ビットコイン等暗号資産(仮想通貨)の半減期が及ぼす影響

ビットコインの半減期が予定されている2024年4月。いよいよこの時期が差し迫り、ビットコインへの投資を検討される方も多いのではないでしょうか。しかし実際に投資するにあたっては、巷の話題に翻弄されることなく、半減期について理解し自分なりの見解を持っておくことは、非常に大切です。

そこで今回、暗号資産教育をご専門の一つとされる小川健先生に、そもそも半減期とは何か、どのように経済に影響を及ぼすのかなど、詳しく教えていただきました。

専修大学の小川健教授

小川健 / takeshi ogawa
専修大学 経済学部 教授

理学部(旧数学科)から大学院より経済学に移る。2011(平成23)年3月博士(経済学、名古屋大学)。現在の担当は、国際経済論、資源・エネルギー論、数学補充科目、貿易論など。専門は近経貿易理論、水産物貿易(理論)、暗号資産教育、経済学教育におけるICTの活用など。貿易論に限らずマルチに活動。2015(平成27)年4月より現在の大学に移る。教育の工夫の一環として国際金融の講義に暗号資産教育や外貨建て保険等を取り入れてきた。

 そもそも半減期とは何か。なぜ起こるのか。

本来答えなければならない「ビットコインの半減期」とは、ビットコインにおけるマイニングの報酬において「ビットコインの新規発行分」が半分に減るまでの期間のことを指します。

この詳細について答える前に、半減期という言葉の基になった「放射性同位体」の半減期という言葉について説明させて下さい。「放射性同位体」とは理科の用語で、或る原子における一般的に知られている(比較的多く存在する)原子構造とは(中性子の数が違うという理由で)違う原子構造を持っている中で、永続的には安定するものではなく(粒子や電磁波などの)放射線などを出して少しずつ同じペースで原子構造が壊れていくものを指します。放射線と放射能に関する違いを引いておきますね。

参考:放射線と放射能(関西電力グループHPより) https://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/nuclear_power/whats/houshasen.html
(2024-01-30アクセス)

例えば高校までの理科の物理では、炭素といえば陽子:6、中性子:6を持つ原子核の周りを電子:6が回る炭素12という種類の炭素の原子を先に教えます。これは炭素原子の中で最もよく存在する炭素12の質量が12になるように原子の質量の単位(統一原子質量単位)を決めたからです。このため、炭素の質量は12である、とよく思いがちなのですが、実際には炭素12の他にも炭素11、炭素13、そして(炭素12からすると)「放射性同位体」である炭素14があります。この炭素14は半減期が約6,000年と知られていて、数百年・数千年レベルの年代測定で実際によく使われているものです。半減期を約6,000年として、一般的な存在比率の1/4なら半分の半分で約12,000年前、一般的な存在比率の約70.7%(1/√2)なら半減期の半分くらいで約3,000年前のものだと分かる訳です。活用事例としては考古学が多いですが他にも美術史の世界では例えば、この絵のこの顔料は炭素14の量・存在比率が同じ絵の中に使われている他の顔料と違うので、後の時代の人が基の絵に上描きしたな、などの判別を科学的に行うことができます。

参考:放射性炭素(炭素14)で年代を測る
https://umdb.um.u-tokyo.ac.jp/DPastExh/Publish_db/2000dm2k/japanese/02/02-12.html
(2024-01-30アクセス)

こうした放射性同位体については他にも色々なものが知られています。例えば福島原発の処理水のときに話題になった「トリチウム(三重水素)」は、中性子を持たない一般的な水素(陽子:1の周りを電子:1が回っている)の「放射性同位体」で中性子を2つ持っています。そもそも原子力(核分裂)発電所を動かすときに欠かせないウランについては放射性物質ではあるのですが、原発や原子力潜水艦、そして原爆などで使うウラン235は(存在比率の多い)ウラン238の「放射性同位体」にあたり、ウラン235の濃度調整で原子力(核分裂)発電に使うのか、あるいは原子爆弾など核兵器に使うのかが分かれます。ウランやその反応の中で出てくるプルトニウムについては半減期が相当長いことから(ウラン235で約7.0億年、プルトニウム239で約24 000年と言われています)、最終処分場という「置いておく場所」の概念が出てくる訳です。

ビットコインの半減期はこの放射性同位体における半減期を参考に、ビットコインが世の中に存在できる上限として設定された量を超えないように設計されたと考えられます。このことを理解するには、ビットコインの持つ「デジタル・ゴールド」というなぞらえ方を理解する必要があります。2008(平成20)年頃にビットコインの核となる設計が登場した際に、(各国政府の思惑によらない「お金」という設計意図も有り)ビットコインは金(Au)の在り方を参考にしたと言われています。

金(Au)は(海中等にも無くはないですが僅かなので)基本的に金山などで掘ってから純度を高める訳ですが、「他の物質から金(Au)を作り出す」という意味での錬金術は現実社会では成功していなく、世界の金(Au)の総量は(一説にはオリンピックプール3杯分程度と言われる位に)限られています。金山などで金(Au)を掘っていくとそのうち同じ労力をかけても採掘できる量が減っていき、やがて掘れなくなっていくので、新しい金山等が見つからない限りは見つかって流通している量と既存の金山から「その時期に掘れた量」の合計で金(Au)の出回る量は決まってくることになります。そして(西部劇などの時代であればアメリカ合衆国のカリフォルニア州や南アフリカなどなど)金山が見つかる「ゴールドラッシュ」はありましたが、地球上ほぼ全ての所がGPS衛星などで確認できる現在においては全く未知の金山が見つかる可能性は低くなりました。

ビットコインではその取引の束となるブロックを既存の(承認された)取引履歴のチェーンに繋げるには監査に代わる(条件を満たすナンスと呼ばれる)「総当たりで解く必要のある暗号の答えになれる数字」を探してくる必要があります。その数字を最初に見つけて繋いだ人に与えられる報酬としては「その取引を承認してもらうために渡された手数料としてのビットコインの合計」と「新規に発行されたビットコインの量」とが渡されます。後者の「新規に発行されたビットコインの量」について、ビットコインを金(Au)になぞらえて設計した際にビットコインの上限を決め、その上限を超えないように一定期間ごとに新規発行量を半分に減らしていくことにしました。いつまでも同じ量だけ同じペースで発行されていくと、金(Au)のような発行上限を設定できないからです。その「半分に減らしていく期間」のことを半減期と呼ぶわけです。

よく知られている(公比がである)次の無限等比級数(次の項が前の項の一定割合になっている数列を無限に足し合わせたもの)における答えとしての和を書いておきましょう。

1/2+1/4+1/8+…=1,

4年間に新規に発行されたビットコインの量の半分が次の4年間に発行され、その次の4年間は更にその次の半分だけ発行される、と考えればこの式は、いつまでも続く(無限の期間の)場合でもその総量に上限を設けることが出来る特性とも読めます。

もっとも、ビットコインには1サトシという1億分の1 BTC(1ビットコインの1億分の1の量)の最小単位が設定されていて1サトシ(仮に1BTC≒600万円なら1サトシ≒6銭[0.06円]となります)より細かくはできないので、新規発行量を半分ずつにしていくにも限度があり、(随分先ですが)2140年頃には上限目いっぱいまで掘り尽くされて「新規発行分」は登場しなくなり、そこでマイニング報酬は取引を承認してほしい人たちの手数料だけになって半減期は終わります。

つまり、「ビットコインの半減期」とは、ビットコインにおけるマイニングの報酬において「ビットコインの新規発行分」が半分に減るまでの期間のことを指します。何故ビットコインの新規発行報酬分が半減するのか(何故起こるのか)、といえばビットコインを金(Au)になぞらえて設計したため、金(Au)の持つ「総量としての上限」を設ける上で、報酬目当てで参加して来るマイニングという行為にある程度長く参加者を用意するため、という風に言えます。いきなり新規発行分が無くなる設計だとマイニング参加者を集めにくく、発行総量が或る程度たまってきた段階まで行けば取引承認の手数料だけでも魅力は或る程度残ると考えてのことと思われます。

他の暗号資産全てに半減期がある訳ではありませんが、ビットコインに始まるProof of Work (仕事量による証明)という新規ブロック承認権限の設定法を取っている暗号資産の多くはこうしたビットコインの設計を幾分か参考にした部分があります。例えば日本発祥の暗号資産であるモナコインでは発行上限が定められていて、半減期は約3年半とされています。

参考
https://coincheck.com/ja/article/437
(2024-01-30アクセス)

モナコインの半減期を説明したこのURLの記事の一節を引いておきましょう。「もし半減期がなければ、マイニングが急速に進み、早い時期に発行上限に到達してしまうかもしれません。世の中の需要を上回る量が流通すればインフレとなります。インフレとなればモナコインの価値が下がるリスクがあり、モナコインにとってネガティブな状況になります。そこで、モナコインの発行スピードをゆるやかにコントロールするために、半減期が設けられているというわけです。」

減らす割合も半分ずつである必要はありません。先ほど無限等比級数の式を1つ出しましたが、一般に「絶対値が1より真に小さい公比なら」無限に足し合わせても有限の値に収まりますので、50%ずつ減らして前の50%にしなくても良い訳です。例えばイーサリアム・クラシック(ETC)では500万ブロックずつ生成する中で20%ずつ減らして前の時期の新規発行量の80%を新規に発行する「減少期」が設定されています。

参考
https://zuu.co.jp/media/cryptocurrency/ethereum-classic
(2024-01-30アクセス)

最後にこのURLの記載を引いておきましょう。「発行枚数の上限がある仮想通貨は『有限の資産』であるため、需給の状況によっては価格の上昇が起きやすくなる。」

半減期が起きるタイミングはなぜ4年に一度なのか。

「ビットコインの」半減期が起きるタイミングが4年に1度なのはビットコインの設計です、と言うしかない部分はあるのですが、ビットコインの発行上限と承認速度などを考えてこの設計にした、という説明になります。

半減期が長くなればその分だけ早めに発行上限に辿り着いてしまうので、金(Au)と同様に発行上限を定める場合には発行上限に辿り着いたら、後は取引承認の手数料収入しか報酬には残らなくなります。早めに発行上限に届いてしまった場合には取引承認を継続的に求める流通体制が十分構築されていない状況になってしまい、取引承認の手数料だけの報酬では足りないとマイニング参加者が集まらなくなってしまう危険性があります。これは減少期で減少割合を減らすことでも同様のことが言えます。かといって半減期が頻繁に来てしまうと、その分だけ報酬が減る時期が頻繁に来るわけですから、そうした所にマイニング参加する意欲が減ってしまいます。

ビットコインについてはそのブロックの承認権限を決めるProof of Work(仕事量による証明)を機能させるにはその承認権限を決めるマイニング参加をできるだけ促さないといけません。ビットコインには承認権限を決める暗号の問題が「平均的に10分程度で解けるように」難易度を少しずつ調整していて、ビットコインは「世界中でその暗号の問題を日夜報酬目的で計算処理能力をかけて計算しているから」その安全性が担保されている面があります。参加意欲が減ってしまえばその分だけ難易度が下がってしまい、強力な計算力を持つ勢力が急に参加したときに耐えられなくなってしまいます。実際にビットコインのオリジナルなブロックチェーンに攻撃が成功した事例は2009(平成21)年1/3から始まって10年以上経つ2024(令和6)年1月時点ではありませんが、Proof of Work型を取っている中堅の暗号資産の中にはビットコインの値崩れが大きく起きた後などにビットコインからマイニングの撤退が相次ぎ、そうしたマイニングの能力を中堅の暗号資産の一部に注ぎ込んだと思われるような攻撃が起きたことが、モナコインでは2018(平成30)年5月に、イーサリアム・クラシックでは2019(平成31)年1月にありました。(ちなみにその暗号資産におけるマイニングの計算能力の過半数を占めてしまう事による不正の攻撃を51%攻撃と言います。)

ところで、報酬をその暗号資産(ビットコインの場合には報酬はビットコイン)で支払う以上、たくさん発行してしまえばその分値崩れの危険性も高まります。かといって報酬が少ない場合には参加意欲も減ってしまいます。そのため、「その暗号資産が報酬として機能し」なおかつ「適度に参加意欲を促せるだけの報酬を持続できる」バランスを考えて半減期等は設定することになります。

半減期がない銘柄はあるのか。

この質問は2つに分けて答える必要があります。「ビットコインに関する銘柄の中で」半減期が無い銘柄はあるのか、と聞かれれば、ビットコイン自体に半減期は設計上入れられたものです。現状のビットコイン絡みの銘柄、例えばビットコインにおける「チェーンに書き込むのを後からまとめてとすることで」手数料を抑え承認可能件数の問題へ或る程度対処したライトニングに関する取引を念頭にした銘柄や、一般の個人投資家や機関投資家にもビットコインを買いやすくする効果を持つ、ビットコインを組み込んだ現物ETF(上場投資信託)・先物ETFなど各種取引銘柄の中で半減期が無い銘柄というものはありません。今ここに上げた取引方法の中には日本にはない方法も有りますが、世界を探すと有ります。ちなみにビットコインの現物ETFに関してはアメリカ合衆国では2024(令和6)年1月に承認されました。

一方で「全ての暗号資産の銘柄の中で」半減期が無い銘柄はあるのか、という質問については色々有ります。「感覚的には」半減期がある暗号資産の銘柄の方が珍しいです。1例としてステラルーメンという暗号資産が有ります。ステラルーメンには半減期はありません。

ビットコインとその裏側の技術であるブロックチェーン技術の登場以降、それらを参考に様々な目的を持った暗号資産およびその裏側の技術が登場してきました。その技術の中にはブロックチェーン技術を参考にしてはいるものの、ブロックチェーン技術には厳密には含まれないものも含めて「分散型台帳技術」と呼ばれる技術を入れたものも登場してきました。「価値のインターネット」を標榜してあらゆる金融取引を1つのネットワークに繋ぐという壮大な構想を持っているリップル・ネットワークという構想があるのですが、そのところで使われている暗号資産XRP(旧リップル)の承認方法として使われているXRP Ledgerについてはブロックチェーンとは厳密には呼ばず、XRP Ledgerには例えばビットコインでマイニングに欠かせない「報酬」というものがありません。報酬を目的としないがこの仕組みが有ってほしいと考える組織にリップル社から承認権限の一部を与えられて『特別多数の決議により』取引承認を行います。権限を与えられた側をValidator(承認者)と言います。例えば次の例はValidatorの例です。

参考
https://www.attokyo.co.jp/news/20170201.html
(2024-01-30アクセス)

Validatorは将来的に他のValidatorを入れることが出来ることになっています。そのリップル・ネットワークを設計した関係者が「個人間の送金用に」開発した暗号資産がステラルーメンで、ステラルーメンには発行上限は存在せず、毎年の発行割合が決まっています。そのため、半減期も設定されていません。

参考
https://wajo-holdings.jp/mining/archives/2194
(2024-01-30アクセス)

では何故ステラルーメンは半減期が必要となる理由の1つである「発行上限」を定めなかったのでしょうか。先のURLにはこのような記載が有ります。「ステラルーメンは毎年の発行枚数が決められており、流通量が減少しない仕組みとなっています。これは、(中略)ステラルーメンは個人決済での利用を重視しているため、個人でも扱えるように価格が高騰し過ぎない設計にする必要があったからです。このことから、ステラルーメンはビットコインなどを始めとした従来の暗号資産と比べて、より実用性を重視した暗号資産であると考えることができます。」

実は(ビットコインが参考にしたとされる)金(Au)の持つ発行上限には本質的な問題があったとされます。世界は19世紀末頃には「国際金(Au)本位制」と言って、金(Au)のみが正貨つまり本質的なお金であり、日本円やUK(英国)のポンド・スターリングなど各国通貨は「金(Au)の裏打ちのある範囲で」発行され、日本銀行やイングランド銀行等の各国中央銀行はその発行したお金(紙幣)についてはいつでも正貨である金(Au)に交換する責務を背負っていた時代がありました。金(Au)が本質的な意味でお金としての役割を失うのは(戦間期などの一時の混乱の時期を除き)1971(昭和46)年のニクソン・ドルショックまで待つ必要があるのですが、中央銀行が確保している金(Au)の量までしか貨幣を発行できない、というルールは「金(Au)に発行上限がある事で」経済発展に大きな制約をもたらします。経済が豊かになっていくとそれだけ貨幣(お金)を使う機会は増えていきます。このことを「貨幣の取引需要」というのですが、こうしたことで膨らんでいく貨幣需要に「見合うだけの」貨幣量を世の中に流通させないと(供給させないと)、貨幣が貴重なものとなり過ぎて取引に制約を来し、経済発展の足かせとなってしまいます。

ところが「本質的に発行上限のある」金(Au)に裏打ちされた量しか貨幣(お金)を発行させられない場合には、そうした「見合うだけの」貨幣量を世の中に流通させられなくなってしまいます。国際金(Au)本位制が使われていた19世紀末はそれこそアメリカ合衆国のカリフォルニア州やオーストラリア、南アフリカと言った金(Au)の産地が新たに見つかった「ゴールドラッシュ」が多発し、経済発展にも対応できたわけですが、現在では新たな金山などが発見されることは期待薄のため、経済は発展できず定常状態に近い形になります。かつての金山も金(Au)が掘れなくなれば閉山するしか無く、例えば江戸時代の金(Au)を基にした小判を支えた佐渡金山も平成が始まる頃には閉山しています。

本質的に金(Au)の裏打ちを必要としない現在の国際通貨制度が確立したのは(ニクソン・ドルショックから2年の試行錯誤を経た)1973(昭和48)なのですが、そこで(日米など欧州を除く先進国などにおける)各国中央銀行が取り入れている、金(Au)の裏打ちの無い不換紙幣を各国中央銀行の判断で発行量増減させて調整することで対処する「管理通貨制度」が採用されているのはそうした経済発展への支障を来さないためでもあります。

この管理通貨制度では各国中央銀行の責任は重く、各国中央銀行がさじ加減を誤ると通貨の価値は大幅に下がってその国の在住者に大きな悪影響をもたらします。先進国などと書いたのは貨幣量管理がちゃんとできる国、という意味で書いていますが、管理を誤った典型がハイパーインフレであり、21世紀になってからも2008(平成20)年のジンバブエ、2018(平成30)年のベネズエラのようにハイパーインフレは起きています。そこまではいかなくても国や中央銀行の匙加減次第で(国際的に)価値を落とすことは有り、例えばトルコでは2023(令和5)年の大統領選挙までのエルドアン大統領の政策の中には(マクロ経済学の教科書的な失敗例と言われるのですが)「インフレ時に利子率を下げると貨幣流通量が増えてインフレが悪化する」という中央銀行側の諫言を無視して利子率引き下げを強行し、数十%のインフレを招いたということがありました(日本が2022-2023年頃にインフレで庶民の生活は苦しくなる、という論が提示されていた時期のインフレ率が3-4%程度、同じ時期の欧米で8-10%程度ですから、数十%のインフレ率が如何に高いかが分かります)。他にも2012(平成24)年1月から2015(平成27)年1月の3年間で日本円は(円安という意味で)貨幣価値を対外的に30%以上下げています(実質実効為替レートという指標で判断しています)。2022(令和4)年に起きた(名目水準の)大幅な円安でも類似のことが言えるでしょう。或る程度貨幣量を増やして貨幣価値を下げた方が(通貨安で輸出もし易くなる等の影響で)短期的な景気対策にはなる面もあり、中央銀行による通貨量の管理は難しい所も有り、自分達の持っているお金の価値が中央銀行の判断で勝手に下げられてしまうことは有り得ます。

ビットコインにはこうした中央銀行が一元的に差配する「管理通貨制度」における負の側面を強調しているハイエクの「貨幣の脱国家論」という1970年代の(管理通貨制度と変動為替相場制が本格的に導入された頃の懐疑的な)考え方が色濃く反映されていて、ビットコインには発行上限を定めて半減期を導入しています。しかし、先に述べた「発行上限の問題点を理解している種類の」暗号資産は発行上限を設けず、半減期・減少期なども導入していません。とはいえこれらの暗号資産では発行総量を増やし過ぎて価値が崩れないような発行割合を設定する必要があります。

 半減期に対する今後の対策について。

まずビットコインの半減期を例にアノマリー(理由を説明しにくい経験則)に関する説明を入れる必要があります。アノマリー(理由を説明しにくい経験則)では、ビットコインの半減期の年には価格が上がる、という傾向が有ります。

ビットコインの価格を、「規模」に注目するために対数化して半減期の影響を見ている記事には次のものが有ります。これを見ると、これまで3回来たビットコインの半減期について次の記載が有ります。「ビットコインのマイニング報酬が半減する年は、市場にとって強気な年であるとの歴史的なデータがある。(中略)マイナーは半減期に備えてビットコインを蓄積する傾向があると考えられており、仮想通貨取引所Bitfinexのオンチェーンデータ分析によると、ビットコインマイナーは2023年5月27日以降、蓄積の傾向が顕著に増加していることが示されている。」(2023年12/2付の記事)

参考
https://coinpost.jp/?p=495720
(2024-01-30アクセス)

勿論、将来こうなるとは限らないことは書き添えておく必要はあります。まず、このような現象が起きている以上、それを正当化できるような何らかの説明を入れる必要があるのは確かです。そこで、次のような現象と対比させましょう。少し暗号資産から離れますが、ちゃんと戻ってきますのでしばしお付き合い下さい。

江戸時代の日本は四公六民や五公五民と言って年貢として農民から武士に40%ないし50%の税が納められ、俸禄支給と言って給与所得者としての武士はその給料を「お米で」原則は貰っていました。しかし、お米で直接ものが買えるとは必ずしも限らない関係で、武士としては支給されたお米を貨幣に換えるために「お米を売る」という行動に出る必要があります。農民だって全員がお米を作っている訳ではなく、税としての年貢を納めるためにお米を買う人もいれば、食べるためにお米を買う人もいますし、お米の農家もそのお米を売らないと買えないものもある訳です。

そうすると各地のお米の市場における「お米を売る側」には少なくとも「お米農家等」と「お米を支給された武士」の2種類の存在がいることになります(実際には武士の代理としてのお米関係を扱う問屋さんがいる訳ですが、ここでは無視します)。そしてこの「お米を支給された武士」の売りに出すお米は(天候などの全員に影響する部分の他に)政策等の「この層特有の外的な要因によっても」左右されることになります。

例えば他の地区の災害・飢饉対策など何らかの理由でこの地区のお米を大名側が幕府などに差し出すことになったとします。そうすると一時的なものなら藩としての蓄えの中から出すことになるでしょうが、継続的に出すことになるとすれば給与所得者としての武士に支給されるお米は減ります。そうすると、その地区で「武士から」お米市場に売りに出されるお米の量も減ることになります。他地区からの影響が無く、お米農家側などで特に他の事情が無ければ、武士からの売りに出される量が減る事で供給が足りなくなり、その地区のお米の価格も上がることになります。

さて話をビットコインに戻します。ビットコインの採掘者(マイナー)も趣味で行っている人は現在だと考え難く、お仕事としてマイニングを行っていると考えられるため、そのマイニング報酬としてのビットコインの多くは(ビットコインのまま置いておける訳ではなく)近いうちに金銭換算する必要があります。また、多くの計算能力を確保するために例えば採掘家電のような「報酬をビットコインのまま支給するのは難しく、金銭換算しないと報酬として機能しない」所もあります。つまり、ビットコインの売り手の中には「マイニング報酬を基にした売却」と「それ以外の売却」が考えられます。

半減期により報酬としてのビットコインの量が減る事で、採掘者(マイナー)が撤退するきっかけにもなり、マイニング報酬を基にした売却は減ると考えられます。他の供給量や需要量が変わらなければビットコインの価格は供給不足により上がることになります。これは先ほどのお米をビットコインに対応させ、「お米を売る武士」を「ビットコインを売る採掘者(マイナー)」に対応させることで理解できます。

この点は次のサイトによるとこのように説明されます。「報酬が減ることでマイナーの数も自然に減り、供給量が減るためビットコインの需要は上がります。半減期はマイナーにとってはデメリットですが、ビットコインの価格を上げる可能性を高めるためには重要なイベントといえるでしょう。」

参考
https://www.btcbox.co.jp/coinad/half-life-bitcoin/
(2024-01-30アクセス)

では何故この説明がアノマリー、つまり「理由を説明しにくい」という事になるのでしょうか。それはこの説明では「それ以外の不確実性が大き過ぎるから」です。まず、ビットコインの供給側には採掘者(マイナー)とそれ以外がいると説明しましたが、この説明が成立するには採掘者(マイナー)が報酬としてのビットコインを早い所「売りに出す必要がある」という前提が必要になります。しかし、価格が上がることが分かっているなら、そもそもマイニング報酬としてのビットコインを売りには出さず、ガチホ(ガチホールド)つまり持ち続けるという選択を取ることも考えられます。殆どの採掘者(マイナー)がそういう行動を取ったとしたら、半減期を機に「マイニング報酬からのビットコイン供給が減る」とするこの説明は成立しなくなります。

また、お米は食べるし腐るので、市場におけるお米の供給はその年の武士の俸禄支給にかなり左右されます。しかし、ビットコインは(アドレスのパスワードが分からなくなって売買・移動できなくなった等の事例はありますが)基本的には無くなるものではありません。とすると、ビットコインの総量の増えるペースは半減期で減っていても、ビットコインの総量自体は増えています。そうすると、それらが市場に出てくる可能性もある訳で、仮に供給量が増えれば価格は下がります。

加えて、お米には食べる用途が有りますし、金(Au)には金細工という用途が有りますが、ビットコインの用途についても考える必要があります。ビットコインの用途は歴史的には2013(平成25)年のキプロスの金融危機で明らかになった様に国際送金の手段としてですが、現状数多くの他の暗号資産(アルトコイン)が出てきていて、価格変動の大きさ(ボラリティ)を考えれば国際送金の手段としてビットコインが最善の手段という訳ではありません。通貨価値が崩壊している国における通貨の代わりとしての用途があることはベネズエラなどで既に知られていることではありますが、一般的に交換手段として使われる訳では必ずしもないことはビットコインを通貨に加えたエルサルバドルにおいてさえ浸透していないことからも分かります。現状ビットコインの「用途」として最も重要なものは他の暗号資産(アルトコイン)同士の交換の「媒介通貨」として、であり、ビットコインが分散性(非中央集権性)を大事にするため1度に処理できる件数が限られていることを思えば、完全上位互換が出てきて多くの人に認識された瞬間に取って代わられます。

ビットコインを金(Au)になぞらえて次の説明をする場合が有ります。「金は年々採掘量が減っていく→希少価値が出るという図式になっています。金をモデルに作成されたビットコインは半減期を設けることで年々発行量を減少させ、希少価値を作り出すように設定してあります。ビットコインは発行上限が決められていること、半減期を設けていることで高い価値が補完されているといってよいでしょう。」

参考
https://www.bitpoint.co.jp/column/tips16/
(2024-01-31アクセス)

この説明が成立するのは、ビットコインが金(Au)同様に「他に換えが効かない」場合に限ります。この「年々採掘量が減って希少価値が出る」という図式が本来成り立つべきは金(Au)以外にも銀(Ag)があるはずです。国際金(Au)本位制が成り立つ前には「金銀複本位制」といって金(Au)だけでなく銀(Ag)も正貨と扱う在り方がありました。実際に日本円が「圓」の字をまだ使っていた明治時代、初期の1圓札には銀貨の絵が刷り込まれていて、この銀貨にいつでも換えることが出来るから安心して使ってほしい、とされていました。その後に銀(Ag)の価格が暴落して金(Au)のみを正貨と扱う形に代わっていきました。現在では銀(Ag)は(投資・投機用金属としての用途も無くはないですが)工業用途が主であり、価格が安めで推移するからこそ成立する話です。ビットコインが金(Au)のような役割をいつまでも果たすとは限りません。銀(Ag)のように投資・投機用金属としては他が存在する、という形にもなりかねません。現状(2024年1月現在)のビットコインには時価総額などを考えても、また「参加者の認識面を含めれば」まだビットコインに完全に代わるものは出てきていない側面があるので、金(Au)同様に資産の逃避手段・値上がりを目的とした資産保有動機などによる需要はあるでしょうが。

しかし、たとえ説明困難なアノマリーだろうと市場に参加する人がそう思って行動する場合にはそうした価格形成がされることは充分に有ります。将来的にその時代における妥当な理由が説明される可能性はあります。そのため、アノマリーを紹介しておく必要はある訳です。

先の対数化して半減期に注目した記事のグラフを改めて見てみると、2012(平成24)年の半減期の後の1年で急激に伸びているように見えます。ここで注意しておくべきは、2013(平成25)年はキプロスの金融危機でそれまでマニアの間位しか知られていなかったビットコインが一般にも「国際送金の手段」とりわけ「キャピタルコントロール(越境資本移動規制)下における資本移動の手段」として用途を知られることになった年であるという事です。つまり、2013(平成25)年の価格上昇は「マニア・関係者以外にも実利を求めてビットコインを必要とする人が出てきたから」という側面が無視できません。半減期以外にも様々な影響があることを理解する必要があります。

そして、他の影響はビットコインの総量が増えるほど大きくなります。2016(平成28)年の半減期のときは2017(平成29)年には仮想通貨バブルが起きた影響が有りますし、2020(令和2)年の半減期のときはコロナ禍での異例な金融緩和が指摘されています。そうした「半減期以外の理由だった可能性」を指摘した次の記載を引いておきましょう。「ただし、半減期だけが価格に影響を与えるわけではないことに注意が必要だ。現在では、ビットコインの市場規模は4年前とは比較にならないほど拡大し、株式市場などマクロ市場の影響を受けやすくなっているため、状況が大きく異なっていると言えるだろう。」

参考
https://coinpost.jp/?p=456732
(2024-01-31アクセス)

ビットコインの総量としては増えている以上、需要用途が確保できない場合には値崩れの危険性はあります。投資は自己責任ですからアノマリーを信じて仕込むのは勝手ですが、アノマリーは可能性の1つとして絶対視せず、基本的には影響の1つと捉えて値動きや各種動向を注視することが大事です。また、他の暗号資産(アルトコイン)で半減期・減少期があるものについてはどうすべきか、という点についてですが、基本的には同様に、影響の1つと捉えて値動きや各種動向を注視する、ということが大事です。正直、半減期より他の外的な要因の方が価格に与える影響は大きいと思われます。半減期は起きる事が確定的に分かっている事案ですから。

但しマイニングのある種類の他の暗号資産(アルトコイン)に関しては、ビットコインなど時価総額・市場規模の大きな暗号資産における採掘者(マイナー)の撤退があったときは考慮に入れる必要があります。かつてモナコインに2018(平成30)年5月に攻撃があった際には半減期によるものではありませんでしたが、その前にビットコインの価格が大きく崩れ、ビットコインのマイニングに使われていたマイニング機器をモナコインなど他の中規模の暗号資産のマイニングに使う中で攻撃は発生した部分がありました。半減期・減少期もそのきっかけの1つになり得ます。

そして、「難易度調整が追い付かない位にマイニング業者が撤退する動きを見せた場合は」注意が必要です。基本的にマイニング業者が撤退して暗号が解かれるのに時間がかかるようになった場合には難易度調整が働きます。しかし難易度調整が追い付かない位にマイニング業者が撤退する動きを見せた場合は承認が追い付かないなど、暗号資産としての機能を果たさなくなる面が一時的に出てくることになるわけです。

 半減期の前後で生じる経済的変化について。

ビットコインを例にとると、少なくとも半減期によってビットコインで換算したマイニング報酬は減ることが確定しています。そうするとマイニング報酬を狙った採掘者(マイナー)は減る傾向は言えます。半減期によるビットコイン換算での報酬減少の影響を補って余りあるだけの価格高騰が起きれば話は別ですが、そうでない限りはそのためのマイニング機材およびその基となるスパコン・GPUなどの需要は減ることになります。

他の暗号資産でも同様です。但しビットコイン等の大きな市場規模を持つ暗号資産で半減期等により使われるマイニング機器が減ることで、他の暗号資産へとそれらが流れてくる可能性があることは押さえておく必要があります。

正直なことをいうと「業界の中の人にとっては」半減期は大事な事でも、外に与える経済的影響の大きい案件とは言えません。(投資家ではない)一般の利用者からすれば「半減期が来るタイミングでは」一時的に取引を控えて正常に動くかを確認することにより、何かしらの混乱に巻き込まれないようにする、ということはすべきかとは思いますが、あくまで半減期は「来ることが分かっていること」なので、経済的な影響についてはそれを織り込んでいることになります。この半減期を機にAIなどへその使っていたGPU等の計算機資源を振り向ける、などの計画が組まれることもあるかもしれません。

以下はそのことを踏まえて話を進めます。

採掘者(マイナー)が減るということは寡占化が進みます。世界中で計算しているからこそ安全性は保たれている部分がありますが、採掘者が減る事で解き終わるまでに時間がかかりやすく難易度が易化される傾向に繋がると言えます。(手計算ではない以上)それだけ電力を使っているわけであり、そうすると採掘者(マイナー)が減ることでその使用する電力が節約できる部分が「可能性として」言えます。

マイニングの電力はときに1国経済に大きな影響を与える位の大きさになっているからこそ、カザフスタンではマイニングに使う電力の種類の制限がかけられた面は忘れてはなりません。

参考
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/02/b3bf3bcc5cee230d.html
(2024-01-31アクセス)

但しこうした「電力節約などの」傾向はビットコインの価格が半減期で上がってしまうと言えなくなってしまいます。

参考
https://jp.cointelegraph.com/news/bitcoin-halving-2024-miners-predict-potential-outcomes-of-reduced-btc-rewards
(2024-01-31アクセス)

なお、「半減期では分権化が進む」という説明をしている事例が有りますが、これには注意が必要です。「ビットコインの半減期は、デジタル資産ブロックチェーンの分散化を強化するのにも役立ちます。これは、ネットワーク内でマイニングされたブロックの報酬数が減少するたびに、マイナーは以前と同じ量のブロック報酬を受け取ることができるように、より懸命に、より効率的に働かなければならないためです。特にビットコイン内の仮想通貨マイニング業界が急速に発展しているため、半減期はマイナーの数を増やすのにも役立ち、ネットワーク全体のセキュリティと信頼性が向上します。」という記載が次のサイトには有ります。

参考
https://hackernoon.com/ja/%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8D%8A%E6%B8%9B%E6%9C%9F%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B%E3%80%81%E4%BB%AE%E6%83%B3%E9%80%9A%E8%B2%A8%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AB%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AA%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%82%92%E4%B8%8E%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%8B
(2024-01-31アクセス)

しかしコンピュータの計算処理速度は増強でもしない限りは一般的には変わりません。ビットコインは「掘ったら掘った分だけ確実に」報酬としてのビットコインが得られる代物ではなく、最速で答えを見つけた人が報酬を得る仕組みのため、機材を持ちながら遊ばせておくのは電力料金が一時的に高い場合やビットコインの価格が思ったよりも暴落した場合などに限られ、通常は「機材を用意したが空いている」などの状況は考えにくいものが有ります。報酬としてのビットコインが減るからより真面目に働くために休ませていた計算処理能力を稼働させる、ということは考えにくいのです。労働者であれば1時間残業を増やすとか手はあるかもしれませんが、計算させている機械に関してはメンテナンス等の時間以外は休まず動かしている筈ですから、「より効率的に」働かせる手段が無いのです。あるとすればそれは増強だけですが、増強はコストに見合うと判断した場合には半減期に関わらず行われるものです。それは業界全体がのびているなど他の要因によるものであり、半減期のような報酬が減ることが確定していることが理由ではありません。基本的には貰えるビットコインの報酬が減る以上、貰える報酬が減ったことで起きるのは一部撤退です。

加えて、一部撤退で残りの参加者からすれば報酬を得られる確率自体は上がりますが、計算処理能力がそのままの場合には平均的に答えを見つけるまでの時間が長くなることから、同じ期間内に報酬を得るタイミングが減ることになります。とはいえ、一部撤退により残りが同じ参加者・能力のまま進む場合には平均的に答えを見つけるまでの時間が長くなりますので、難易度調整により問題が易化し、残ったメンバーには「同じ能力のまま答えを得られる確率」が上がることになります。こうして、難易度調整にはメンバーの退出に関わらず残ったメンバーの期待報酬を或る程度安定化させる「自動安定化装置(stabilizer)」の機能があると言えます。

そうすると、「半減期により」採掘者(マイナー)が撤退して寡占化が進み、難易度が下がることは有っても、「半減期により」分権化が進むだけの採掘者(マイナー)が増える、ということは考えにくいものが有ります。分権化が進むだけの採掘者(マイナー)が増えるのはあくまで価格や報酬が上がって参入障壁が低くなった場合位です。

最後に、半減期前・後の「経済的な」影響、を価格の値動き、という意味でいう場合、あくまで過去の事例において、という断りを入れて今回そうなるとは限らない、という部分を込みで触れておくと、2015(平成27)年のライトコイン、2016(平成28)年のビットコイン、2017(平成29)年のモナコインを例に、「過去の価格動向を見てみると価格は一旦上昇するものの半減期でピークを迎えるというよりは、半減期直前でピークを迎えることがわかる。」という指摘が有ります。

参考
https://coinpost.jp/?p=89800
(2024-01-31アクセス)

また、「これまでの半減期の傾向から、半減期後翌年の第4四半期に価格の天井を迎えています。必ずしも毎回同じ上昇が起こるとは限りませんが、暗号資産(仮想通貨)アナリストの中にはこうした動きを重視する人も多くいます。」という指摘も有ります。

参考
https://bitcoin.dmm.com/column/074
(2024-01-31アクセス)

注意しなければならないのは、過去に起きたことが次も必ず起きる訳ではない、という点です。先の記事でも半減期の後の上昇幅は小さくなっていることは指摘されていますが、そもそも過去に起きた「理由の明らかではない」ことはたまたま起きただけの可能性も少なくありません。