。
複数の異なる投資戦略を組み合わせて運用する投資手法のこと。株式・債券・デリバティブなどの様々な資産クラスに投資し、多様な投資戦略を組み合わせることで、リスクを分散しながら安定した収益を目指す。
ウェリントンファンドは、シタデル設立時の1990年から運用されていて、運用資産残高は2024年5月末時点で145億ドルと、過去5年間で2倍に成長しました。
運用成績が安定しているのも特徴で、過去にマイナスになった年は2回のみ。運用開始以来の平均利回りは年率19.6%と高いパフォーマンスを維持しています。
ケンジントン・グロバール・ストラテジーズ(Kensington Global Strategies)
1995年に運用がスタートしたケンジントン・グロバール・ストラテジーズも、ウェリントンファンドと同じくマルチストラテジー戦略で運用されていますが、主な出資者は国内ではなく海外の投資家です。
過去の運用の中で、2008年に一度マイナス55%の巨額の損失を計上したものの、2012年には損失分を全て取り戻した後は安定した運用を続けており、資産残高は272億ドルに膨らんでいます。
ヘッジファンド・シタデルの特徴と強み
ヘッジファンドは、投資信託のような特定の指標に沿う運用ではなく、どのような市場環境でも利益を狙う絶対収益を目標として運用を行います。
こう聞くとヘッジファンドでは常に利益を出し続けられるような気がしますが、実際には20年間生き残れるヘッジファンドはわずか3%程度と言われています。
これはヘッジファンドが多額の資金を扱っていることや、高いレバレッジを掛けてリスクの高い運用で高利回りを狙うことなどが関係しています。
つまり世界でも指折りの秀才が集まるヘッジファンドでも、運用に失敗してしまうことが少なくないという事です。
前置きが長くなりましたが、このような厳しい環境で30年以上の間高いパフォーマンスを出し続け、2022年・2023年のヘッジファンドランキングを連覇したヘッジファンドシタデルの強みとは何なのでしょうか?
投資戦略(マルチストラテジー)
ヘッジファンドシタデルではマルチストラテジーを採用しており、株式・債券・デリバティブ・クレジット・定量取引などの幅広い戦略を掛け合わせることで、複雑で予測の困難な市場でも柔軟に対応し利益を生みだしています。
マルチストラテジーでは、値動きの相関性の異なる市場や投資手法を組み合わせること、ポートフォリオ全体のリスクが軽減できるほか、利益獲得の機会を最大化できるため高い収益性が期待できます。
既出の「2023年のヘッジファンド設定来の純利益ランキング」で2位につけていた「DEショー」や3位の「ミレニアム・マネジメント」もマルチストラテジーを採用しており、近年ではマルチストラテジーファンドの好成績が際立つようになってきています。
クオンツ投資
クオンツ(Quantitative)は「数量的」や「定量的」を意味する言葉で、数理モデルや統計学などを用いて投資を行う方法です。
ヘッジファンドシタデルは、クオンツ投資に力を入れていることでも有名で、高度な数学的手法を用いて膨大な金融データを分析し、過去の価格変動の分析や将来の変動予想などから投資決定を行います。
またクウォンツ投資では、分析データと独自のアルゴリズムに基づき、コンピュータを用いて高速かつ高頻度で取引を行うため、運用の効率化が期待できるほか、人間の目と知識ではカバーしきれないような投資機会を見つけることも可能になります。
徹底したリスク管理
ヘッジファンドシタデルは徹底したリスク管理が強みで、投資事業から独立した専門のポートフォリオ構築およびリスクグループが、リスク管理を統括しています。
リスク管理においては、リスク資本配分、ストレス・エクスポージャー、流動性管理の3点に重点を置いており、これによりシタデルの高いパフォーマンスの維持が可能になっています。
■リスク資本配分‥リスクに応じて資産を配分することで全体的なリスクを管理すること
■ストレス・エクスポージャー‥市場変動に対するポートフォリオの脆弱性を測ること
■流動性管理‥保有する資産を迅速に現金化できる能力を確保すること
リスク管理センターでは、毎日数百通りのテストを行うなどしてストレス・エクスポージャーを行い、好調な市場では高いパフォーマンスを発揮し、不調な市場では投資家の資本を守れるポートフォリオの構築を目指しています。
グリフィン自身も、「多くの選択肢の中で、正しい判断をするためには、リスクを考慮することが不可欠である」というような意味の格言を残していますね。
Risk management is the pillar of stability at the crossroads of opportunity.
引用:Ken Griffin
優秀な人材と組織力
シタデルは人材採用に力を入れており、金融工学・統計学・物理学・数学・コンピューターサイエンスなど、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材を採用し、多角的な視点から投資を行っています。
同社の社員は非常に高年収であることでも有名で、社内では全員がランク付けされ、そのランクに応じて年収が決まるシステムになっており、社員のモチベーション維持にも繋がっているそうです。
またニューヨーク・シカゴ・ロンドン・香港、上海など世界7カ国に16の拠点を展開し、グローバルな組織を構築し互いに連携し合うことで、多様な情報収集と投資機会の獲得を実現しています。
ヘッジファンドの運用の特徴や強みは、ファンドそれぞれに個性があり多様です。
投資信託とは一味違った運用に興味のある方は日本のヘッジファンドなどもチェックしてみると良いでしょう。
ヘッジファンド・シタデルの近況(最新ニュース)と今後の動向
では最後に、近年勢いの増すヘッジファンドシタデルの近況について、関連ニュースをご紹介します。
(2023年3月)日本市場への参入に向けて東京オフィス開設を計画
2023年3月、シタデルは東京にオフィスを開設し、約10年ぶりに日本での事業を再開することを発表しました(オフィス開設時期は未定)。
詳細はまだ非公開であるものの、影響力のある大手ヘッジファンド「シタデル」の日本市場への参入は、海外マネーの流入による日本企業の株価上昇に繋がることが期待できるほか、日本の金融業界に新たな競争をもたらし、活性化に繋がる可能性もあるでしょう。
日本国内での人員採用を目指しているとの話もあり、関連業界でのキャリアがある人には関心の高いニュースでしょう。
(参考:Bloomberg|Citadel to Resume Hedge Fund Business in Japan With Tokyo Office)
(参考:日経新聞|シタデル創業者、日本再進出「企業の株主重視は好機」)
(2024年1月)ヘッジファンドシタデルが指数リバランス戦略による取引を縮小
指数リバランス戦略(インデックス・リバランスとは、S&P500やNASDAQなどの指数の構成比率をポートフォリオに反映させ、その比率が変動した場合に、定期的に売買を行い、元の比率に戻すことを目指す戦略です。
インデックス・リバランスは、シンプルな戦略で多くの運用機関や投資家が採用しているため、競争が激化し、収益性の維持が難しくなって来ています。
近年は投資商品の多様化やクオンツ投資など投資手法が進化しているため、シタデルはより収益性の高い戦略に注力しようとしているのかもしれません。
(参考:Bloomberg|シタデルが指数リバランス投資戦略を縮小、他社に追随-関係者)
(2024年6月)日本の電力卸売企業「エナジーグリッド」を全株買収
エナジーグリッド株式会社は、日本の電力の小売り・卸売取引・商品先物取引などを手掛ける2021年設立の新興企業です。シタデルは2024年6月、コモディディー部門主導でこのエナジーグリッドを買収し、日本の電力取引市場へ参入しました。
シタデルの日本企業の買収はこれが初であるだけに、経済紙各紙で大きく取り上げられました。
ヘッジファンドシタデルは元々2001年頃からエネルギー事業にも力を入れており、クオンツ手法を駆使して変動の激しいエネルギー市場の動きを予測し、投資を行ってきました。
日本の電力市場も電力小売りの全面自由化、再生可能エネルギーの拡大、デジタル化などにより電力価格の変動がより高まる可能性があるため、シタデルが日本にビジネスチャンスを見出したものと考えられます。(参考:日本経済新聞|米シタデル、日本で初の企業買収 電力取引市場参入へ)
ヘッジファンド投資に興味のある方は国内優良ファンドもチェック!
近年、世界中の政経状況や様々な金融商品の値動きが四方八方でリンクし合い、市場の動きは日々日々複雑になってきています。
運用商品や取引手法も年々多様化しており、投資リスクが高まる一方で、利益獲得の機会は増えつつあります。
このような投資環境で出来る限りリスクを抑え投資で高い利益を上げるには、ヘッジファンドの活用が非常に効果的であると言えるでしょう。
前述のように、残念ながらシタデルのような巨大ヘッジファンドに個人が投資をすることは難しいですが、日本にも個人の資金レベルで投資できる優れた和製ヘッジファンドが多く存在します。
■まとまった資金があるのに銀行に貯金したままになっている
■高額資金を自分で適切に運用する自信がない
■自分で投資したいけど時間がない
■投資をプロに任せて手間暇要らずで資産運用したい
このような状況に当てはまる方にはヘッジファンドがおすすめですので、一度検討してみるとよいでしょう。
- 投資家から集めた資金を投資のプロ(ファンドマネージャー)が広く分散投資
- 投資知識のない初心者でもプロの手腕で高い利回りを狙うことができる
- 運用を委託するため、株や不動産投資のような投資の手間が掛からない
- 株式・債券・デリバティブ・オプションなど多様な資産に投資するため、分散性や収益性が高い
- 空売りやレバレッジを使用した高度な戦略で、下落相場でも効果的に利益が狙える
日本のヘッジファンドにも様々ありますが、中でもおすすめなのは次の4社です。
期待年利 | 最低投資額 | 問い合わせ | 投資手法・対象 | |
---|---|---|---|---|
BMキャピタル | 10%~ | 1000万 | 面談 | ・バリュー株 ・アクティビスト |
ハイクアInt’l | 12%(固定) | 500万 | 面談または 資料請求 | 新興国企業融資 |
アクション | 31%〜 | 500万 | 面談 | ・バリュー株 ・事業投資 ・ファクタリング ・Web3事業 |
GF | 29%〜 | 1000万 *500万~ 相談可 | 面談 | 大型日本株 |
運用会社 | ビーエムキャピタル合同会社(BM CAPITAL LLC) |
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代表者 | 森山武利(たけとし) |
本社所在地 | 東京都港区六本木7-18-1 |
運用歴 | 10年以上 |
平均利回り | 年利10%〜 |
最低投資額 | 1,000万円 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
運用手法 | ・バリュー株投資 ・アクティビスト投資 ・イベントドリブン戦略 |
主な投資先 | 日本株 |
ロックアップ期間 | 3ヶ月 |
公式サイト | BMキャピタル |
BMキャピタルは2013年に設立された老舗ヘッジファンドです。
主な投資先は日本のバリュー株。
バリュー株とは、何かしらの理由で本来の企業価値より株価が割安になっている銘柄を指します。
企業が再評価され、投資家による見直し買いなどによって株価が適正な価格に戻ることで、その差益が利益になる手法を「バリュー株投資」と言い、BMキャピタルではこれをメインの投資手法としているのです。
まず、株式が割高なのか・適正価格なのか・割安なのかを見分けるのは個人投資家には判断が難しいもの。
企業の業績に加え、PER(株価収益率)、BPR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)などの指標から、数値がどれほど低いのか(または高いのか)で銘柄をスクリーニングしなくてはならず、これら分析には豊富な知識と経験が必要となるのです。
また、バリュー株を適切に保有したとしても、個人投資家の場合は株式保有数に限りがあるため企業への積極的な発言は難しく、ただ値上がりを待つしか術はないでしょう。
しかしBMキャピタルでは、バリュー株を大量保有して大株主になることで「アクティビティスト」として企業への積極的な働きかけが可能となるため、より効果的な値上がりを期待することが可能となります。
さらに、イベントドリブン戦略(簡単に言うと、企業の経営に影響を与える合併・買収・新商品開発といった重要なイベントが発生した時に生じる株価の変動を収益機会ととらえて投資をすること)を兼ね合わせることで更なる収益獲得の機会を得ます。
加えてヘッジファンドの運用形態上、BMキャピタル「ショートポジション(空売り)」も取れますので、下落相場でも利益獲得を目指すことが可能。
- バリュー株投資
- アクティビティスト投資
- イベントドリブン戦略
- ショートポジション(空売り)
上記4つの戦略と手法を組み合わせて運用ができることが強みのBMキャピタルでは、平均年利10%以上・運用開始以来マイナスの年ゼロの偉業を成し遂げることができるのです。
BMキャピタルの運用の強さについて、より詳細を聞きたい方は以下の公式サイトから面談の申し込みをどうぞ。
担当者が直接、過去の実績や資料などと共に詳しく教えてくれますよ!
運用会社 | ハイクアインターナショナル合同会社 |
---|---|
代表社員 | 梁秀徹 |
本社所在地 | 〒581-0016 大阪府八尾市八尾木北1-44 |
運用歴 | 1年 |
利回り | 年間12%(固定) |
最低投資額 | 500万円 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
運用手法 | SAKUKO VIETNAMへの事業融資 |
公式サイト | ハイクアインターナショナル |
合同会社ハイクア・インターナショナル(以下、ハイクア社)は、2023年に設立された日本の運用会社です。
会長の梁 秀徹(ヤンスチョル)氏が会長を兼任しているベトナム企業「SAKUKO Vietnam co ltd」(以下、サクコ社)への事業融資から利益を得るという、新しいスタイルの投資手法を採用しています。
利回りは年12%固定で3月、6月、9月、12月の年4回、3%の分配金が投資家へ配当されます。
- 3カ月ごと3%、年利12%の配当を受け取れる
- 最低投資額は500万円~
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運用の仕組みは、以下の図の通りです。
- 投資家がハイクア社に出資する
- ハイクア社がサクコ社に融資する
- サクコ社が利益をハイクア社に還元する
- ハイクア社が投資家に配当を支払う
リターンは年間12%が固定されており、以下のような特徴に当てはまる方におすすめの資産運用先です。
- 年に4回の分配金を得たい人
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最低投資額は500万円からと、他のヘッジファンドと比較しても投資しやすい金額設定になっています。
また資料請求のみの問い合わせもできることから、いきなり面談をすることに抵抗がある方も、一歩を踏み出しやすいでしょう。
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運用会社 | アクション合同会社 |
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代表者 | 古橋弘光 |
本社所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門5丁目13−1 虎ノ門40MTビル 7階 |
運用歴 | 1年 |
平均利回り | 過去4年平均31% |
最低投資額 | 500万円 |
運用手法 | ・アクティビスト投資 ・バリュー株投資 |
主な投資先 | 日本株 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
公式サイト | アクション |
アクションは、バリュー株投資やアクティビスト投資戦略で利回りを追求しているヘッジファンドです。
バリュー株投資は、割安株を選定して投資する戦略。アクティビスト投資は投資先企業の株式を取得した上で、経営陣に積極的な提言を行い、株式価値の向上を図る手法です。
アクションの運用実績は極めて堅調で、直近4年間で年間利回りのマイナスを一度も記録せず、年平均31%という高い利回りを実現しています。このような高いパフォーマンスを支えているのが、豊富な資金力と専門的な投資戦略です。
透明性の面でも、役員陣の顔写真、名前、経歴をウェブサイト上で公開するなど、ヘッジファンドとしては珍しい積極的な情報開示を行っています。
投資条件としては、最低投資金額が500万円と、比較的少額から始められる点が特徴です。出資を検討する場合は、無料のオンライン面談で詳しい説明を受けることができ、その後契約するかどうかを判断できます。
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運用会社 | GF Management合同会社 |
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代表者 | 田尻 光太朗 |
本社所在地 | 東京都千代田区麹町4丁目5-20 |
運用歴 | 1年 |
平均利回り | 年平均29% ※ファンドマネージャーの運用成績 |
最低投資額 | 1,000万円 ※500万円から相談可能 |
運用手法 | 大型日本株でポートフォリオを形成 |
主な投資先 | 大型日本株 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
公式サイト | GFマネジメント |
GFマネジメントは、2023年に設立された新進気鋭のヘッジファンド。社名のGFは「Greed(貪欲)」と「Fear(恐怖)」の頭文字で、ウォーレン・バフェットの投資哲学に基づいています。
運用を担当するファンドマネージャーは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで修士号を取得後、UBS証券やモルガン・スタンレー証券の投資銀行部門で経験を積んだ実力者です。モルガン・スタンレー時代にはテクノロジーやヘルスケア領域のM&A案件等を担当し、その経験を活かした独自の投資戦略を展開しています。
同社が採用するJ-Prime戦略は、日本の大型株や指数ETFを20~30銘柄組み込んだポートフォリオ運用です。銘柄選定では、市場成長性、持続的な収益力、競争優位性という3つの基準を重視。この戦略により、運用開始から277%(資産約3.8倍)という驚異的なリターンを実現しています。
リスク管理面では、1銘柄あたりの投資配分を10%以下に制限するなど、慎重な運用姿勢も特徴です。ただし、運用期間中に一時的なマイナスを記録することもあるため、3〜5年の中長期での投資が推奨されます。投資開始額は500万円からで、月次での運用レポート提供など、情報開示にも積極的です。
GFマネジメントは日本株の優良企業ポートフォリオで中長期で大きなリターンを狙いたい方におすすめです。
以下の関連記事では、上記4社を含めた日本のおすすめヘッジファンドをランキング形式で紹介しているので、より多くの選択肢をご覧になりたい方はこちらをご覧ください。
ヘッジファンド・シタデル:まとめ
本記事ではヘッジファンドランキング王者のシタデルの特徴と日本市場進出を含めた最近の動向について解説しました。
1990年からすでに30年以上ヘッジファンド運用を続けているシタデルですが、投資戦略は転換社債取引中心からクオンツ投資を武器としたマルチストラテジー戦略へと時代の流れに合わせて進化させてきました。
近年では、日本市場への再進出を表明し、日本の電力市場に参入するなど、今後は特にシタデルをはじめとする「ヘッジファンド」の存在感と影響力が増していくことでしょう。
これまでヘッジファンドに馴染みのなかった方も、この記事を機に様々なヘッジファンドの情報に触れてみてはいかがでしょうか。