「8資産均等がダメな理由は?」
8資産均等型の投資信託は、初心者でも手軽に分散投資ができるとして人気です。
しかし、本当に万能な投資方法なのでしょうか?
確かに分散投資は資産運用の要とも言える大切な要素ですが、8資産均等型の商品が、リスク軽減に有効な分散投資を出来ているか、効率的な利益追求が出来ているかという点には、疑問が残ります。
本記事では8資産均等がダメな理由を解説。
8資産均等が本当に合理的で自身に合う投資方法なのか、一度立ち止まって考えてみましょう。
8資産均等型の投資信託とは?
本題の「8資産均等がダメな理由(デメリットや注意点)」に入る前に、8資産均等についてよく知らないという人は、こちらで基本を押さえておきましょう。
8資産均等型はバランス型投信の一つ
見出しのとおり、8資産均等型とは、バランス型投資信託の一つです。
バランス型投資信託は、リスク分散を目的として、国内外株式・国内外債券・国内外不動産投資信託(REIT)など、異なる種類の資産クラスにバランスよく分散投資を行う投資信託で、日本国内には約750本のバランス型ファンドがあります。
バランス型投資信託は、運用ポートフォリオに組み入れる金融資産の種類や比率の違いによって様々な種類に分類されますが、大きくは「資産配分固定型」と「資産配分変動型」の2種類に大別できます。
資産配分変動型は、市場変動に応じて柔軟に資産配分比率を変動するタイプです。
例えば、株の市場価格が上昇傾向にある場合は株式の割合を増やし、下落傾向にある場合は債券の割合を増やすなどの対応を行います。
一方の資産配分固定型では、予め決められた固定の資産配分比率に常に沿うように、運用会社が定期的にリバランス(配分の見直し)を行います。
具体的には、市場価格が上がった資産(=比率の増えた資産)を売り、価格の下がった資産(=比率下がった資産)を売ることで、元の資産比率を維持します。
この資産配分固定型の一つが本記事のテーマである「8資産均等」です。
8資産均等型の投資信託は、リスク分散を図るために、8つの異なる資産クラスに均等に投資を行います。
上図の通り、8つの資産クラスとは、国内株式・先進国株式・新興国株式・国内債券・先進国債券・新興国債券・※国内リート・先進国リートのことです。
不動産投資信託の略。
投資家から集めた資金を不動産に投資し、賃貸収入や売却益を投資家に分配する金融商品。
投資家は一つのバランス型ファンド(8資産均等)を購入するだけで、手間暇要らずで日本や世界の8種類の資産に分散投資が可能になります。
8資産均等型と4資産均等型の比較
ここでもう一度、先ほどのバランス型投資信託の図を見てみましょう。
4資産均等型 | 8資産均等型 | |
---|---|---|
投資対象 | 株式(国内株式・先進国株式) 債券(国内債券・先進国債券) ※各25%ずつ配分 | 株式(国内株式・先進国株式・新興国株式) 債券(国内債券・先進国債券・新興国債券) リート(国内リート・先進国リート) ※各12.5%ずつ配分 |
分散効果 | 相対的に低め | 相対的に高め |
投資コスト | 相対的には低めだがファンド によりけり | 相対的には高めだがファンド によりけり |
ファンド例 | ・eMAXIS バランス(4資産均等型) ・ニッセイ・インデックス バランスファンド(4資産均等) | ・eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) ・つみたて8資産均等バランス ・iFree 8資産バランス ・たわらノーロード バランス(8資産均等型) |
(赤字は8資産特有の投資対象)
株式・債券・REIT・金などの資産クラスの値動き幅や変動のタイミングは、本来それぞれ異なります(例外はあります)。
異なる資産クラスに分散投資することで、特定の市場や経済状況に依存しないため、リスク低減効果が生まれます。
8資産均等型は、4資産均等型よりも多くの資産クラスに分散投資しているため、より広範なリスク分散の実現が期待できます。
8資産均等型の期待利回り
8資産均等型では、各資産クラスの価格変動が相殺し合うため、全体としては市場平均全体に近い利回り(下図の赤枠内参考)が得られる傾向にあります。
2009年~2023年の過去15年の平均年間リターンは、9.48%でした。
8資産均等型は、市場変動に合わせて柔軟に資産比率を変更する(=より高い利益を見込める資産の比重を高める)アクティブ運用ではないため、アクティブ運用と比べると、市場平均を上回る高いリターンは得られづらくなります。
8資産均等型のメリットと高評価の理由
8資産均等型のメリットとしては以下の3点が挙げられます。
1. 分散投資が手軽に出来る
複数資産への分散投資は、リスクを軽減する上で有効な手段ですが、自分で銘柄を選定し、市場変動に合わせて定期的に銘柄や資産比率のリバランスを行うには、多くの時間が掛かるとともにそれ相応の専門知識も必要です。
8資産均等のようなバランス型の投資信託を利用すれば、株式・債券・不動産など、日本や世界の様々な資産に一度に投資でき、運用や銘柄選定は投資信託のファンドマネージャーが管理するため、投資知識の少ない初心者の方でも手軽に分散投資を始めることができます。
2. 仕組みがシンプルで分かりやすい
バランス型投資信託の中には、各資産クラスのリターンとリスクを最適化するために、市場の状況に応じて柔軟に資産配分を変更するなど、より複雑な仕組みを持つものもあります。
一方8資産均等型は、8つの資産クラス(国内株式・先進国株式・新興国株式・国内債券・先進国債券・新興国債券・国内リート・先進国リート)に各12.5%ずつ均等に資産を割り当てるシンプルな仕組みです。
運用中に資産額が規定の比率以上または以下に変動した場合、リバランスを行い、各資産の比率を常に一定に保ちます。
非常にシンプルなルールゆえ、ファンドの仕組みや運用中の状況、今後の対応などを把握しやすいのがメリットです。
3. リスク・リターンの安定が期待できる
前述のように、8資産均等型では、各資産クラスの価格変動が相殺し合うため、ポートフォリオ全体の変動幅(リスク)が抑えられ、長期的に安定した運用が可能になります。
以上のような理由から、8資産均等型は、投資初心者の方や、投資に関する調査や判断に時間を割けない忙しい投資家、60代以上(退職後)の安定運用を求める投資家などから高評価を受けています。
8資産均等がダメな理由は?5つのデメリットと注意点
投資戦略がシンプルで分かりやすく、手軽に分散投資ができ、安定したリターンが見込める、一見よい事尽くめの8資産均等型投資信託。
しかし、一部の投資家から「最強だ」とも賞賛される一方、「頭の悪い配分」などと酷評されていることはご存じでしょうか。
ここでは続けては、8資産均等がダメな理由(デメリットや注意点)について詳しく解説していきます。
8資産均等がダメな理由1. 高いリターンが得られにくい
8資産均等が高いリターンを得られにくいのには、以下のような理由があります。
・低成長の国内資産の割合が大きい
・高利回りを期待できる資産を利確してしまう
低成長の国内資産の割合が大きい
国内資産のうち、国内債券はリスクは低いですが、その分リターンは2%にも満たないほどのローリターンです。
また国内株式も国内リートも、海外の資産クラスと比べると相対的にリターンは低めです。
8資産均等では、リターンの高い/低いに限らず12.5%ずつ均等に資産を割り当てるため、低成長と言われる国内資産に全体の4割近くの資産が当てられてしまいます。
そのため8資産均等では、常にパフォーマンスの高い資産に集中投資するファンドよりも、全体のリターンが平均的に抑えられてしまうのです。
高利回りを期待できる資産を利確してしまう
8種類の資産クラスに均等に資産配分する8資産均等型ですが、株や債券の価格は常に変動しているため、運用を続けていると各資産クラスの資産比率が規定の12.5%からずれていってしまいます。
例えば、先進国株式の価格が上昇した場合、先進国株式に割り当てた資産額の割合が12.5%より高くなりますよね。
また逆に、先進国債券の価格が下落すると、先進国債券に割り当てた資産額の割合が12.5%よりも下がってしまいます。
このように各資産クラスの比率が12.5%から乖離すると、運用会社は12.5%を超えた資産を売り、12.5%を下回った資産クラスの銘柄を買うことで比率のリバランスを行います。
これに対し「割安になった資産の購入と、割高になった資産の利確を機械的に行えるのは非常に合理的だ」という評価の声もありますが、本当にそうでしょうか。
以下の図のように、各資産クラスの成長率(リターン)には大きな差があります。
8資産均等では、リバランスにより成長性の高い資産を売却し、低成長の低い資産を買い増すのですから、長期的にさらに価格が上昇するチャンスを自ら手放してしまうのです。
このような理由から、8資産均等では高いリターンを期待することは難しいため、より大きな利益がほしいという方は、期待利回りの高い世界株式中心のファンドなどを検討するのがおすすめです。
8資産均等がダメな理由2. 適切なリスク分散ができない
8資産均等の投資対象である8種類の資産クラスは、全てが同じような市場規模を持っている訳ではありません。
例えば、新興国債券市場・国内リート市場・先進国リート市場は、市場規模が数十兆円と小さく、先進国株式や先進国債券市場は、数千兆円~1京円の市場規模を誇ります。
8資産均等では、先進国株式や先進国債券市場の千分の一ほどしかない市場にも、同じ比率(12.5%)で資産を投じているため、ポートフォリオにおける新興国市場やリート市場への資産割合が、その市場規模に比べて大きくなってしまいます。
これの何が悪いかというと、市場規模が小さい資産では、今後の成長が期待される一方で、価格変動が大きいという特徴があるため、ポートフォリオ全体のリスクを上昇させる可能性があるのです。
理論上は、異なる資産に分散投資することでリスクを分散できますが、各資産のリスク度は異なるため、高リスクな小規模市場への資産の割合が大きいと、思いのほか高いリスクが掛かってしまう可能性があります。
8資産均等がダメな理由3. 市場に合わせた柔軟な対応が出来ない
8資産均等型は、特定の資産クラスの値動きが好調でも、その成長性の高い資産に重点的に投資するという柔軟性は持ち合わせていません。
また8資産均等投資は、長期的なリスク分散を目的とするため、市場の短期的な動きや予測を基にした投資判断を行いません。
市場が急激な変動に直面した際にもあくまで事前に定めた均等配分に従うため、資産配分を変更して積極的に対応するようなファンドよりも、利益獲得の機会やリスク回避のための対応が制限されてしまうのです。
8資産均等がダメな理由4. 個人の資産状況に合わせた運用が出来ない
資産運用におけるリスク許容度は人によって異なります。
一般的には、20代~40代の若い投資家は長期的な資産成長を目指してリスクの高い資産(株式や新興市場)に多くを投資し、50代以上や定年退職者などの年齢が高い投資家は、リスクを抑えて債券や現金に重きを置くことが適切だとされています。
資産均等型は、すべての投資家に対して同一の戦略を提供するため、個人の資産状況、リスク許容度、ライフステージ、資産規模、投資目標に合わせた運用はできません。
ただし、バランス型ファンドの中には「ターゲット・デート・ファンド(TDF)」といって、現役時代から退職に向けてポートフォリオ内の資産配分が段階的に変わっていく商品もあります。
例:フィデリティ・ターゲット・デート・ファンド(ベーシック)シリーズ
利用コストは高めですが、投資家はターゲット年(定年退職などの年)に合わせてTDFを選択するだけで、後は時間の経過に応じてリスクが低減するように自動的に資産配分が調整されるため、投資家は時間や労力をかけずに、年齢に合わせた運用を行うことが可能です。
8資産均等がダメな理由5. 税金の支払いにより複利効果が毀損する
前述の通り、8資産均等型の投資信託では、定期的にリバランスを行い、資産配分を元の均等な状態に戻します。
リバランスでは、価格が上昇した資産を売却し、その利益を他の資産に再投資しますが、この際、売却益が課税対象となります。
運用資産は売却しなければ税金は発生しませんが、均等配分を維持するために必然的に売却が行われるため、税負担が生じてしまうのです。
リバランスのたびに利益が確定され課税されてしまうと、その分の資金が運用から取り除かれるため、結果、再投資に回せる資金が減少し、長期的に見て投資の複利効果が小さくなります。
利益を元本に加えて再投資することで、得られた利益にさらに利益が上乗せされ、資産が雪だるま式に増えていく現象。
元本と利益の両方が次の運用に活用されることで、長期的には大きなリターンを得ることができます。
このように8資産均等型では、リバランスのたびに売却益に課税されるため、それが積み重なることで、長期的に見ると大きな資産成長の阻害要因となりえるのです。
以上5つのデメリットが、8資産均等がダメな理由でした。
8資産均等型の人気ファンドを評価(リターン・コスト・リスク等)
8資産均等の仕組みやメリット・デメリットをご理解いただいたところで、実際、8資産均等型の投資信託がどのような運用実績を残しているのか、代表的なファンドを例に見ていきましょう。
8資産均型のバランスファンドで人気が高いのは以下の4ファンドです。
投資信託名称 | 純資産額 | 信託報酬 (年率) | 過去5年 年率リターン |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 約2955億円 | 0.143% | +8.75% |
つみたて8 資産均等バランス | 約1494億円 | 0.242% | +8.63% |
iFree 8資産バランス | 約784.5億円 | 0.242% | +8.58% |
たわらノーロード バランス(8資産均等型) | 約734.8億円 | 0.143% | +8.26% |
こちらの4ファンドは、連動する指標が少しずつ異なるものの、リターンに大差はありません。
そこでここでは一番人気の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」を例に挙げて紹介していきます。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の概要
商品名称 | eMAXIS Slim(8資産均等型) |
---|---|
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
設定日 | 2017年5月9日 |
純資産総額 | 2955億円 ※2024年9月19日時点 |
運用区分 | インデックス型 |
連動指数 | 各投資対象資産の指数を均等比率で組み合わせた合成ベンチマーク |
信託報酬手数料 | 0.143% |
NISA(ニーサ)口座 | 積立投資枠・成長投資枠とも利用可 |
販売会社 | 楽天証券/マネックス証券/SBI証券/松井証券/三菱UFJ銀行 ほか多数 |
公式サイト | 公式HP |
「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」も国内株式・先進国株式・新興国株式・国内債券・先進国債券・新興国債券・国内リート・先進国リートの8つの資産クラスに12.5%ずつ投資する投資信託です。
連動するベンチマークは、以下に示した8つの各資産の指数を8分の1ずつ組み合わせた合成ベンチマークです。
国内株式 | 東証株価指数(TOPIX)(配当込み) |
---|---|
先進国株式 | MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
新興国株式 | MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
国内債券 | NOMURA-BPI総合 |
先進国債券 | FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース) |
新興国債券 | JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド(円換算ベース) |
国内リート | 東証REIT指数(配当込み) |
先進国リート | S&P先進国 REITインデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース) |
eMAXIS Slimシリーズは、「業界最低水準の運用コスト」を維持することを目指しており、信託報酬は0.143%と割安。
NISAつみたて投資枠・NISA成長投資枠・iDeCo(個人型確定拠出年金)でも購入可能なため、長期的にコストを抑えながら資産形成することが可能です。
【シミュレーション条件】
毎月の積立額:5万円
投資期間:10年
想定利回り(年率):8.75%(過去5年間の平均利回り)
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の利回り
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の過去5年間の年率リターンは8.75%でした(2024年8月末時点)。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の連動指標の合計リターンは、2007年~2021年の15年間では年率6.4%でしたが、過去5年間では、大規模な金融緩和政策やテクノロジー株の成長などにより株式市場が大幅に上昇したこと、2021年末より急激に円安が進んだことなどにより、より高いリターンを生みました。
ちなみに表内記載の「標準偏差」は、投資商品の価格の変動幅を表し、数値が大きいほど価格変動が大きく、高リスクと判断されます。
リスク度は、標準偏差5%以下で低リスク、5%~10%程度で中リスク、10%以上で高リスクというのが一般的な判断基準となります。
またシャープレシオは、リスクに対するリターンの効率を測る指標で、1.0以上であれば投資リスクに見合ったリターンが得られている優れたパフォーマンスだと評価できます。
本来eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)はリスク分散を重視したファンドですが、過去5年の運用では、標準偏差が10.13%と意外にも高リスク運用になっていました。
詳細は後述しますが、これはコロナパンデミック後の高インフレ下で株式と債券の逆相関関係が崩れたためと考えられます。
年間リターン8.75%という数値だけ見れば「高い」・「満足」と感じる方もいるかもしれませんが、標準偏差やシャープレシオと言った運用の質にも注目するとファンドに対する評価は変わってくるのではないでしょうか。
他ファンドとのパフォーマンス比較
投資信託ファンドの運用パフォーマンス(利回り・リスク・コスト)は千差万別であり、どのファンドが自分に適切なのかは、複数のファンドを比較することで見えてきます。
ここではeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)を含む、以下3つの投資信託ファンドの運用パフォーマンスを比較してみます。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | のむラップ・ファンド (積極型) | eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) | |
---|---|---|---|
運用タイプ | インデックス運用 | ||
分類 | バランス型(8資産均等) | バランス型 (8資産) | 国際株式型(全世界) |
リターン | 8.75% | 13.23% | 19.22% |
標準偏差 | 10.13 | 12.81 | 15.95 |
シャープレシオ | 0.87 | 1.03 | 1.21 |
信託報酬 | 0.143% | 1.518% | 0.05775% |
まず、のむラップ・ファンド(積極型)は、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)と同じく8資産に分散投資するインデックス型のバランスファンドですが、構成比率は各資産均等ではなく、国内外株式やリートに比重を置いた積極型の運用を行います。
債券よりも高いリターンが期待できる株式や債券の比率が高いためその分リターンが高く、標準偏差も「高リスク」に分類されますが、シャープレシオは1を超え、効率的な運用が出来ていると評価できます。
もう一つの比較対象であるeMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)は、バランス型ではなく、日本を含む先進国および新興国の株式に広く分散投資を行うインデックスファンドです。
投資対象が株式に集中しているためリスクは15.95%と高めですが、その分高いリターンを実現しておりシャープレシオが1.21%と優秀なパフォーマンスを残しています。
このように投資先を決定する際は、複数ファンドを比較して、相対的に運用パフォーマンスを評価し、自分の年齢や投資目標に近いファンドを選びます。
リスクを抑えた安定した運用を重視する人は8資産均等型、もっと利益がほしいという人は株式に比重を置いたファンドなど、最適なファンドは個人の状況によって違うことを理解してファンドを選ぶのがおすすめです。
三菱UFJアセットマネジメントのeMAXISシリーズには、「eMAXIS Slimバランス8資産均等型」に似た「eMAXISバランス8資産均等型」という商品もがあります。
両社の違いは信託報酬の違い(Slim型が圧倒的に安い)のみで投資対象に違いはありません。
「eMAXIS Slimバランス8資産均等型」は「eMAXISバランス8資産均等型」よりも販売会社が限られますが、ネット証券などは大体対応していますので、証券会社のこだわりがない限り「eMAXIS Slimバランス8資産均等型」で十分でしょう。
8資産均等型は最高・最強ではない!
8資産均等型は、主に株式と債券の値動きの逆相関関係を利用して、リスクを抑えた安定した利回りを目指すファンドです。
上図のように、通常は、景気が減速し始めると金利の低下から債券価格が上昇し、株式は業績悪化懸念から値下りしやすくなります。
反対に景気の回復期には、株式やREITが上昇し、債券は金利の上昇から価格が下落しやすくなります。
そのため一般的に、株と債券は逆相関にあると言われます。
しかし、過去の市場データを見ると、インフレ率の高い期間では順相関(逆相関の反対で株と債券が同方向の値動きになる)となることが多く、過去5年間でもコロナショック後のインフレ率の上昇を機に株式と債券の値動きが順相関になりました。
このように株と債券が順相関になる場合には、リスク分散が適切に機能しない場合があるため、8資産均等と言えど油断は禁物です。
また8資産均等型は、国内資産(国内株式・国内債券・国内リート)が37.5%、海外資産が62.5%です。
現在、2021年末より進んだ円安がピークを過ぎ、円高が進みやすい状況にあるため、今後は海外資産が現地通貨で良好なリターンを上げたとしても、円ベースでの評価額が下落し、パフォーマンスが低下する可能性もあります。
参考:日本経済新聞|円高進行、ともったサイン 「三役逆転」の次は52週平均線
8資産均等型は指標に連動させるだけのインデックス運用であり、且つ8資産均等であるため、上記のような市場や為替の変動に柔軟に対応することが難しく、市況によってはマイナス運用になる場合もあることに注意が必要です。
安定運用なら下落相場にも強いヘッジファンドがおすすめ
前述の通り、8資産均等型は市場がイレギュラーな動きをする場合や、一部の資産のみが大きく下落するような局面では、リスクの分散効果が限定的になりマイナスリターンを出してしまうこともあります。
しかし、そんな悪相場でも、積極的に利益を追求する「ヘッジファンド」をご存じでしょうか。
ヘッジファンドは、投資家から集めた資金をファンドマネージャーが代わりに運用し、運用によって得た利益を投資家に還元する資産運用会社(ファンド)です。
市場の相場環境に依存せず、ショートポジション(空売り)やレバレッジ、デリバティブなどの高度な運用戦略を用いて、市場のどんな状況でもリターンを最大化を狙うのがヘッジファンドの魅力です。
- 投資家から集めた資金を投資のプロ(ファンドマネージャー)が広く分散投資
- 投資知識のない初心者でもプロの手腕で高い利回りを狙うことができる
- 運用を委託するため、株や不動産投資のような投資の手間が掛からない
- 株式・債券・デリバティブ・オプションなど多様な資産に投資するため、分散性や収益性が高い
- 空売りやレバレッジを使用した高度な戦略で、下落相場でも効果的に利益が狙える
一見投資信託と似ていますが、ヘッジファンドは投資規制が緩く(高度な手法や幅広い投資商品などを通じて)投資信託よりも柔軟な対応ができるため、下落相場にも強く、結果的に安定して高い利回りを生みだすことができるのです。
ヘッジファンドの中で特におすすめの4社は、次のとおりです。
運用会社 | ビーエムキャピタル合同会社(BM CAPITAL LLC) |
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代表者 | 森山武利(たけとし) |
本社所在地 | 東京都港区六本木7-18-1 |
運用歴 | 10年以上 |
平均利回り | 年利10%〜 |
最低投資額 | 1,000万円 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
運用手法 | ・バリュー株投資 ・アクティビスト投資 ・イベントドリブン戦略 |
主な投資先 | 日本株 |
ロックアップ期間 | 3ヶ月 |
公式サイト | BMキャピタル |
BMキャピタルは、リスクを抑えた運用が特徴的なヘッジファンドです。
- 過去マイナス年ゼロ
- 年間利回り10%以上の成績
- 2013年設立のファンド
- 自社運用で透明性がある
BMキャピタルは設立以来マイナスを出した年がなく、年間平均利回り10%以上の成績を出しているヘッジファンドです。
一般的な投資信託と比較してより高度な運用戦略を用いているため、安定したリターンが期待できます。
リスクを抑えながら長期的に資産を積み上げていきたい方に合った投資先といえるでしょう。
決算は四半期に一回で、配当を受け取るか、配当を再投資するか選ぶことができます。
面談は無料で、過去の運用実績などの詳しい情報を聞くことができます。
運用会社 | ハイクアインターナショナル合同会社 |
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代表社員 | 梁秀徹 |
本社所在地 | 〒581-0016 大阪府八尾市八尾木北1-44 |
運用歴 | 1年 |
利回り | 年間12%(固定) |
最低投資額 | 500万円 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
運用手法 | SAKUKO VIETNAMへの事業融資 |
公式サイト | ハイクアインターナショナル |
ハイクア・インターナショナル(以下、ハイクア)では、関連会社「サクコベトナム(以下、サクコ)」への事業融資を行うことで収益獲得を目指します。
詳しいスキームは以下の通りです。
投資家はハイクアへ社員権を購入する形でハイクアへ出資をします。
ハイクアは関連会社でベトナム企業であるサクコに事業融資を実施。
融資を受けているサクコはハイクアに対して貸付金利息を支払いますが、その貸付金利息の一部が配当金として投資家に配当される仕組みです。
配当は1年に4回3%ずつ、合計12%(固定)となります。
一般的に株式の配当利回りは3~4%程度と言われていますから、毎年固定で12%のリターンが確約されているのは投資家としては非常にうれしいところです。
ここで気になってくるのはサクコの企業情報と業績でしょう。業績が良くないと融資は貸付金利息を支払えませんからね。
サクコの代表はハイクアの代表 梁 秀徹(ヤンスチョル)氏が兼任しています。
ハイクアの公式サイトによると、サクコはベトナムで2011年に設立され、日系ホテル、日本製品を販売するショップ、日本でも人気のスイーツ店を合計56店舗保有。
今後も様々な事業展開を予定しており、規模としては「大企業」と言っても過言ではなさそうです。
また、Googleなどで「サクコベトナム」「Sakuko Vietnam」と調べてみても、同社の製品などを評価するブログや代表ヤン氏のインタビューなども見られますし、同氏が運営するYouTubeでは企業としての成長やベトナム市場の変化などをチェックすることが可能。
わざわざベトナムまで行かなくても、インターネット上で現地在住や旅行に来た日本人だけでなくベトナム人からも愛されている様子が見れて、企業としての信頼度も担保できるでしょう。
ハイクアへの最低投資額は500万円~と低額からの投資が可能な点もうれしいところ。
「安定的にリターンを獲得したい」「新興国にも分散投資をしたい」と言う方は、是非ハイクア・インターナショナルをご検討下さい。
ハイクアでは資料請求のみの問い合わせも受け付けているとのことですから、まずは資料でハイクアやサクコのことを知りたい!という方も、お気軽にお問い合わせしてみてくださいね!
運用会社 | アクション合同会社 |
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代表者 | 古橋弘光 |
本社所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門5丁目13−1 虎ノ門40MTビル 7階 |
運用歴 | 1年 |
平均利回り | 過去4年平均31% |
最低投資額 | 500万円 |
運用手法 | ・アクティビスト投資 ・バリュー株投資 |
主な投資先 | 日本株 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
公式サイト | アクション |
アクション合同会社は、2023設立の新興ヘッジファンド。
トレイダーズインベストメント株式会社の元代表取締役である古橋 弘光氏が代表を務めます。
- 平均年利31%の実績(直近4年)
- 2023年は50.68%
- 株式や債券に留まらないポートフォリオ戦略
- 最低投資額は500万円~
ファンドマネージャーの過去4年の運用パフォーマンスは平均31%、2023年は50.68%という驚異的な実績を残しており、今後の運用にも期待が高まります。
アクションは株式や債券だけでなく、Web3事業や事業投資、ファクタリングやESGファンドへの投資など、さまざまな対象に分散投資することでこのパフォーマンスを上げてきました。
詳しい投資事例や今後の方針については無料の面談で聞くことができますので、まずは公式サイトから問い合わせてみてください。
運用会社 | GF Management合同会社 |
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代表者 | 田尻 光太朗 |
本社所在地 | 東京都千代田区麹町4丁目5-20 |
運用歴 | 1年 |
平均利回り | 年平均29% ※ファンドマネージャーの運用成績 |
最低投資額 | 1,000万円 ※500万円から相談可能 |
運用手法 | 大型日本株でポートフォリオを形成 |
主な投資先 | 大型日本株 |
資料請求・相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
公式サイト | GFマネジメント |
GFマネジメントは、2023年に設立された新しいヘッジファンドです。
ファンドマネージャーはモルガン・スタンレー証券の投資銀行本部での経験がある方。
現在はその時の経験を活かして、日本の大型株をメインに投資戦略を組んでいます。
そんなGFマネジメントの投資戦略は「J-Prime戦略」という独自のもの。
具体的には、日本大型株のなかでも「収益力・成長力」「巨大な成長産業」「競合優位性」のどれにも当てはまるごくわずかな銘柄「J-Prime投資ユニバース」に投資を実施するというものです。
以下は運用開始前の実績も含みますが、「J-Prime戦略」のパフォーマンスは日経平均やS&P500をも上回る圧倒的なパフォーマンスを実現しています。
分かりやすく、この期間にGFマネジメント、日経平均、S&P500に500万円と1000万円を預けていた場合、元利合計は以下のようになるということですね。
リターン | 元本500万円 | 元本1000万円 |
GFマネジメント | 2383万円 | 4766万円 |
日経平均株価 | 1237.5万円 | 2475万円 |
S&P500 | 1338万円 | 2676万円 |
実際の額で見ると圧倒的な差があることが分かります。
これまでのパフォーマンスについてはもちろん、今後の方針についてや、ポートフォリオについての詳細が気になる方は、是非GFマネジメントへ直接お問い合わせください。
面談にて詳しい資料とともに丁寧に説明してくれますよ。
GFマネジメントの最低投資額は1000万円~ですが、500万円~も相談可能とのことなので、もし「資金は1000万円に達しないけどGFマネジメントで挑戦してみたい!」「ヘッジファンドに挑戦してみたい!」とお考えの方がいればチャンスです。
あわせて相談してみてくださいね。
その他のヘッジファンドは以下の記事で紹介しています。
まとめ:8資産均等がダメな理由
今回は、バランス型ファンドの一種である8資産均等がダメな理由について解説しました。
8資産均等型は、リスクを抑えるために資産を広く分散していますが、その分リターンも分散されます。
低リスクで長期的に安定した運用を目指す投資家には適しているものの、高いリターンを求める投資家や柔軟な運用を希望する投資家には不向きとされています。
またリスク分散重視とはいえ、8資産均等型は、市場変動や為替リスクに対して脆弱な面もあります。
証券会社や銀行などからおすすめされることも多い本商品ですが、投資家自身も一定のマネーリテラシーを身に付け、市場の状況や自身のニーズに応じて最適な投資先を決定できるとよいでしょう。
4資産均等がダメな理由は、以下の記事で解説しています。