経済の先行きが不透明な現代において、安心した暮らしを実現するためには、しっかりとしたライフプランの構築が欠かせません。しかし、金融や保険に関する知識が十分でない場合、どこに相談すれば良いのか、また提案される商品が本当に自分に合っているのかを判断するのは容易ではありません。その結果、不安を抱える方も少なくありません。
そこで今回は、「お客様第一」の姿勢を徹底し、ライフプランのサポートに特化したサービスを提供しているimeister株式会社の代表、小川和哉氏にお話を伺いました。

小川 和哉 / Kazuya Ogawa
imeister株式会社 CEO
【プロフィール】
2010年に開業し、原則広告・宣伝・無料セミナーなどは行わず、主にお客様からのご紹介で事業を継続。目先の利益に捉われず、ジャンルの垣根を超えたオールラウンドな提案が特に若い世代に好評。長く付き合いたい、専門家に任せたいという人に特にお勧め。
多様な金融サービスを通じてお客様のライフプランを支える
クリックアンドペイ(以下KL): まず、御社の事業内容について詳しく教えていただけますか。
小川氏: 弊社、imeister株式会社では、生命保険や損害保険をはじめ、株式・投資信託などの金融商品全般を取り扱っています。また、住宅ローンの取次ぎや記帳代行などの業務も行っています。
KL: 御社のホームページを拝見した際、「Mクリニック」というサービスを見かけましたが、具体的にはどのようなサービスなのでしょうか。
小川氏: imeister株式会社は、各種ご契約の取り扱いと管理をする会社なのですが、その中で、Mクリニックはお客様のライフプランをサポートする専門部署として位置づけられています。お客様が弊社のサービスを利用される際には、基本的にMクリニックが相談窓口となり、お客様の状況に応じて適切なご案内を進めております。なお、お客様のご相談内容によっては、弊社のサービスを提案しない場合もございます。
KL: 幅広い事業を展開されていますが、生命保険や損害保険の事業を始められたきっかけについて教えてください。
小川氏: お客様から人生設計に関するご相談を受ける中で、特に各保険商品の良し悪しについてのご質問が頻繁に寄せられることがありました。しかし、保険の募集人の資格がない場合、そのような質問にお答えすることができかねてしまうのです。そのため、より的確なアドバイスを提供するために資格を取得し、代理店契約をするに至りました。
現場経験第一主義
KL: 御社で業務を行う上で、必要となる資格について教えていただけますか。
小川氏: 弊社では、ファイナンシャルプランニング事業において、上位資格の取得を必須条件とはしておりません。業務上現場で必要となる最低限の資格を取得していれば十分であるという方針を採用しています。弊社の社員は全員が資格を保持していますが、例えばその資格に一級、二級、三級のように段階がある場合、必ずしも一級を取得する必要はありません。知識が豊富であることはもちろん望ましいことですが、弊社が最も重視しているのは、現場経験を多く積み、実践的なスキルを培うことです。経験を積むことで必然的に知識が身に付きます。同じ時間を費やすのなら資格取得よりも一人でも多くのお客様とお会いし、問題解決のお手伝いをさせていただくほうが有意義だと考えます。
KL: 競合他社と比較して、imeister株式会社様が持つ優位性や強みについてお聞かせください。
小川氏: 弊社の強みは、お客様にご案内できるサービスラインナップが多い点です。生命保険や損害保険の取り扱いだけでなく、株式や投資信託などの金融商品全般のほか不動産投資や貴金属投資、暗号資産も含めた資産運用、住宅ローンの手続き、さらには副業や個人事業主の方の各種帳簿の作成のサポートにも対応しています。このように、多岐にわたるサービスを一元的に提供できる点が、他社との差別化ポイントとなっています。また、弊社では独自の顧客専用サイトを構築しており、紙ベースでの書類がないことによる個人情報の保護や掲示板機能による連絡履歴の保存が好評です。
お客様第一主義を貫くファイナンシャルプランナー育成
KL: imeister株式会社様の今後の展望について教えていただきたいです。
小川氏: 今後の展望には大きく分けて二つあります。一つ目はFP業務を行いたい人に対する業務支援です。FP業務の中には法人として登録をしなければできない業務もありますが、弊社ではそれらをすべて取り揃えております。希望するファイナンシャルプランナーに業務ができる環境を提供します。二つ目はファイナンシャルプランナーの育成です。お客様の問題解決を最優先に考えられるファイナンシャルプランナーを増やすことを目標に、養成支援に力を入れていきたいと考えています。具体的には、全国のファイナンシャルプランナーと提携を進め、商品の販売よりも相談業務に特化した、的確なアドバイスを通じてお客様の課題解決に貢献できる人材の育成を目指しています。
また、社内でも副業や新規事業に挑戦したい従業員に対して柔軟な支援体制を整えています。それが個人としての事業であれ、会社としての新規プロジェクトであれ、意欲ある社員の挑戦を積極的に後押しし、ファイナンシャルプランナーの質の向上につなげていきたいと考えています。
KL:将来的にファイナンシャルプランナーとして独立を目指す方もいらっしゃるかと思いますが、その点に関しても歓迎するというスタンスでしょうか。
小川氏: 現時点では、弊社から独立した社員はいませんが、将来的に独立を目指す方を歓迎し、応援したいと考えています。独立の形についても柔軟に考えており、フランチャイズのように弊社のブランドを活用して活動していただいても構いませんし、ご自身で新たな看板を掲げて独立されることも問題ありません。むしろ、ファイナンシャルプランナーとして我々と同じようにお客様を第一に考えられる、そして独立を目指す志のある社員を増やすことは、弊社としても重要な課題の一つです。社員が弊社で培った経験とスキルをもとに成長し、新たなキャリアを築いていけるような環境を整えていきたいと考えています。
KL: 現状では、お客様の相談に適切に対応できる企業やファイナンシャルプランナーは少ないのでしょうか。
小川氏: 実は、「ファイナンシャルプランナー」という肩書きは、資格を保有していなくても名乗ることが可能です。そのため、それぞれのファイナンシャルプランナーの提案内容や質にはかなりの幅があります。一部では、当初の目的を伝えずにお客様を多く集め、商品販売につなげることを目的としたアプローチが行われているのも事実です。しかし、そうした方法を取らず、お客様の問題解決に真正面から向き合うプランナーももちろんいます。弊社では、あくまで「お客様第一」の理念を徹底し、販売目的ではなく、お客様の本質的な課題への対応やお客様自身も気づいていない将来の課題の発掘ができるプランナーを育成・拡大していきたいと考えています。
KL:非常に素晴らしい理念だと思います。しかし、現実的な面では、商品を販売しなければ収入を得ることが難しいのではないでしょうか?
小川氏:おっしゃる通り、一般的には商品販売が収益源となります。ただし、弊社では、その点を問題視していません。それは、弊社のファイナンシャルプランナー自身が資産運用に成功し、安定した収入を得ているためです。これにより、販売収益に依存する必要がなくなり、お客様第一の提案を可能にしています。このような経済的な独立性が、お客様に対する誠実なアドバイスを支える基盤となっています。
資産運用の分野としては、投資信託と株式投資、不動産投資の三つが主な主軸です。これらの分野を中心に、それぞれのプランナーが自分の得意分野で利益を上げていることが多いです。プランナー自身が運用で成果を出すことは、お客様に対して質の高いアドバイスを提供する基盤にもなります。そのため、利益を出すための研鑽を怠らず、常に自分のスキルと知識を向上させることに努めています。
KL: 一般的に、お客様にお勧めする資産運用はどのようなものが多いですか。
小川氏:そこはプランナーの好みによるところが大きいです。プランナー自身の力量や経験も多種多様で、一概にはいうのは難しいですね。ただ、一般的には自分が利益を出せる、いわゆる得意なジャンルをご案内することが多いかと思います。
お客様の喜びをモチベーションにできる、同じ志を持った人たちと働く
KL:御社ではどのような人材を積極的に採用したいとお考えでしょうか。
小川氏: お客様からの感謝を自身の喜びとして感じられる方を採用したいと考えています。収益を追求することに重点を置くのではなく、お客様に喜んでもらうために何ができるかを真摯に考え、行動できる方を求めています。もちろん資格や経験も重要な要素ではありますが、それ以上に弊社の理念と合致する人柄を重要視しています。
KL: 御社では業界未経験者の採用も行っていますか。
小川氏: はい、未経験者の採用も行っています。ただし、現在の採用者の多くは経験者が占めています。未経験者でも意欲や適性によって採用していますが、採用後にお客様を探す段階で、未経験者の場合はネットワークや紹介が不足しているケースが多く、初期の活動に課題が生じることがあります。そのため、結果的に経験者の方が採用割合としては多くなる傾向があります。
また、新卒の方の応募についても検討していますが、学校を卒業したばかりの方が人生設計や資産運用に関する相談を受けるのは難しいという理由から、現状では中途採用が中心になります。弊社の社員は、一定の社会経験を積んだ方が多いです。
KL:ファイナンシャルプランナーとして成長するには、どのようなプロセスが必要だとお考えですか。
小川氏: 成長の鍵は、何よりも実際の経験を積むことにあると考えています。経験を通じて得た実践的な知識とスキルが、ファイナンシャルプランナーとしての基盤を作ります。お客様と接する中で知識が不足していると感じた場合は、一旦持ち帰って調査し、最適な提案をすることができます。必ずしもその場で即答できないことは恥ずかしいことではありません。むしろそう言った経験を積み重ねる中で、知識が自然と蓄積されていくものだと考えています。
KL:御社への応募を検討する際に、身につけておくべき知識や資格はありますか。
小川氏: 金融業界の知識を事前に身につけておくことをお勧めします。特に経済動向を読む力は非常に重要ですので、経済学の基礎知識があるとさらに良いでしょう。ただし、これらは必須条件ではありません。資格取得の有無にかかわらず、幅広い知識を持ち、学び続ける姿勢があることが望ましいです。また、業務を通じて知識やスキルを深める必要がありますので、柔軟な学習意欲が重要です。
KL:就職活動中の方に向けて、アドバイスをいただけますか。
小川氏: 就職先を選ぶ際には、「どこで働くか」以上に「誰と働くか」を重視することをお勧めします。もちろん、すべてのケースで一緒に働く人が事前に分かるわけではないため、完全に人で選ぶのは難しいかもしれません。しかし、もし勤務地や職場環境と働く仲間を天秤にかけられるのであれば、私は迷わず「人」を優先して選ぶべきだと考えます。
特に新卒の方は、企業の名前や規模に目を奪われがちですが、気の合う仲間や信頼できる上司と働ける環境であれば、より良いキャリアを築けるはずです。逆に、場所や条件だけを優先すると、働く中で苦しい思いをすることもあります。難しい選択ですが、ぜひ「人」を最優先に考えることをお勧めします。