「おおぶねはなぜやばいと言われてるの?」
「おおぶねの今後の見通しが知りたい!」
「おおぶねの運用利回りは?」
農林中央金庫(農林中金)が個人投資家に向けて販売する投資信託おおぶねシリーズ。
農林中金おおぶねは、安定性・信頼性・透明性に優れ、評価機関や投資家から高い評価と評判を得ている投信です。
にも拘わらず、一部では「おおぶねはやばい」という声が上がっているよう。
そこで本記事では本ファンドがやばいと言われる理由を、ファンドの投資方針や運用状況・利回り・投資費用・口コミ評判・今後の見通しなどから総合的に解説。
相場に左右されず高利回りを狙えるヘッジファンドもあわせて紹介していますので、参考にしてください。
農林中金おおぶねがやばいと言われる理由
農林中金おおぶねの運用状況や評価・評判などの詳細に入る前に、結論からお話すると、農林中金おおぶねは以下の理由から「やばい」と言われているようです。
- 「おおぶね」の手数料と運用利回りが割に合わないから
- 「おおぶね」の投資先である米国市場の見通しが暗いから
- 今後の為替動向が「おおぶね」には向かい風になるから
では具体的にどういうことなのか、以下の章で続けて見ていきましょう。
農林中金おおぶねの運用利回りは?
少し長くなりましたがおおぶねシリーズの概要が分かったところで、各ファンドの運用利回りを見ていきましょう。
<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
基準価額:26,950円 (2024/5/23)
価格推移チャート:チャート参照
分配金(直近):200円
2024年4月末時点 | 1年 | 3年 | 5年 |
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リターン(年率) 青文字は同分類の投信の平均値 S&P 500 (配当込み) 円建て | +31.38% (+41.26%) (+38.4%) | +15.64% (+16.32%) (+20.4%) | +16.43% (+16.78%) (+20.9%) |
リスク(年率)※標準偏差 青文字は同分類の投信の平均値 | 13.68% (14.27%) | 15.16% (15.62%) | 15.47% (17.76%) |
シャープレシオ(年率) 青文字は同分類の投信の平均値 | 1.93 (2.36) | 1.04 (1.05) | 1.07 (0.97) |
「長期厳選投資 おおぶね」の運用パフォーマンスは可もなく不可もなくといった感じ。表中に青文字で示した同分類ファンドの平均値と比較しても分かる通り、これまでの「長期厳選投資 おおぶね」の運用はリターンリスクともに平均的です。
しかし、赤文字で示した「S&P 500 (配当込み) 円建て」と比較すると中長期でもリターンが劣後しています。「長期厳選投資 おおぶね」がアクティブファンドであることを踏まえると、高評価は付けがたい状態です。
ただし「おおぶね」シリーズの投資方針は、短期的な株価の変動に踊らされず、将来的に継続して利益を生みだせる企業への投資ですので、もう少し長期的に動向を見守りたいところです。
<パートナーズ>おおぶねグローバル(長期厳選)
基準価額:21,938円 (2024/5/23)
価格推移チャート:チャート参照
分配金(直近):33円
2024年4月末時点 | 1年 | 3年 |
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リターン(年率) 青文字は同分類の投信の平均値 | +24.98% (+34.73%) | +13.30% (+14.49%) |
リスク(年率)※標準偏差 青文字は同分類の投信の平均値 | 12.22% (13.02%) | 14.95% (14.71%) |
シャープレシオ(年率) 青文字は同分類の投信の平均値 | 1.93 (2.21) | 0.91 (1.00) |
「おおぶねグローバル(長期厳選)」は設定から5年未満で、ファンドの腕を正確に判断できるほどの十分なデータはありませんが、これまでの運用成績から判断できる範囲で評価すると、同ファンドもリターンリスクともに平均的です。
<パートナーズ>おおぶねJAPAN(日本選抜)
基準価額:14,857円 (2024/5/23)
価格推移チャート:チャート参照
分配金(直近):31円
2024年4月末時点 | 1年 | 3年 |
---|---|---|
リターン(年率) 青文字は同分類の投信の平均値 TOPIX トピックス (配当込み) | +21.86% (+31.82%) (+36.4%) | +8.60% (+12.50%) (+15.9%) |
リスク(年率)※標準偏差 青文字は同分類の投信の平均値 | 14.08% (14.56%) | 11.68% (12.21%) |
シャープレシオ(年率) 青文字は同分類の投信の平均値 | 1.40 (1.80) | 0.77 (1.03) |
「おおぶねJAPAN(日本選抜)」もまだ設定から5年未満の運用期間の短いファンドです。これまでの運用成績から判断できる範囲で評価すると、同ファンドもリスクは中間、リターンは正直いまいちです。
表中に赤色で示したTOPIXと比べても、リターンが劣後していますね。
農林中金の「おおぶね」シリーズはまだそれほど運用期間が長くないため、長期厳選投資を主軸とする「おおぶね」の実力を判断するには、もう少し長期的な目線で見守る必要がありそうです。
ただし、「おおぶね」は市場の動きに合わせた頻繁な売買を行わないため、市場をオーバーパフォームするような派手な利益を見込むのは難しいかもしれませんね。
農林中金(農林中央金庫)おおぶねとは?
一般の個人投資家に広く販売されている投資信託「おおぶね」シリーズは、農林中央金庫(通称:農林中金)のグループ会社である「農林中金全共連アセットマネジメント」と「農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)」が運用を行う投資信託ファンドです。
※なぜ運用会社が2社なのかは後ほど解説します。
そもそも農林中金とは
投資信託「おおぶね」のそもそもの母体である農林中金は、JA(農業協同組合)・JForest(森林組合)・JF(漁業協同組合)を統括する中核的な金融機関であるだけでなく、JAバンク・JFマリンバンクの資産運用を担い世界に幅広く投資を行う国内最大規模の機関投資家としての姿も持っています。
2023年3月末時点の農林中央金庫の運用資産残高は約50兆円で、三菱UFJアセットマネジメント・野村アセットマネジメントなどの資産運用会社と並んで、運用資産残高は国内トップクラスです。
農林中金は、中長期的に安定した収益を会員に還元する事を目的として投資ビジネスを行っていますが、その一環として「農林中金全共連アセットマネジメント」や「農林中金バリューインベストメンツ」などのグループ会社を設立し、運用を分担しています。
「おおぶね」シリーズの特徴と投資哲学
では本題に戻って、農林中金の投資信託「おおぶね」はどのようなファンドなのでしょうか?
投資信託「おおぶね」の運用を指揮するファンドマネージャーは、農林中金バリューインベストメンツの最高投資責任者である奥野一成(おくのかずしげ)氏。
下のように、30年以上に渡り様々な金融機関で運用や金融業務に携わり、ベストセラーとなった『ビジネスエリートになるための教養としての投資』など複数の投資関連著籍も執筆されています。
奥野氏の貫く投資哲学は「長期厳選投資」で、「構造的に強靭な企業®」に厳選して長期的に投資を行うことで、日々の価格変動に惑わされることなく、長期的に安定した資産形成を行うことが出来るというものです。
本投資信託の「おおぶね」というネーミングも、「荒波でも揺れの少ない大きな船のように、不安定な相場にも強く、資産を安心して預けられる投資信託」というコンセプトに由来しています。
- 付加価値の高い産業
- 圧倒的な競争優位性
- 長期的な潮流
農林中金「おおぶね」は、企業訪問や厳密な調査のもと、上の3つの条件を持ち合わせた企業のみに投資。
これら「構造的に強靭な企業®」に中長期的に投資することで、日々の値動きの影響を最小限に押さえながら長期的な資産の成長を目指します。
ちなみに「おおぶね」の購入者は「おおぶねメンバーズサイト」へのアクセスが認められていて、こちらのサイトを通して、ファンドマネージャーに直接質問ができるメンバーズカンファレンス(毎月開催)や年次総会にも参加することが出来ます。
運用者と実際に対話が出来る機会を提供している投資信託はなかなかないでしょう。
「おおぶね」シリーズを構成するファンドは3種類
「おおぶね」は実はシリーズ展開されていて、3種類のファンドタイプがあります。
<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
1つ目に解説する「長期厳選投資 おおぶね」は、成長性と持続性の高い米国市場に上場する企業に投資するファンドです。
運用会社 | 農林中金全共連アセットマネジメント ※農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)から投資助言を受け運用 |
---|---|
ファンドマネージャー | 奥野一成 |
投資対象 | 米国株式市場(為替ヘッジなし) |
投資形式 | マザーファンドに投資するファミリーファンド方式 |
運用分類 | アクティブ運用(ベンチマークなし) |
組入銘柄 | 約20〜30社 |
純資産総額(2024/5/21) | 565億円(「おおぶね」シリーズでは最も大きい) |
新NISA利用 | NISAつみたて投資枠/NISA成長投資枠ともに適応 |
販売会社 | SBI証券/楽天証券/マネックス証券/岡三証券/松井証券/JAバンク/農林中金等 |
「おおぶね」シリーズの投資方針である『「構造的に強靭な企業®」への長期厳選投資』に基づき、米国株式市場に上場する6000社以上の企業から選りすぐりの20〜30社を選び投資します。
数百~数千銘柄に分散投資する信託ファンドがあるなか、「おおぶね」の投資スタイルはまさに厳選投資。いかに自分たちの厳選した銘柄に自信を持っているかが伝わってきます。
「長期厳選投資 おおぶね」のポートフォリオには、「GAFAM※」などの巨大ハイテク企業は含まれておらず、資本財・サービスや生活必需品などの伝統的な銘柄に重点を置いた構成になっているのも特徴です。
Google・Amazon・Facebook(現Meta Platforms, Inc)・Apple・Microsoftの頭文字を併せた呼び名
例として、上位2銘柄について、どのような点が「構造的に強靭な企業®」の3つの条件に合致したのか解析してみましょう。
事業概要 | 食品・衣料品・家電・日用品などを扱う会員制倉庫型店舗を運営 |
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経営・投資関連指標(通期) | ROE(自己資本利益率):27.53 PER(株価収益率):38.44 PBR(株価純資産倍率):9.61 ※決算期:2023年9月 |
①付加価値の高い産業 | ・高品質で低価格の豊富な商品 ・高品質な自社ブランド商品(カークランド・シグネチャー) ・返金制度などの手厚い顧客サービス(高い顧客満足度を実現) ・高い会員継続率と会員収入 ・過去5年の売上年平均成長率は約12%(小売業の過去5年平均は6%前後) ・高い経営効率(小売業のROE平均が約15%であるのに対し27.53%) |
②圧倒的な競争優位性 | ・強いブランド力 ・倉庫型・会員制などの独自のビジネスモデル |
③長期的な潮流 | ・オンライン販売の拡大 ・世界各地での新店舗展開 |
事業概要 | 電気および光ファイバコネクタ等を製造し、 航空宇宙産業・自動車・IT・軍事産業などの幅広い分野に販売する 世界最大級のインターコネクト製品メーカー。 |
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経営・投資関連指標(通期) | ROE(自己資本利益率):25.10 PER(株価収益率):31.90 PBR(株価純資産倍率):7.11 ※決算期:2023年12月 |
①付加価値の高い産業 | ・あらゆる産業分野の電子機器に必要不可欠な商品 ・製品コストが安く、付加価値とコストが非対称 ・競合他社に差を付ける高い成長率(過去5年売上年平均成長率は約11.2%) ・高い経営効率(2023年12月決算時ROE25.10%) |
②圧倒的な競争優位性 | ・100年以上に渡り培ってきた高い技術力 ・幅広い分野に約1万社の顧客を持つ |
③長期的な潮流 | ・自動車・航空宇宙・通信・医療・産業機器など幅広い分野での事業展開 ・世界に100か所以上の拠点を持ち、新興市場での事業拡大にも注力 ・柔軟な組織構造による迅速なニーズへの対応 |
表で紹介した内容のように「長期厳選投資 おおぶね」では、特定分野で高い収益率と競争力、そして独自性と将来性を兼ね備えた企業に投資していることが分かります。
<パートナーズ>おおぶねグローバル(長期厳選)
2つ目の「おおぶねグローバル(長期厳選)」は、北米・欧州・日本の「構造的に強靭な企業®」の中でも確実性の高い20~30社を厳選し、長期的に運用を行うファンドです。
運用会社 | 農林中金バリューインベストメンツ(NVIC) |
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ファンドマネージャー | 奥野一成 |
投資対象 | 北米・欧州・日本の株式市場(為替ヘッジなし) |
投資形式 | マザーファンドに投資するファミリーファンド方式 |
運用タイプ | アクティブ運用(ベンチマークなし) |
組入銘柄 | 約20〜30社 |
純資産総額(2024/5/21) | 190億円 |
手数料 | 年0.33%以内+成功報酬 |
新NISA利用 | NISA成長投資枠に適応 |
販売会社 | SBI証券/楽天証券/マネックス証券/岡三証券/松井証券/JAバンク/農林中金等 |
「長期厳選投資 おおぶね」との主な違いは、投資対象地域と手数料体系。
「おおぶねグローバル(長期厳選)」でも同じく、株価ではなく企業価値に着目し『「構造的に強靭な企業®」への長期厳選投資』を投資方針としますが、投資対象は米国の他に欧州・日本にも投資を行います。
2024年4月末基準の月次運用レポートによると、資産の分配比と組み入れ銘柄(上位10銘柄)は以下の通りです。
米国株式 | 49.29% |
---|---|
欧州株式 | 25.80% |
国内(日本)株式 | 15.04% |
現金等 | 9.88% |
合計 | 100.00% |
本ファンドのマザーファンドの売買回転率は年0.24回と非常に低く、じっくりと吟味みして厳選した銘柄を、殆ど売買することなく長期的に保有していることが分かります。
もう一点、他の「おおぶね」シリーズとは異なるのが手数料体系で、本ファンドは信託報酬に「成功報酬」を採用しています。(信託報酬=基準報酬年0.33%+成功報酬)
運用の良い悪いに関わらず委託会社が一定の手数料を基準報酬として受領する慣行とは異なり、当ファンドにおいては、委託会社向け基準報酬をゼロとしております。当ファンド委託会社であるNVICは、ハイ・ウォーターマーク方式により、ハイ・ウォーターマーク超過部分の10%(税抜)を成功報酬として受領します。
(引用元:農林中金バリューインベストメンツ|農林中金<パートナーズ>おおぶねグローバル(長期厳選))
ハイ・ウォーターマーク形式では、例えば1000万円で購入したファンドが、一定期間の運用により1300万円になった場合、利益である300万円に対して11.0%(税抜10.0%)の成功報酬が差し引かれます。一方リターンがマイナスの期間に関しては成功報酬は発生しない仕組みです。
<パートナーズ>おおぶねJAPAN(日本選抜)
3つ目の「おおぶねJAPAN(日本選抜)」は、日本の国内上場企業の中から成長力の高い企業(高い産業付加価値と圧倒的な競争優位性を持ち合わせた企業)に投資し、長期的運用することで利益獲得を目指すファンドです。
運用会社 | 農林中金バリューインベストメンツ(NVIC) |
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ファンドマネージャー | 奥野一成 |
投資対象 | 日本の株式市場 |
投資形式 | 直接投資 |
運用タイプ | アクティブ運用(ベンチマークなし) |
組入銘柄 | 約57社 |
純資産総額(2024/5/21) | 71億円 |
手数料 | 年0.88% |
新NISA利用 | NISA成長投資枠に適応 |
販売会社 | SBI証券/楽天証券/マネックス証券/岡三証券/松井証券/JAバンク等 |
2024年4月末基準の月次運用レポートによると、組入上位10銘柄は以下の通りです。
本ファンドの売買回転率も年0.10回と非常に低く、厳選投資+長期保有を徹底している様子が伺えます。
本ファンドも徐々に知名度を上げてきているものの、純資産総額はまだ小さく71億円程度です。
農林中金おおぶねの手数料は高い?
さて、投資信託選びでリターンの次に気になるのが手数料。
結論から言うと、「おおぶね」シリーズの手数料はアクティブファンドの中では高い方ではありません。
長期厳選投資 おおぶね | おおぶねグローバル (長期厳選) | おおぶねJAPAN (日本選抜) | |
---|---|---|---|
販売手数料 | ※無し | ※無し | ※無し |
信託報酬 | 年率0.99% | 年率0.33% +成功報酬 | 年率0.88% |
信託財産留保額 | 無し | 無し | 無し |
日本の投資信託のうち、アクティブファンドの信託報酬の平均は年1.055%程、インデックスファンドの信託報酬の平均は0.374%程です。
農林中金の「おおぶね」はアクティブファンドですので、手数料水準は平均以下と言えます。
「おおぶね」は独自の基準に基づいた厳選投資によるアクティブ運用を行いますが、一方で長期保有で売買回転率が低い(=売買を頻繁に行わない)ため手数料を比較的安く抑えられるのです。
農林中金おおぶねは本当にやばい?投資家の口コミ評判や今後の見通し
ここまで農林中金「おおぶね」の運用方針、運用利回りや手数料について紹介してきました。
確かに「おおぶね」の運用利回りは可もなく不可もなくの中間。しかし長期的にはマイナスが出ているのではなくしっかりプラスを出しています。
では「おおぶね」の何がそんなにやばいのでしょうか。
ここでは、実際の投資家たちが農林中金「おおぶね」をどう評価しているのか、また今後どのような見通しがされているのかを紹介しながら、『農林中金「おおぶね」はやばい』の真相を解説します。
投資家による評価・口コミ情報
投資信託については、「モーニングスター・アワード 」、「R&Iファンド大賞」、「Fund of the Year」や「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」、「楽天証券ファンドアワード」など、様々な団体が優れたファンドを選考するアワードを行っています。
農林中金「長期厳選投資 おおぶね」は、2021年から2年連続「R&Iフファンド大賞」北米株式コアで優秀ファンド賞を受賞。また2018年~2023年まで6年連続で「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」に選ばれています。
一方選出されなかった他のアワードの結果を見てみると、パフォーマンス(運用利回り)と手数料の面で「おおぶね」よりも優位なファンドが多いように見られます。投資リスクに対してどれほど効率的に利益が得られたかを示す「シャープレシオ」も優に1を超えるファンドが殆どです。
これらの状況から、運用成績は一部の高パフォーマンスファンドと比べると見劣りするものの、一定の個人投資家からは運用の透明性やファンドマネージャー奥野氏の投資理念が厚い信頼を得ていると考えられます。
また「おおぶね」のYahoo掲示板には以下のような口コミ・評判が書き込まれています。
- 奥野さんの投資哲学は素晴らしいが、上げ相場で上がりが弱い銘柄が多すぎる気がします。グロースが強い時に継続しても結局インデックスに劣後しそうなので、解約しました。(2020年11月)
- 投資哲学でやたらメディアに出ているから、色々調べたが、結局は2020年3月からの成績がメインとなっているだけで、それ以外で調べれば、インデックスと変わりなし、負けている。一期間を取っても、インデックスに大勝しているわけでもない。普通にブレずに、「インデックス」で十分すぎる(2021年7月)
- 同時株安で世界的に退潮。このファンドの真価は、下落局面にこそ試される。(2022年10月)
- 集めた資金だけじゃなくて、ここみたいに自己資金投入してる投信は安心できるね(2020年9月)
- 運用報告書見たら成功報酬が3.8%もあった。高すぎる(2021年5月)
奥野さんの投資哲学が共感できるのですが、こちらの商品、運用成績がゾンビ企業を大量に含むTOPIXよりパフォーマンスが悪いのはどうなんだろ?(2023年11月)
農林中金「おおぶね」シリーズの中でも投資家の一番の注目は、高い成長が続く米国株式市場へ投資する「長期厳選投資 おおぶね」。口コミ評判も本ファンドに集中しています。
奥野氏の投資哲学には共鳴するものの、実際の運用実績は、米国市場の株式指標であるS&Pや日本株の指標であるTOPIXに連動するインデックスファンドに劣後していているため、高い手数料を払ってまでアクティブファンドである本ファンドに投資する意味はない、という意見が最も多く見られました。
インデックスファンドよりも高い手数料を取るのならば、各株式指標にそうインデックスファンドの成績をアウトパフォームするかが投資家にとっては重要ですが、それが実現できないとなるとファンを維持するのは難しそうですね。
今後の見通し
ここまでの内容をご覧頂いてお分かりの通り、投資家の一番の関心事であり投資金額が大きいのは、米国市場へ投資する「長期厳選投資 おおぶね」。現在の米国株式市場と「長期厳選投資 おおぶね」の運用に今後影響を与えるかもしれない大きな要素は以下の通りです。
- 底堅い個人消費
- 底固い企業業績
- 2024年に1回程見込まれている利下げ(⇔円高に振れやすくなるため「おおぶね」の利益は圧迫される)
- 依然として高いアメリカのインフレ率
- 高い政策金利水準の据え置き(2024年5月時点)
- 中東情勢の悪化によるさらなるインフレリスク
- 米国株の割高感(予想PER約20倍)
これまで米国企業は高インフレ・高金利にも関わらず底堅い業績を維持しており、IT関連株の勢いもあって米国株式市場は好調に推移しています。
しかし、高インフレが続くと個人の消費が抑制され、企業業績が悪化するリスクも持ち合わせています。アメリカのCPI(消費者物価指数)は徐々に下がってきているものの、サービスや住居などの一部の分野については未だに5%台と高い水準で推移しているため、まだまだ楽観視はできないでしょう。
また2024年にはFRBによる政策金利の利下げが見込まれており、それ自体は米国株式市場にとっては好材料ですが、米国の利下げに影響を受けてドル円が円高に向かえば「おおぶね」の基準価額は下がってしまいます。
このような要素を織り込み、2024年の米国株式市場は、緩やかに勢いが減速しながらソフトランディングするだろうという予想も出ています。
ここに円高が重なれば2024年の「おおぶね」の運用パフォーマンスも毀損する可能性があるでしょう。
やばいと言われる理由
本記事の冒頭で先にお伝えした通り、農林中金「おおぶね」がやばいと言われる理由は以下の通りです。
- 「おおぶね」の手数料と運用利回りが割に合わないから
- 「おおぶね」の投資先である米国市場の見通しが暗いから
- 今後の為替動向が「おおぶね」には向かい風になるから
「おおぶね」には既出の通り3種類のファンドがありますが、「やばい」と言われている対象は主に米国株式市場に投資する「長期厳選投資 おおぶね」です。
「長期厳選投資 おおぶね」自体の手数料は信託報酬が年率0.99%と、アクティブファンドとしては決して高くはありませんが、インデックスファンドの平均的な信託報酬率(0.374%程)と比べると当然ながら割高です。
にも拘わらず、米国株式市場の指標に沿うインデックスファンドにパフォーマンスが劣後してしまっているため「割に合わない」と言われているのです。
またこれまで好調を維持してきた米国株式市場も、2024年末には様々な悪材料によりソフトランディングが予想されているだけでなく、FRBの利下げが実施されれれば円高により「おおぶね」の運用成績は悪化することも予想されます。
これらが農林中金「おおぶね」がやばいと言われている理由です。
もし「おおぶね (長期厳選投資 おおぶね)」に投資したいのであれば、2024年の米国株式のソフトランディング基調の中で、厳選投資の「おおぶね」がどの程度奮闘できるかを見極めてから買うというのも良いかもしれませんね。
相場の上下に左右されたくないならヘッジファンド
ヘッジファンドとは、市場環境に関わらず常に利益獲得を狙う絶対収益型の投資ファンド。
投資家から運用資金を集めてファンドマネージャーが運用するという点では投資信託ファンドと類似していますが、運用方針や投資手法には違いがあります。
ヘッジファンドは一般的な投資信託のように特定のベンチマークを持たず、株式・債券・不動産・金・デリバティブ・オプションなど多様な資産に投資するオルタナティブ投資で、幅広く投資チャンスを狙いに行きます。
また、アクティブファンドのように独自の基準で利益の見込める銘柄を選定するだけでなく、投資信託では原則使用できない「空売り(下落相場などで売りから入る取引手法)」や「レバレッジ」を使用した高度な戦略で、投資信託ファンドがマイナスを出すような下落相場でも積極的に利益の獲得に動くのです。
このような理由から、ヘッジファンドは下落相場での耐性が強く、利益獲得の機会が多いため、資産を長期的に安定して増やしていく必要のある厚生年金基金や大学基金、さらには個人の運用先としても選ばれています。
ヘッジファンドの本場はアメリカですが、日本国内にも安定して年利10%以上を出し続けているヘッジファンドがあります。
500万円以上の投資資金がある場合は、ヘッジファンドへの乗り換えも検討してみましょう。
中でも筆者おすすめのヘッジファンドは次の4社です。
期待年利 | 最低投資額 | 問い合わせ | 投資手法・対象 | |
---|---|---|---|---|
BMキャピタル | 10%~ | 1000万 | 面談 | ・バリュー株 ・アクティビスト |
ハイクアInt’l | 12%(固定) | 500万 | 面談または 資料請求 | 新興国企業融資 |
アクション | 31%〜 | 500万 | 面談 | ・バリュー株 ・事業投資 ・ファクタリング ・Web3事業 |
GF | 29%〜 | 1000万 *500万~ 相談可 | 面談 | 大型日本株 |
BMキャピタル
運用会社 | ビーエムキャピタル合同会社(BM CAPITAL LLC) |
---|---|
代表者 | 森山武利(たけとし) |
本社所在地 | 東京都港区六本木7-18-1 |
運用歴 | 10年以上 |
平均利回り | 年利10%〜 |
最低投資額 | 1,000万円 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
運用手法 | ・バリュー株投資 ・アクティビスト投資 ・イベントドリブン戦略 |
主な投資先 | 日本株 |
ロックアップ期間 | 3ヶ月 |
公式サイト | BMキャピタル |
BMキャピタルは2013年に設立された老舗ヘッジファンドです。
主な投資先は日本のバリュー株。
バリュー株とは、何かしらの理由で本来の企業価値より株価が割安になっている銘柄を指します。
企業が再評価され、投資家による見直し買いなどによって株価が適正な価格に戻ることで、その差益が利益になる手法を「バリュー株投資」と言い、BMキャピタルではこれをメインの投資手法としているのです。
まず、株式が割高なのか・適正価格なのか・割安なのかを見分けるのは個人投資家には判断が難しいもの。
企業の業績に加え、PER(株価収益率)、BPR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)などの指標から、数値がどれほど低いのか(または高いのか)で銘柄をスクリーニングしなくてはならず、これら分析には豊富な知識と経験が必要となるのです。
また、バリュー株を適切に保有したとしても、個人投資家の場合は株式保有数に限りがあるため企業への積極的な発言は難しく、ただ値上がりを待つしか術はないでしょう。
しかしBMキャピタルでは、バリュー株を大量保有して大株主になることで「アクティビティスト」として企業への積極的な働きかけが可能となるため、より効果的な値上がりを期待することが可能となります。
さらに、イベントドリブン戦略(簡単に言うと、企業の経営に影響を与える合併・買収・新商品開発といった重要なイベントが発生した時に生じる株価の変動を収益機会ととらえて投資をすること)を兼ね合わせることで更なる収益獲得の機会を得ます。
加えてヘッジファンドの運用形態上、BMキャピタル「ショートポジション(空売り)」も取れますので、下落相場でも利益獲得を目指すことが可能。
- バリュー株投資
- アクティビティスト投資
- イベントドリブン戦略
- ショートポジション(空売り)
上記4つの戦略と手法を組み合わせて運用ができることが強みのBMキャピタルでは、平均年利10%以上・運用開始以来マイナスの年ゼロの偉業を成し遂げることができるのです。
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担当者が直接、過去の実績や資料などと共に詳しく教えてくれますよ!
ハイクアインターナショナル
運用会社 | ハイクアインターナショナル合同会社 |
---|---|
代表社員 | 梁秀徹 |
本社所在地 | 〒581-0016 大阪府八尾市八尾木北1-44 |
運用歴 | 1年 |
利回り | 年間12%(固定) |
最低投資額 | 500万円 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
運用手法 | SAKUKO VIETNAMへの事業融資 |
公式サイト | ハイクアインターナショナル |
ハイクアインターナショナル(以下「ハイクア社」)は、梁秀徹氏が会長を務めるベトナムの日系企業SAKUKO VIETNAM(以下「SAKUKO社」)に事業融資を行い、その利息収入から投資家へ高利回りの配当を実現するファンドです。
SAKUKO社は年商30億円を売り上げ、ベトナムのUPCOM市場に上場を予定していますが、更なる成長を目指し事業投資を加速させています。また、ベトナムは金利が高い状況があるため、金融機関の貸付金利も日本よりかなり高額です。
そんなSAKUKO社のビジネス基盤と成長性、そしてベトナムの経済状況があるからこそ、年利12%という高い配当利回りを実現しているのです。
年利12%という利回りは、約6年で投資した資産が2倍になる計算となります。他のファンドと違いSAKUKO社の事業収益から直接利息が支払われるため、株価変動や売却タイミングを考慮する必要がなく、リターンの確実性が高いのも魅力です。
透明性の面でも、SAKUKO社の会長であり、ハイクアインターナショナル代表の梁秀徹氏の活動はYouTubeやメディアを通じて公開されており、事業の実態を確認しやすい環境が整っています。さらに、投資家向けには年1回の事業報告会が開催され、無料面談や資料請求を通じて詳細な情報を得ることも可能。
資産を安定的に増やしたいのであれば、まずはハイクア社に無料資料請求か無料の投資面談を申し込んでみてはいかがでしょうか。
アクション
運用会社 | アクション合同会社 |
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代表者 | 古橋弘光 |
本社所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門5丁目13−1 虎ノ門40MTビル 7階 |
運用歴 | 1年 |
平均利回り | 過去4年平均31% |
最低投資額 | 500万円 |
運用手法 | ・アクティビスト投資 ・バリュー株投資 |
主な投資先 | 日本株 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
公式サイト | アクション |
アクションは2023年に設立された新進気鋭のヘッジファンドです。
代表 兼 運用責任者はトレイダーズホールディングス株式会社の元 取締役・古橋 弘光氏。
FXをされている方の中には知っているという方も多いかもしれませんね。
30年以上も金融業界に携わってきた古橋氏が開設したファンドということもあり、期待が高まります。
そんなアクションの投資先は日本のバリュー株、海外の投資ファンド、不動産、債券事業投資、ファクタリング、Web3事業など多岐におよびます。
アクションが公式サイトで公表している年度ごとのポートフォリオによると、分散投資を行いつつも2025年からはESGファンドの比率を高めていることがわかりますよね。
■Web3事業
■事業投資
■ファクタリング
■ESGファンド
■余剰資金
公式サイトにも記載がありますが、代表の古橋氏はアクティビティストになることが最終目標であるとしています。
まだ新しいファンドですから、初めのうちは資金の確保と言う意味でも様々な事業に分散投資をしているということもあるのでしょう。
今後の想定としても、高いリターンを見積もっていることが分かりますね。
本格的なヘッジファンドの最低投資額は1000万円~がほとんどですが、アクションの最低投資額は500万円~受け付けています。
恐らくですが、設立されたばかりと言うことで「投資家・資金を集める」と言う意味で最初の内は500万円~なのでしょう。今後はアクションも1000万円~になる可能性もあるかもしれません。
同社は今後アクティビティストになることを目標としていていますから、今のうちに本格的なアクティビティストファンドへ500万円で投資できるのはチャンスとなるでしょう。
詳しいポートフォリオ詳細や今後の見通しなどは、直接面談にて説明をしてくれます。
当然、その場で契約を迫ったりをすることはありませんので、是非お気軽にご相談してみてはいかがでしょうか?
GFマネジメント
運用会社 | GF Management合同会社 |
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代表者 | 田尻 光太朗 |
本社所在地 | 東京都千代田区麹町4丁目5-20 |
運用歴 | 1年 |
平均利回り | 年平均29% ※ファンドマネージャーの運用成績 |
最低投資額 | 1,000万円 ※500万円から相談可能 |
運用手法 | 大型日本株でポートフォリオを形成 |
主な投資先 | 大型日本株 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
公式サイト | GFマネジメント |
GFマネジメントは2023年設立の日本の新興ヘッジファンドです。
敏腕営業マンの田尻光太朗氏が設立、モルガンスタンレー出身のエリート金融マンがファンドマネージャーを務めています。
- 平均年利29%の実績
- 直近5年の成長率は277%
- 500万円~投資相談可能
- 運用レポートは月1回発行
GFマネジメントの投資家募集は2023年からですが、ファンドマネージャーによる運用はそれ以前から始まっており、平均年利29%、5年で277%という驚異的なパフォーマンスを発揮しています。単純計算で1,000万円が3,770万円になる成長率です。
GFマネジメントは日本の大型株に注目したJ-Prime戦略を採用し、上記のような実績を残してきました。
具体的な投資事例や詳しい戦略、今後の方針は無料の面談で聞くことができますので、まずは問い合わせてみてください。
ヘッジファンドへの投資には500万〜1000万円以上のまとまった資金が必要になります。
大切な資金を預けるわけですからしっかり話を聞いて、資料請求や運用の相談(無料)を通して、複数のヘッジファンドに問い合わせて比較検討することをおすすめします。
期待年利 | 最低投資額 | 問い合わせ | 投資手法・対象 | |
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BMキャピタル | 10%~ | 1000万 | 面談 | ・バリュー株 ・アクティビスト |
ハイクアInt’l | 12%(固定) | 500万 | 面談または 資料請求 | 新興国企業融資 |
アクション | 31%〜 | 500万 | 面談 | ・バリュー株 ・事業投資 ・ファクタリング ・Web3事業 |
GF | 29%〜 | 1000万 *500万~ 相談可 | 面談 | 大型日本株 |
上記4社以外のヘッジファンドは以下の記事で紹介しています。
まとめ:農林中金おおぶねはやばい?
農林中金「おおぶね」は、投資方針と透明性の高い運用体制については非常に定評があるものの、今までの運用成績はインデックスファンドに劣後してしまっており、パッとしない状態が続いています。
また「おおぶね」シリーズの主力ファンド「長期厳選投資 おおぶね」の投資先である米国市場は、続く高インフレ・高金利のために雲行きが怪しく、さらには円高への為替変動は米国市場に投資する日本国内ファンドには向かい風となるため、「おおぶねはやばい」という評判も流れています。
農林中金「おおぶね」は持続的に利益を生みだせる「構造的に強靭な企業®」への厳選投資がベースですので、今後市場が下落基調になった時にどれだけ耐えれるか、またどれほど安定して利益が見込めるか、もうすこし長期的に見守る必要があるのでしょう。