外国債券の購入に手数料は不要!その他コストと発生する税金を解説

外国債券は日本の債券と比較して利回りがよいので購入を検討している人も多いのではないでしょうか?

しかし債券を購入する際に最も気になるのが手数料。少ない利回りの中で高額な手数料を取られてしまったら利益が薄くなり、投資の効率は大きく下がってしまいます。

結論的に言えば、外国債券を購入する際には手数料はかかりません。

しかし、税金や為替コストなどが発生するので、外国債券へ投資する前にはどんな費用が発生するのかについて詳細に把握しておきましょう。

この記事では、外国債券購入時の手数料や保有中のコストなどについて詳しく解説していきます。これから外国債券投資を始めてみようと考えている方はぜひ最後までご覧ください。

目次

外国債券の購入時に手数料はかかる?

外国債券の購入時に手数料はかかる?

外国債券購入時には手数料はかかりません。

債券とは国や公共団体や民間企業がお金を借りるために投資家に対して発行する債券です。

取引の際の生じるコストは、発行価格の中に含まれているため、外国債権を購入する際に別途手数料がかかることはありません。

また口座管理手数料もかかりません。ただし、為替コストは外国債券を購入する投資家が負担しなければなりません。

外国債券購入時の為替コストや、口座管理手数料とは何かについて詳しく解説していきます。

手数料はかからないが為替コストは負担しなければならない

外国債券を購入する際には手数料はかかりません。

しかし外国債権は外貨で発行されるため、為替コストは負担しなければなりません。

為替コストとは、外国債券を円で購入する際に、その時の為替レートに証券会社が決めた手数料が加味されたレートのことです。

例えば楽天証券であれば、外国債券を購入する際のレートは『15:00時点でのインターバンクレート(仲値)+25銭』が外国債券を購入する際のレートになります。

この場合、中値よりも25銭高くなるので、25銭分が外国債券を購入する際の手数料だということができます。

外国債券を購入する際には、明確に「購入金額の〇〇%」という手数料は発生しませんが、そもそものレートが手数料が加味されたものになっています。

外国債権を購入する際には全くコストがかからないわけではないので注意してください。

外国口座管理手数料もかからない

外国債券を購入し保有する場合には、口座の管理手数料などもかかりません。

通常、外貨を保有する場合には外国口座管理手数料というコストがかかることがあります。

外国口座を保有するだけで口座管理にかかる手数料が発生する証券会社も多いですが、外国債券については口座管理手数料は発生しない証券会社がほとんどです。

なお、最近は外国口座管理手数料そのものが無料となっている証券会社もかなり多くなっています。

証券会社によっては外国口座管理手数料が発生する可能性もあるので、手数料を抑えたい方は、外国口座管理手数料がない証券会社に口座を作成しましょう。

外国債券の保有時に税金はかかる?

外国債券の保有時に税金はかかる?

外国債券購入時には手数料はかかりません。

しかし外国債券を保有する際に発生する最も大きなコストとして税金があります。

外国債券に対しては主に次の3つに対して税金が発生します。

  1. 利子
  2. 譲渡益
  3. 償還差益

外国債券保有時に課税される税金の種類と税率について詳しく解説していきます。

利子にかかる税金

外国債券の利子については「利子所得」として、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金が源泉徴収されます。

外国債券については、100ドルなど外貨で利子の金額が決まっているため、円換算した利子の金額に対して20.315%が源泉徴収され、入金になる金額は税金が控除された後の金額です。

そのため、何も手続きをする必要はありません。

もしも国外で課税された分があるのであれば、外国税額を控除した金額が源泉徴収されます。

国内と国外で二重課税された税金がある場合には確定申告によって外国税額控除の適用を受けましょう。

譲渡益にかかる税金

外国債券を満期償還前に売却した場合、購入金額よりも売却金額の方が大きければ譲渡益が発生します。

譲渡益に対しては20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金が課税されます。

こちらも譲渡益を日本円に換算した金額に対して20.315%の税率が源泉徴収されるので、投資家の方が自分で納税する必要はありません。

償還差益にかかる税金

外国債券が満期になって証券された場合、購入時よりも高額で償還されることがあります。

特に外国債券は外貨で購入されるので、為替が円高に転じていれば円換算した時の償還差益は大きくなります。

国内債券であれば100万円で新規購入した債券は満期償還時にも100万円ですので償還差益は発生しません。

しかし外国債券の場合には、為替差益が発生する可能性があるので償還差益が発生しやすくなります。

償還差益についても、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)が課税されます。

税金は源泉徴収されるので投資家の方がご自身で納税する必要はありません。

外国債券の税金の扱いについて

外国債券と特定口座で保管して、「上場株式等」として株式や投資信託と同じように、申告分離課税の対象です。

そのため、利益や損失は損益通算でき、損失が出た場合には3年間の繰越控除を行うことができます。

損益通算と繰越控除について詳しく解説していきます。

損益通算とは

損益通算とは、所得や損失を合算することです。

外国債券は公社債(国債、地方債、外国国債、外国地方債、社債等)の利子、譲渡損益、償還差損益は、上場株式等として申告分離課税することが決められているため、外国債券を譲渡した際の損失は、他の金融商品の損益と損益通算することが可能です。

例えば、外国債券で譲渡損失が50万円発生し、他の株式など他の金融商品の譲渡益が500万円あるのであれば、損失と所得を合算して450万円の所得になります。

譲渡損失の繰越控除とは

譲渡損失の繰越控除とは、外国債券の譲渡によって損失が発生し、当該損失が当年分の所得から控除しきれない場合には、「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」として損失が発生した翌年以降3年間の上場株式等の譲渡益から控除することができます。

外国債券の保有時に発生する可能性がある手数料とは?

外国債券を保有している間、基本的に発生するコストは税金だけです。

しかし口座残高を照会する場合など、次のような資料の提示を求める場合には手数料がかかることがあります。

  • 取引残高報告書
  • 顧客勘定元帳

外国債券を保有する際に手数料が発生する可能性のある2つの帳簿等はどのようなものか解説していきます。

取引残高報告書

取引残高報告書とは、証券会社における顧客の取引と預り残高の明細です。

取引残高報告書は、取引があった場合は、原則、3か月に1度の頻度で顧客に送付されます。

定期的に発送される取引残高報告書に対しては手数料はかかりません。

しかし、一度発行された取引残高報告書の再発行を依頼する場合などは、証券会社によっては1,000円程度の手数料がかかることがあります。

ネット証券であれば画面で表示されるので手数料はかからないことが一般的です。

顧客勘定元帳

顧客勘定元帳とは取引に伴う精算金額が記載された法定帳簿です。

株式取引(信用新規は除く)の売買および入出金の履歴が記載されており、当該証券会社との間で行った取引の全てが記録されています。

株式の取得時期や取得価格を知りたい時に使用します。

顧客勘定元帳は証券会社へ依頼することで発行できますが、発行には1,000円程度の手数料が発生します。

外国債券の手数料についてよくある質問

外国債券の手数料についてよくある質問

外国債券の手数料についてよくある質問をご紹介していきます。

楽天証券・SBI証券などのネット証券の手数料は?野村證券・日興証券などの店舗型と比較して安い?

株などの取引の際の手数料は楽天やSBIなどのネット証券の方が、店舗を保有して従業員を数多く抱えている野村や大和や日興証券よりも安い傾向があります。

ネット証券は店舗の管理コストや人件費がかからない分、手数料などのコストを安くすることが可能です。

ただし、外国債券については楽天やSBIなどのネット証券も野村や大和や日興証券などの店舗型の証券会社も手数料は無料となっています。

外貨建ての既発債を購入する時に手数料がかかる?

既発債とは既に発行されている債券を市場から購入することです。

既発債も新規で購入する時と同じように、証券会社に対して特別手数料を支払う必要はありません。

しかし、既発債も購入レートには仲値に対して証券会社の手数料が乗った価格になっています。

特別に手数料はかかりませんが、新規の債券を購入する時と同じように既発債についても、為替コストがかかります。

外貨を購入する際には手数料がかかる?

外貨を購入する際には「外貨購入手数料」がレートとは別に発生する金融機関があります。

例えばみずほ銀行では外貨購入手数料は次のように発生します。

  • 米ドル:1米ドルあたり2円
  • ユーロ:1ユーロあたり4円50銭
  • 英ポンド:1英ポンドあたり7円
  • スイスフラン:1スイスフランあたり4円
  • オーストラリアドル:1オーストラリアドルあたり7円
  • ニュージーランドドル:1ニュージーランドドルあたり7円45銭

金融機関や証券会社によって、購入時に円から外貨に換算するレートであるTTSレート、売却して円に換算する際のレートであるTTBレートとは別に、手数料が発生することがあるので注意してください。

利回りのいい外国債券にはどのような種類がある?

次のような国の通貨は金利が高いので外国債券の利回りも高くなります。

  • ロシアルーブル
  • メキシコペソ
  • トルコリラ
  • 南アフリカランド

これらの通貨は高利回りですので、債券の利回りも必然的に高くなります。

高利回りの債券への投資を希望している方におすすめです。

ただし、これらの通貨は値動きも非常に激しくなります。

ロシアによるウクライナ侵略の際に、ロシアルーブルが大暴落したことは記憶に新しいのではないでしょうか?

今後も、これらの通貨価値が暴落して、日本円に換算した時には価値がほとんどない状況になってしまう可能性は十二分にあります。

利回りのいい外国債券は原本割れのリスクも高いという点をしっかりと認識しておきましょう。

外国債券を換金する際に利益が出た場合には税金がかかる?

監禁する際に利益が出た場合には、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金が課されます。

満期償還前に売却して譲渡所得が発生した場合も、満期償還によって所得が発生した場合も同じように20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金が源泉徴収されます。

外国債券のリスクを教えてください

外国債券のリスクは主に次の4つです。

  1. 為替変動リスク
  2. 信用リスク
  3. 価格変動リスク
  4. カントリーリスク等

外国債券は外貨建てで購入するため、円安になれば円に換金した際に損失が大きくなります。

また、債券を発行する国や公共団体や企業が破綻すれば債券の価値はゼロになってしまいます。

また債券も市場で売買されているため、多くの売りが発生すれば価格が暴落する可能性があります。

株式ほどではないですが価格変動のリスクが外国債券にもあります。

また、戦争や政情不安や経済危機によって、外国債券を発行している主体の国が信用不安になれば、外国債券の価値そのものが下落する可能性があります。

カントリーリスクがあるという点も外国債券の注意点です。

まとめ

外国債券には購入時の手数料はかかりません。

売買の際のコストも債券価格に含まれているためです。

また、保有時も口座管理手数料などはかからないことが一般的です。

しかし、外国債券を円で購入する際には証券会社が設定している外貨レートが適用されます。

外貨レートは「仲値+証券会社が設定した手数料」で定められているため、実質的には購入時のレートに証券会社が手数料を乗せていると言えます。

購入時の手数料は証券会社によって異なるので、できる限り仲値との乖離幅が狭い証券会社で外国債券を購入するようにしてください。

なお、外国債券を保有して利子を受け取ったときや、譲渡益が発生したとき、満期償還によって利益が発生した時には利益に対して20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金が源泉徴収されます。

外国債券に投資する際には、どの程度為替コストがかかり、どんな税金が発生するのかあらかじめ確認しておきましょう。

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