家計の支出を考える中で「生命保険料が高すぎる」と感じている方も多いのではないでしょうか?
配偶者やお子さんがいる場合、生命保険は必要なものですが、保険は何か事が起こってからでないと使用しないため、できる限り少ない負担でいざというときに備えられるのがベストです。
しかし、むやみに保険料を安くすることは保障を削ることにもつながるので注意が必要です。
この記事では、必要な保障を得ながらも保険料を安くする方法について詳しく解説していきます。
「保険料が高い」「保険料を安くしたい」と考える方はぜひご覧ください。
生命保険を安くしたいと考えたら
生命保険を安くしたいと考えたとき、むやみに保険料を削ることばかりを考えるのは得策ではありません。
保険料を安くしたいのであれば、保障を削れば簡単にできます。
しかし保険料ありきで保障を削ってしまったら、ご自身や家族のために必要な保障を得ることができないためです。
生命保険料を安くしたいときに、最も重要なことは「家計の中からいくらなら無理なく保険料の支払いに回せるのか」ということです。
支払い可能な保険料を算出することによって、家計に無理なく支払える保険料を知ることができ、無理のない範囲で必要な保障は何かということを冷静に検討することができます。
まずは、家計を見直して「いくらなら無理なく支払うことができるのか」という点を計算しましょう。
なお、生命保険の保険料は定期的に見直していくのがよいとされています。
家族の年齢や家族構成、住宅ローンを借りたタイミングなど、生命保険料を見直すタイミングは無数にあります。
まずは、家計の収入と支出を全て洗い出し、生命保険料にいくらなら支払うことができるのか、また、本当に必要な生命保険金はいくらなのかを洗い出してみましょう。
生命保険料の年収別の相場
なお、生命保険文化センターの令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、年収別の生命保険料の相場は次のようになっています。
年収 | 年間保険料 |
1000万円以上 | 57.9万円 |
700~1000万円未満 | 43.4万円 |
600~700万円未満 | 32.9万円 |
500~600万円未満 | 31.9万円 |
400~500万円未満 | 30.6万円 |
300~400万円未満 | 31.5万円 |
200~300万円未満 | 28.0万円 |
200万円未満 | 20.5万円 |
「保険料が高すぎるから安くしたい」と考えている方は、まずはご自身が負担している保険料が相場よりも高いのか安いのかを確認しましょう。
相場よりも高いのであれば、安くしたいと考えるのは妥当ですし、すでに相場よりも安いのであれば、家計の中で他の支出を見直した方がよいかもしれません。
生命保険料を安くしたい時の5つの対処方法
保険料を安くしたいときには、まず保障内容を変えずに保険料を安くする方法を検討しましょう。
主な方法としては次の5つです。
- 「定期保険」に変える
- 貯蓄型保険を「払済保険」に切り替える
- 延長保険で保険料の支払いをストップする
- 保障内容を見直す
- 不要な特約を削る
保険の切り替えや保険契約の変更などの方法によって本当に必要な保障を残しながら、保険料を安くできる可能性があります。
また、契約内容や特約の内容についても「本当に必要なのか」再検討しましょう。
保険料を安くしたい時の5つの対処法について詳しく解説していきます。
「定期保険」に変える
現在加入している保険が終身保険や養老保険で、終身保険や養老保険の保険料を安くしたい場合には、加入している保険を定期保険へ切り替えることによって保険料を大きく引き下げられる可能性があります。
- 終身保険:加入してから一生涯にわたり、死亡保障等が継続する生命保険
- 養老保険:死亡した場合と満期まで生きていた場合に、同じ金額を受け取れる保険
- 定期保険:契約時に定めた一定期間を保障する保険
終身保険は保障期間が一生涯と非常に長いため、保険料が高くなります。
また、養老保険には貯蓄の役割もあるため、保険料が高くなります。
定期保険であれば貯蓄性がなく、保障期間も一定期間ですので、同じ保険金額でも生命保険料を抑えることが可能です。
「子供が自立するまで」「退職金が入金になるまで」など、生命保険の保障が必要な期間は一定期間のみである事が少なくありません。
保険料を抑えながら必要な期間だけ保障を必要としている方は、終身保険や養老保険から、比較的安い定期保険への切り替えを検討しましょう。
ただし、定期保険へ切り替えることによって貯蓄性は失われますし、一生涯の保障を受けることもできません。
定期保険へ切り替えることのデメリットもよく理解した上で保険見直しを検討しましょう。
貯蓄型保険を「払済保険」に切り替える
生命保険料を安くしたいのであれば、貯蓄型の保険を「払済保険」へ切り替える方法もあります。
払済保険とは、既存の生命保険を解約して、解約返戻金の範囲内で加入できる同じ保険期間の生命保険へと切り替える方法です。
解約返戻金の範囲内で同じ保険期間の生命保険へと切り替えるので、払済保険は基本的に保険金額が小さくなります。
例えば、保険金額500万円の生命保険金額を300万円へと減額することで、以後の保険料の支払いを免除するようなケースです。
払済保険へ切り替えることができれば、生命保険料の支払いをせずに保障を継続できます。
「子供が自立した」「住宅ローンを借り入れた」これらは生命保険金額を減額できるタイミングです。
保険金額を減額しても問題ないのであれば、払済保険へ切り替えて生命保険料を免除または安くしましょう。
延長保険で保険料の支払いをストップする
延長保険とは、生命保険金額はそのままに、保障期間が短くなる仕組みです。
具体的には既存の生命保険を解約して、解約返戻金の範囲内で加入できる同じ保障内容の生命保険へと切り替える方法で生命保険料の支払いを免除します。
そのため、一般的には延長保険に切り替えることで、保険期間は短くなります。
保険金額は同じですが期間が短くなるので、「子供が自立するまで」「定年退職を迎えるまで」など、一定期間のみの保障へ切り替えても問題ないのであれば、保険料の支払いを免除できるので、生命保険料を安くしたい方におすすめです。
延長保険は保障を得られる期間が短くなるので、長期的なライフプランをしっかりと検討した上で切り替えを決定してください。
保障内容を見直す
生命保険の保障内容を見直すことでも、生命保険を安くしたいニーズを叶えることができます。
保険金額、保険期間を「本当に必要な内容か」と定期的に見直すことによって最適な保障内容を保ちながら、無駄のない保険料をする事が可能です。
保障内容は次のようなタイミングで必ず見直すようにしてください。
- 結婚:配偶者の生活が困らないよう、生命保険の金額の引き上げを検討する
- 妊娠・出産:子供が生活に困らないよう、生命保険金の引き上げを検討する
- マイホーム購入:住宅ローン団信が付保されるので生命保険金の引き下げを検討する
- 独立・開業:収入が不安定になる保証もないので、生命保険金の引き上げを検討する
- 収入減少:保険料の負担軽減のために、生命保険金の引き下げを検討する
- 定年:子供の独立や退職金の入金のため、生命保険金の引き下げを検討する
- 離婚:配偶者を養う必要がないので、生命保険金の引き下げを検討する
- 生命保険の契約更新:既存の保険内容が本当に必要なものかどうかを再検討する
- 保険料を安くしたいと考えた時:保険金や特約の内容を見直し、引き下げを検討する
- 保障内容に不安を感じた時:保険料の引き上げを検討する
ライフステージに合わせて保険の見直しを適宜行うべきものです。
上記のようなタイミングでは必ず生命保険を見直し、安くしたいのであれば無駄な保障を削りましょう。
不要な特約を削る
保険料を安くしたいと考えたときには、契約中の生命保険に付帯されている特約の中に、不要な特約がないかという点も確認しましょう。
生命保険には医療特約、傷害特約、定期特約、介護特約、健康祝い金特約など様々な特約がついていることが多いですが、このような特約のつけすぎは生命保険料が高くなる大きな原因になります。
次のようなポイントで生命保険の特約が本当に必要かどうかを確認しましょう。
- 医療特約・傷害特約は他の保険と被っていないか
- 定期特約は他の保険と重複していないか
生命保険に不要な特約がついていないかどうかを確認するための2つのポイントを解説していきます。
医療特約・傷害特約は他の保険と被っていないか
生命保険に付帯されている医療特約や傷害特約は他の保険と被っていないかどうか必ず確認しましょう。
医療保障は病気になった時、傷害特約はケガをした時の保障で、保障内容は医療保険と傷害保険と基本的に大きく違いはありません。
特に傷害保障はクレジットカードの会員向けのサービスで無料付帯されることも少なくありません。
すでに他の保険で病気や怪我の補償があるのであれば、特約を削るか医療保険や傷害保険を解約するなどして、保険料を節約しましょう。
定期特約は他の保険と重複していないか
定期特約とは、一定期間の死亡に備えて保障を厚くする掛け捨ての特約です。
例えば「60歳までに亡くなったら1,000万円」「55歳までに無くなったら2,000万円」など、一定期間のみ死亡保険の金額を多くする特約です。
「子供が小さいうちは保障を厚くしたい」など、一定期間のみ死亡保障を厚くしたい方には活用できる特約です。
しかし、家族状況の変化などによって、一定期間のみ死亡保障を厚くする必要がなくなった場合には、定期特約を解約することで保険料を安くすることができます。
また、学資保険に加入している方は、定期特約が学資保険と重複している可能性があります。
学資保険には育英年金という特約が付帯されているものがあります。
これは、親が死亡した場合に、一定期間家族が年金を受け取れるというものです。
もしも子供が小さいうちに、親が死亡するようなことがあっても育英年金があれば安心です。
生命保険の定期特約に近い特約ですので、学資保険に育英年金特約があるのであれば、生命保険の定期特約を外すことも検討した方がよいでしょう。
このように、生命保険の特約は他の保険と保障内容が被っている事が多々あります。
もちろん、保険は多い方が安心ですが、特約を外すことによって保険料を引き下げることは可能ですので、「生命保険料を安くしたい」と考える方は、特約が他の保険と重複していないか、本当に必要な特約かをしっかりとチェックしましょう。
本当に適正?生命保険金額のチェックポイント
「保険料が高すぎる」「保険料を安くしたい」と考える方は、まずは「そもそも今の保障内容が本当に適切なのか」という点を検討すべきでしょう。
時間とともに家族の形態も構成も変わっていくのですから、家族の状況の変化に合わせて保険の内容も検討すべきです。
保険料が適正か否かのチェックは次の3つの視点で確認しましょう。
- 独立前の子供の有無
- 遺族年金は考慮に入れているか
- 住宅ローンを利用しているか
子供の独立や遺族年金の有無、また住宅ローンを借りたかどうかによって、必要な生命保険は大きく異なります。
生命保険金額の3つのチェックポイントを詳しく紹介していきます。
独立前の子供の有無
独立前の子供がいるかによって必要な生命保険は大きく異なります。
独立前に子供がいるのであれば、家族の稼ぎ手が死亡した場合、子供の生活や進路に大きな影響を及ぼすことになります。
子供の生活費や将来の学費なども考慮して、次の支出を捻出できる必要な金額の保険に加入しましょう。
- 子供の学費
- 子供の生活費
- 本人の葬儀費用
一方、子供がいない、子供が独立したという場合には、それほど多くの保障は必要ありません。
次のような支出を捻出できる保険に加入しましょう。
- 配偶者の生活費
- 本人と配偶者の葬儀費用
家族状況は年々変わっていくため、家族状況の変化に合わせてその都度保険を見直すのがベストです。
例えば、子供が生まれたら生命保険金額を多くして、子供が独立したら生命保険金額を小さくしたり、延長保険へ切り替えるなどして、その都度保険見直しを行い、無駄のない保険料となるようにしましょう。
遺族年金は考慮に入れているか
遺族年金とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者が亡くなったときに、死亡した方によって生計を維持されていた配偶者が受け取れる年金です。
簡単に言えば、生活を支えていた夫が死亡した場合、残された妻は夫の年金の7割程度を遺族年金として受け取ることができるというものです。
つまり、夫が死亡しても妻は遺族年金によって一定レベルの生活ができるので、生命保険では残された配偶者の生活費全てを考慮する必要はありません。
遺族年金がいくらもらえるのかをシミュレーションし、遺族年金では不足する部分だけの生命保険を掛けることで、生命保険料を安くすることができます。
生命保険料を安くしたいと、保険見直しを行うのであれば老後遺族年金がいくらになるのかも加味した上で適正な生命保険金額を設定しましょう。
住宅ローンを利用しているか
住宅ローンを利用しているのであれば、住宅ローンの残債分は生命保険金額の削減を行うことを検討しましょう。
住宅ローンには団体信用生命保険が付保されるためです。
住宅ローンの団体信用生命保険とは、住宅ローンの借主が死亡または高度障害になった場合に、住宅ローン借入残高を生命保険の保険金で返済してくれるというものです。
つまり、住宅ローン借入中にも借主にもしものことがあっても家族に住宅ローンは残りませんし、家族が住宅ローンを支払っていく必要もありません。
住宅ローンを借りているのであれば、住宅は確実に家族に残すことができるので、その分の生命保険金は削減できます。
残された家族が住居費をかけずに生活することができるので、生命保険金は住居費を除いたものへと保険見直しを行いましょう。
なお、ほとんどの住宅ローンでは団体信用生命保険の加入は必須ですが、フラット35は団体信用生命保険に加入することなく住宅ローンの借り入れができます。
団信に加入せずに住宅ローンを利用した場合には、借主に万が一のことがあると家族に住宅ローンが残ってしまうため注意してください。
また、住宅ローンの団体信用生命保険には「がんと診断されたら住宅ローン残高0円」や「八代疾病特約」などの充実した特約を少しの金利負担でつけることも可能です。
場合によっては生命保険の特約よりも負担が安くなることもあるので、住宅ローン団信の特約も上手に活用して、生命保険料の支払いを安くしましょう。
保険を切り替える際の注意点
生命保険料を安くしたいからと、保険見直しを行う際には次の点に注意してください。
- 無保険の期間を作らない
- 満期保険金や解約返戻金に注意する
保険を切り替えることによって無保険期間が生じてしまったり、満期保険金や解約返戻金が掛金を下回ってしまうこともあります。
保険料引き下げのために、保険の切り替えを行う際の2つの注意点を詳しく解説していきます。
無保険の期間を作らない
保険料を安くしたいと保険見直しをする場合には、無保険の期間を作らないように注意してください。
保険見直しや切り替えの順番を誤ると、保険に加入できていない無保険の期間が生じてしまう可能性があり、この期間内に万が一のことがあった場合には何も保障を得ることができません。
また、保険見直しの際には、新しい保険の告知があり、告知で引っかかり新しい保険に加入できないリスクもあります。
さらに、がん保険の場合には90日間の免責期間が設けられている事が多いので、契約してから90日以内にがんを発症しても保障を受けることができません。
保険見直しの際には、無保険の期間が生じてしまうことや、結果的に無保険状態になってしまう可能性があります。
確実に保障を得られるよう、新しい保険に確実に契約できてから、古い保険を解約するようにしてください。
満期保険金や解約返戻金に注意する
生命保険料を安くしたいということだけを考えるのではなく、満期保険金や解約返戻金にも注意するようにしてください。
例えば養老保険を定期保険へ切り替えることで、満期保険金は無くなってしまい掛け捨てになってしまいます。
また、払済保険や延長保険に切り替える場合には、既存の生命保険を解約し、その解約返戻金で新たな保険へ加入します。
この際に受け取る解約返戻金は、これまでに払い込んだ保険料よりも少なくなることがほとんどです。
保険料を安くしたいという思いから、保険の見直しを行うことによって、結果的に金銭的に損をしてしまうケースがほとんどですので、解約することによってどの程度の損失になるのか、解約返戻金でその程度の保障を得られる保険へ切り替えられるのかをしっかり確認してください。
保険を減額する際の注意点
保険料を安くしたい時の対処法として「保険の減額」という手段があります。
保険の減額を行う際には次の2点には十分に注意しましょう。
- 解約した保障は2度と復活できない
- 特約も一緒になくなる
補償の減額を行うと2度と復活できませんし、他の特約も一緒に無くなってしまうので注意しましょう。
補償の減額をする際の2つの注意点について解説していきます。
解約した保障は2度と復活できない
保険料を安くしたいという思いだけで、安易に保険を解約したり減額してしまうと、保障は基本的に2度と復活することはできません。
もしかすると、家族の将来のために必要な保障や特約であったとしても、解約や減額を行なってしまった後は2度とその保障を得ることはできませんし、仮に同じ保険に入り直したとしても保険料は以前より高くなります。
また、解約したり減額した場合には、これまで支払っていた保険料が無駄になってしまったり、金銭的に損をしてしまうことがほとんどです。
「保険料を安くしたい」という思いから、よく考えずに保険の解約を行うと、本当は必要だった保障を失ってしまう可能性があります。
生命保険の解約や減額を行う際には、「本当にその保障を失ってもよいのか」を慎重に検討するようにしてください。
特約も一緒になくなる
保険の解約や減額を行うと、特約も一緒になくなります。
払済保険や延長保険は、保険金額や保険期間をそのままにしながら保険料の支払いをストップできるものですが、特約は全て消滅します。
保険に付保されている特約はライフプランの中で必要なものもあります。
また医療特約が消滅し、医療保険に新たに加入する場合などは保険料が高くなりますし、場合によっては告知に引っかかり加入できない可能性もあるので注意が必要です。
「保険料を安くしたい」と、保険見直しをすることで、確かに必要な保障はそのままに保険料を節約できる可能性はあります。
しかし、特約部分は基本的に消滅するということも加味した上で見直しを検討してください。
まとめ
生命保険の保険料を安くしたい場合、次のような方法で引き下げることができます。
- 「定期保険」に変える
- 貯蓄型保険を「払済保険」に切り替える
- 延長保険で保険料の支払いをストップする
- 保障内容を見直す
- 不要な特約を削る
いずれの方法も、本当に必要な保障だけを残し不要な保障を切ることで安い保険料へと切り替える方法です。
家族の状況、年齢、仕事の状況、住宅ローンの有無などによって、人生の中で必要な保障は日々変化していきます。
保険料を安くしたいと考えるのであれば、ライフイベントの都度「本当に必要な保障はどの程度か」「特約は何が必要か」ということを見直すのがベストです。
保険は一度解約してしまったら元には戻らないことを認識し、保険内容は慎重かつこまめに見直していきましょう。