資産運用と資産形成って何が違うの?
初心者が資産を増やすにはどちらを選べば良いの?
将来のために資産運用を始めようと考えていても、上記の疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
資産運用と資産形成は同じ意味合いで認識されることが多いですが、どちらにも明確な違いがあります。
資産を増やしている点では同じ意味合いになりますが、違いや特徴を理解して今後の方向性を検討していくのは重要です。
そこで、本記事では以下のポイントで資産運用と資産形成の違いを分かりやすく解説いたします。
最後までご覧いただくことで、資産運用と資産形成の違いを理解でき、将来に備える準備ができるようになります。
さまざまな状況をシミュレーションし、ライフイベントに備えてお金の知識をつけておきましょう。
資産運用と資産形成の違いとは?
まずは資産運用と資産形成の違いから解説していきます。
資産形成とは資産を0から作っていくのに対し、資産運用とはすでにある資産を増やしていくイメージになります。
それぞれ詳しく説明しますので、違いを理解しておきましょう。
資産形成とは資金を貯めていこうとする目的
資産形成とは、0から資金を貯めていく「目的」を指します。
たとえば、残業や副業で収入を増やして貯金額を多くする・毎月の出費を減らすなど、できるだけお金を残すための対応です。
資産形成には年齢や資金力も関係ないため、誰でも気軽に始められるとも言えます。
お金を増やしていこうと考えても、元となる資金がなければ何もできません。
そのため、資産形成とは投資前に「ある程度のお金」を作るための目的だと考えておきましょう。
資産運用とは今ある資産を増やしていく手段
資産運用とは、今あるお金や資産を投資に回して増やしていく「手段」です。
ある程度の金融資産を保有している必要がありますが、その金額に明確な基準はありません。
しかし、一般的には1,000万円ほどの資産を保有してから、資産運用を始めるのが良いとされています。
資産形成で投資に回すお金を作り、資産運用でさらにお金を増やしていく流れが理想です。
ただし、資産運用でお金を増やしていける反面、貯金と違って元本割れのリスクがある点には注意しておきましょう。
資産運用と資産形成の必要性と違いからわかるポイント
老後2,000万円問題の話題から、副業ブームをはじめ資産運用や資産形成の注目度が上がっています。
しかし、果たして本当に自分にとって必要なのか疑問も感じる方もいるでしょう。
ここでは、資産形成や資産運用の必要性について説明いたします。
それぞれ詳しく解説していきますので、改めて必要性を考えてみてください。
将来のライフイベントに備えるため
まず1つ目に挙げられるのは「将来のライフイベントに備えるため」です。
当然ですが、仕事で得た収入を全部使ってしまえばお金は貯まりません。
収入が安定しているうちは、生活費に困ることはないかもしれませんが、一般的に年齢が上がるにつれて出費は増えていくものです。
たとえば「結婚・子どもの教育資金・不動産購入」など、人生の三大資金と呼ばれる「住宅資金」「教育資金」「老後資金」が挙げられます。
そのため、将来のライフイベントをシミュレーションし、資産を残しておく準備が必要だと言えるのです。
定年退職後の生活資金を確保するため
次に「定年退職後の生活資金を確保するため」に資産運用や資産形成が必要な理由を深掘りしてみます。
誰にでも訪れる老後は、年金を含むこれまで形成した資産を取り崩しながら生活することになります。
日本は少子高齢化が進んでいることで問題視されているように、将来の社会保障制度が十分に機能するか不透明な状態です。
また、年金受給年齢や医療費負担の引き上げが起きている中、将来年金だけで生活を送ることは非常にリスクだと言えます。
そのため、定年退職後の生活資金をしっかり確保しておくには、資産形成による貯蓄だけでなく、資産運用でお金を増やす必要性が高まっています。
資産運用や資産形成を始める前に知っておきたい注意点
資産運用と資産形成の違いや必要性を理解した上で、これから投資を始めるにあたって注意点もいくつかあります。
- 資産を守るためのリスク管理は徹底する
- 目的を決めて運用方法を選ぶ
- 専門家のアドバイスを元に方針を決める
資産は増やすだけでなく、守ることにも注力する必要があるので、事前に注意点も確認しておきましょう。
資産を守るためのリスク管理は徹底する
1つ目は「資産を守るためのリスク管理は徹底」し、資産保全することです。
資産保全とは、「物理的・価値的にお金を減らさない」こと、すなわち、お金の守り方としての方法や手段を意味します。
たとえば、投資信託や株式投資で資産を運用しようとする場合、株価の変動による損失リスクや、カントリーリスクなどにも注意する必要があるのです。
資金を投入すれば放置していても増えているわけではないので、お金や投資に関する知識を深めることも非常に重要。
資産運用や形成には、リスクが付きものですので、リスクをシミュレーションしたうえで始めることをおすすめします。
目的の違いを理解して運用方法を選ぶ
2つ目は「目的の違いを理解して資産運用の方法を選ぶ」ことです。
資産形成から資産運用にはさまざまな手段があるので、目的に合わせて自分に適した運用方針を決めていきましょう。
たとえば、子どもの教育資金・不動産購入に向けた頭金・老後の生活資金など、目的によって目指すべき金額も違います。
そのため、まずは目的を決めて「いつまでにどのくらい」必要なのか、シミュレーションしてから運用を始めると取り組み安いはず。
自分に合った最適な運用方法を見つけてみてください。
専門家のアドバイスを元に方針を決める
3つ目に「専門家のアドバイスを元に方針を決める」のも良いでしょう。
特に、これから資産形成や運用を始めようと考えている初心者ほど、何からやればいいかわからないはず。
闇雲に投資に手を出してもリスクが高いので、専門家にアドバイスをもらって方針を決めるのがおすすめです。
たとえば、銀行や証券会社などの金融機関には、資格を保有している専門のスタッフも在籍しており、資産運形に関する相談が気軽にできます。
そのため、アドバイスを元に方針を決めていくことで安心して始められるメリットも大きいです。
資産形成と資産運用の主な種類や投資方法の違い
投資するための金融商品には、資産形成専用・資産運用専用など明確に分かれているわけではありません。
しかし、目的によって投資先や考え方が異なる場合もあります。ここでは金融商品の種類を紹介していきます。
- 普通預金や定期預金で資産を築く
- 外貨預金の金利差で資産を増やす
- 株式投資で売却益や配当金を受け取る
- 投資信託でプロに運用を任せる
- 変額保険へ加入した運用
- NISAは節税効果抜群
- iDeCoで節税しながら老後資金を貯める
それぞれの特徴をわかりやすく解説していきますので、投資先を選ぶ際の参考にしてみてください。
普通預金や定期預金で資産を築く
資産を作っていく上で最も簡単な方法は、金融機関での預貯金です。
ペイオフと呼ばれる制度によって、万が一金融機関が破綻しても最大1,000万円までは預金額を守ることができます。
しかし、銀行の普通預金は利息が0.001%とかなり低くなっているため、大きな資産形成には期待できません。
また、定期預金は普通預金よりも金利が高い分、一定期間お金を引き出せないデメリットがあります。
そのため「教育・住宅・老後」資金など、絶対に減らすことができないお金を預けておき、資産を増やすというより「守る手段」だと考えておきましょう。
外貨預金の金利差で資産を増やす
外貨預金とは、その名のとおり外貨で預金を行う資産運用です。
外国の通貨を利用し、日本国内との金利差によって好条件で預金金利を得ることができます。
有名な外貨で言うと「$ドル」で預金するという方法です。
たとえば、同じ1,000万円の資産を持っていても国内の金融機関に貯金しておくよりは、ドル建にしておく方が多くの利息が発生します。
さらに、円安が進めばよりプラス利益が受け取れるなど大きなリターンにも期待が持てるでしょう。
しかし、相場変動によっては預けた資金が元本割れするリスクもあるので注意が必要です。
株式投資で売却益や配当金を受け取る
株式投資は、資産運用のなかで最も一般的な投資方法です。
株価の値上がりを狙って「売却益」を得たり、株を保有することで発生する「配当金」や「株主優待」を受け取って運用していきます。
余裕資金を持っていることが前提となりますが、成長性の高い企業を見つけることで利益増加にも期待できるわけです。
しかし、株式投資にも元本割れのリスクは伴うため「長期保有で利益を狙う・複数の銘柄でリスク分散する」など、投資手法や知識を学ぶ必要もあります。
投資信託でプロに運用を任せる
投資信託とは、プロのファンドマネージャーへ資金を預けて運用してもらい、利益を受け取るという投資方法です。
投資初心者が利用することの多い投資方法の1つで、投資経験や知識がない自分に代わって、プロに任せられるというメリットがあります。
また、複数の株式銘柄などに分散投資するため、運用リスクを軽減できるのもポイントです。
しかし、プロに任せたとしても元本が保証されるわけではないですし、手数料も必要なので、よく検討する必要があります。
変額保険へ加入した運用
変額保険とは、運用成績に応じて保険金額が変動する保険タイプを指します。
変額保険には3つのタイプ(終身・有期・年金)があり、目的に応じて商品を選択できるため、死亡や障害に備えつつ将来に向けた資産形成・資産運用ができます。
変額保険では、保険料の一部が投資信託などの運用に回されるため、元本を上回る可能性がある一方、元本割れするリスクも伴います。
しかし、生命保険などの保険金は契約時に将来もらえる金額が決まっているため、インフレリスクには弱いのが特徴。
また、あくまで保険としての役割を持っているため、投資に特化した商品に比べるとコストが高い点には注意が必要です。
利用する際は、慎重に将来をシミュレーションしてから加入することをおすすめします。
NISAは節税効果抜群で初心者にもおすすめ
NISAとは、株式や投資信託で発生した「利益にかかる税金を非課税」にできる制度です。
通常は、利益に対して一律20%の税率が発生するため、長期的にみると資産形成や資産運用時には大きなメリットとなります。
また、NISAには最長20年まで活用できる「つみたてNISA」と120万円までは毎年非課税にできる「NISA」の2種類から選択可能。
どちらか一方でしか運用できませんが、途中での変更も可能なため、特に初心者はNISAから運用するのがおすすめです。
iDeCoで節税しながら老後資金を貯める
iDeCoはNISAと同様に税金が優遇される制度で、老後資金を貯める有効な手段です。
個人型確定拠出年金とも言われ、60歳になるまで毎月一定額を積み立て、60歳以降になると引き出せるようになります。
そのため、預けたお金を60歳まで引き出せないというデメリットはありますが、運用益は非課税になるため、長期的に運用してもリスクを抑えられる有効な投資法だと言えます。
また、iDeCoで支払った毎月の掛け金は所得税や住民税を差し引くことができるので、節税効果抜群で多くの点でメリットがあります。
資産運用と資産形成の違いを理解して初心者が始めるには?
資産運用と資産形成の違いを理解しても、初心者は何から始めて良いのか不安に感じる方も多いでしょう。
ここまで解説してきたように、資産形成や運用にはリスクを抑えて少額から気軽に始められるものもあります。
たとえば、銀行の預貯金であれば1,000万円までは保証されるため、元本割れのリスクを回避しつつ資産形成できるのでおすすめの方法だといえます。
また、資産運用の目安である1,000万円までは、仕事で得た給与と毎月の節約を意識することで、預貯金でコツコツ貯めていけるはずです。
次に、初心者が投資をする場合は、つみたてNISAやiDeCoの活用もおすすめなので視野に入れておきましょう。
節税対策をしつつ、投資の基本原則である「長期・積立・分散」が無理なく行えるのは大きなメリットです。
貯金では金利が低すぎるため、長期的な資産形成が自分に合わないと感じる方にもNISAやiDeCoは活用できます。
多少のリスクはあるものの、資産を増やすための時間短縮はできるので資産形成としても有効な手段です。
初心者が投資を始めるにあたって、まず意識しておく流れは、資産形成で投資に回すお金を貯めて、余裕のある資金で資産運用をしていくことです。
よくある質問
将来のために資産形成・資産運用をシミュレーションする方法は?
具体的な資金額をシミュレーションするなら、金融庁の資産運用シミュレーションが役に立ちます。 目標金額達成には毎月どれくらい積み立てなければならないのか、目標達成には何年かかるか、初期投資はどの程度に設定すべきかといったシミュレーションできます。
資産形成の意味は?資産運用との違いはある?
資産形成とは、0から資金を貯めていく「目的」を指し、投資前に「ある程度のお金」を作ること。
対して資産運用は、今あるお金や資産を投資に回して増やしていく「手段」のことを意味します。
流れとして捉えると、資産運用のために資産形成が必要、ということです。
資産保全とは?形成や運用との違いはある?
資産保全とは、「物理的・価値的にお金を減らさない」こと、すなわち、お金の守り方としての方法や手段を意味します。 インフレによる価値の減少や、貯金額が減る物理的価値の減少に負けず、資産保全とはすることが重要です。
資産運用と資産形成の違い|まとめ
今回は、資産運用と資産形成の違いや特徴を徹底解説いたしました。
本記事のポイントは次のとおりです。
- 資産形成とは資金をゼロから貯めていこうとする目的
- 資産運用とは今ある資産を増やしていく手段
- 将来のライフイベントに備えるために必要
- 自分の目的に合った金融商品を選ぶことが大切
資産形成と資産運用は、将来のためにどちらも必要です。
何から始めていいかわからない初心者は、自分の資産がどのくらいあるのか明確に把握することから始めてください。
資産運用の目安となる1,000万円以上の資産がある方は、株式投資や投資信託で資産を増やしていく計画をシミュレーションを早い段階でしておくことをおすすめします。
貯金だけではお金を増やせない現代は老後も心配です。そのため、将来に備えてお金の知識は自分でつけていくことが重要となります。
まずは資金形成から始めて、将来の不安を解消できるようにしていきましょう。